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第54話
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第54話 行射(弓を引いて矢を放つ動作全体のこと)
見た目シャボン玉になっている防壁結界は、360度どこから見てもなかにいる はずの男神ロキがいません。むしろ反対側にいる二柱の女神さまと龍神さまが見え、角度を変えると、お祖母さまやお母さま達が見えるだけです。
「に、逃げられたのかな?」
わたしは頭をかしげました。
「エリーゼ。気をつけなさい。あの神は女にも馬にもなれるのよ。牝馬になったときには、八本足の子馬を産んだこともある変態なの。姿を透明にして隠れているかもしれないわ」
女神フレイヤさまの言葉の後に和服の女神ミヅハノさまが続きます。
「エリーゼ。ここは、防壁結界を先ほど私達が貴女に渡した弓で打ち抜くのです」
「しかし、ミヅハノさま。もしこのピンクの矢が、ロキに当たったら、ハートをキャッチしてしまうかもしれません」
わたしは、ピンクの矢を『キューピットの矢』と認識してしまっていたのです。
「エリーゼ。安心しなさい。フレイヤの涙で作った弓は金色ですが、矢は金でできていません。そして何より矢じりが、ハートの形ではありません。
そもそも、ここの世界観は大昔の日本で、今、北欧神話の神が遊びに来ている設定なのよ。恋の神『キューピット』は、ローマ神話の神なので、このお話には登場しません。これ以上設定を増やすと作者の筆が今以上に遅くなってしまう」
ミヅハノさまのおっしゃった後半部分はよくわかりませんが、とにかく矢が神さまや、人に当たっても、恋に落ちることにならないようです。
(もし、ピンクの矢が金色の矢であったなら、フェールドお兄さまに当てたら、恋に落とせるということなの… 欲しい)
「エリーゼ。そんな邪な心を持った人にキューピットの矢を与えることはできません。障壁結界を試射がわりに弓を引けばいいわ。因みにきちんと矢に“男神ロキの思念体に当たれ”と念じて放つのですよ」
ミヅハノさまは、再びわたしの心を読んだようです。
そして、わたしは弓を構えました。
「うんうん。わたしの体力に合わせてくれて、無理な負荷をかけないで弦を弾けるわ。弓はちょっと金色で眩しいけど。ロキに当たってね」
わたしが念を乗せると、矢がピンクから黒に色が変わりました。
そして、ミヅハノさまは、大きな鏡をとこからともなく出して、フレイヤさまと龍神さまの三柱で覗いています。
ビューーーン
矢は、障壁結界に向かって飛び出しました。
ギュウゥゥーーン
障壁結界に届こうかという距離から、矢は方向を変えて上空に向かって飛んでいきました。
キランっと矢が光った数秒後
「いっ 痛いぃぃいいいい」
と男性の大きな声が聞こえてきました。
(え!? なにこの声?)
まわりを見るとお祖母さまやお母さま達も目を見開き、空を見上げています。
ミヅハノさま達は、ニヤニヤと口角を上げています。
そして驚くわたしに
「エリーゼ。もう一回弓を引くがよい」
「はい」
わたしは先ほどと同じく、矢にロキに当たれと念じて矢を放ちました。
ビューーーン
矢は、障壁結界に向かって飛び出しました。
ギュウゥゥーーン
一回目と同じく、障壁結界に届こうかという距離から、矢は方向を変えて上空に向かって飛んでいきました。
キラン!
「いっ 痛いぃぃいいいい。畜生何なんだよぉぉおおお!!!!!!」
先ほどよりも大きな声が聞こえました。
「あはははは」 と笑うミヅハノさま
「うふふふふ」 と笑うフレイヤさま
「これは、愉快だ!」とおなかを抱えている龍神さま
それらを見て、驚く大人たち。
防壁結界の中で花提灯をつくって、寝ているフェールドお兄さまにブレン。
笑う神さまと唖然とする大人。
「ミヅハノさま。絶叫している声の主はもしかして?」
「エリーゼ。その通りだ。矢がお尻に当たって絶叫しているのはロキ本体だ。矢を放つときに『ロキの思念体』でなく、『ロキに当たれ』と念じて矢を放っただろう。だからものすごい距離を飛んでロキ本体に直撃したようだ」
ミヅハノさまは、言い終えてから「クククク」と笑っておられます。
「目の前にあるはずの、ロキの思念体でなく、本体に矢が当たったのですか?」
「くくくく。その通りだ。全く防御結界を通り越して、ものすごい距離を、いともたやすく矢を飛ばせ、そなたに興味を持ったロキを攻撃するとは、なんともすごい能力だな」
女神さまと龍神さまの笑い声がお庭に広がり、大人たちが立ちすくんでいたのです。
見た目シャボン玉になっている防壁結界は、360度どこから見てもなかにいる はずの男神ロキがいません。むしろ反対側にいる二柱の女神さまと龍神さまが見え、角度を変えると、お祖母さまやお母さま達が見えるだけです。
「に、逃げられたのかな?」
わたしは頭をかしげました。
「エリーゼ。気をつけなさい。あの神は女にも馬にもなれるのよ。牝馬になったときには、八本足の子馬を産んだこともある変態なの。姿を透明にして隠れているかもしれないわ」
女神フレイヤさまの言葉の後に和服の女神ミヅハノさまが続きます。
「エリーゼ。ここは、防壁結界を先ほど私達が貴女に渡した弓で打ち抜くのです」
「しかし、ミヅハノさま。もしこのピンクの矢が、ロキに当たったら、ハートをキャッチしてしまうかもしれません」
わたしは、ピンクの矢を『キューピットの矢』と認識してしまっていたのです。
「エリーゼ。安心しなさい。フレイヤの涙で作った弓は金色ですが、矢は金でできていません。そして何より矢じりが、ハートの形ではありません。
そもそも、ここの世界観は大昔の日本で、今、北欧神話の神が遊びに来ている設定なのよ。恋の神『キューピット』は、ローマ神話の神なので、このお話には登場しません。これ以上設定を増やすと作者の筆が今以上に遅くなってしまう」
ミヅハノさまのおっしゃった後半部分はよくわかりませんが、とにかく矢が神さまや、人に当たっても、恋に落ちることにならないようです。
(もし、ピンクの矢が金色の矢であったなら、フェールドお兄さまに当てたら、恋に落とせるということなの… 欲しい)
「エリーゼ。そんな邪な心を持った人にキューピットの矢を与えることはできません。障壁結界を試射がわりに弓を引けばいいわ。因みにきちんと矢に“男神ロキの思念体に当たれ”と念じて放つのですよ」
ミヅハノさまは、再びわたしの心を読んだようです。
そして、わたしは弓を構えました。
「うんうん。わたしの体力に合わせてくれて、無理な負荷をかけないで弦を弾けるわ。弓はちょっと金色で眩しいけど。ロキに当たってね」
わたしが念を乗せると、矢がピンクから黒に色が変わりました。
そして、ミヅハノさまは、大きな鏡をとこからともなく出して、フレイヤさまと龍神さまの三柱で覗いています。
ビューーーン
矢は、障壁結界に向かって飛び出しました。
ギュウゥゥーーン
障壁結界に届こうかという距離から、矢は方向を変えて上空に向かって飛んでいきました。
キランっと矢が光った数秒後
「いっ 痛いぃぃいいいい」
と男性の大きな声が聞こえてきました。
(え!? なにこの声?)
まわりを見るとお祖母さまやお母さま達も目を見開き、空を見上げています。
ミヅハノさま達は、ニヤニヤと口角を上げています。
そして驚くわたしに
「エリーゼ。もう一回弓を引くがよい」
「はい」
わたしは先ほどと同じく、矢にロキに当たれと念じて矢を放ちました。
ビューーーン
矢は、障壁結界に向かって飛び出しました。
ギュウゥゥーーン
一回目と同じく、障壁結界に届こうかという距離から、矢は方向を変えて上空に向かって飛んでいきました。
キラン!
「いっ 痛いぃぃいいいい。畜生何なんだよぉぉおおお!!!!!!」
先ほどよりも大きな声が聞こえました。
「あはははは」 と笑うミヅハノさま
「うふふふふ」 と笑うフレイヤさま
「これは、愉快だ!」とおなかを抱えている龍神さま
それらを見て、驚く大人たち。
防壁結界の中で花提灯をつくって、寝ているフェールドお兄さまにブレン。
笑う神さまと唖然とする大人。
「ミヅハノさま。絶叫している声の主はもしかして?」
「エリーゼ。その通りだ。矢がお尻に当たって絶叫しているのはロキ本体だ。矢を放つときに『ロキの思念体』でなく、『ロキに当たれ』と念じて矢を放っただろう。だからものすごい距離を飛んでロキ本体に直撃したようだ」
ミヅハノさまは、言い終えてから「クククク」と笑っておられます。
「目の前にあるはずの、ロキの思念体でなく、本体に矢が当たったのですか?」
「くくくく。その通りだ。全く防御結界を通り越して、ものすごい距離を、いともたやすく矢を飛ばせ、そなたに興味を持ったロキを攻撃するとは、なんともすごい能力だな」
女神さまと龍神さまの笑い声がお庭に広がり、大人たちが立ちすくんでいたのです。
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