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一章
月の光が照らした道の先へ~幸子の場合~
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「おとうさーん!!」
泣きながら幸子は父を呼んだ。
父の愛を求め父の背中を追う幸子を、父は夜の歩道に残して走り去った。
父は父親という服を破り捨てて、ただの男にかえって自分一人だけの未来へと、置いていくものをふりかえりもせず、それらを足で振り払って前だけを見て一心不乱に走って消えていった。
さっきころんだ時、膝を擦りむいたらしい。幸子の膝には血がにじんでいた。
しかし心の痛みが強すぎて幸子は膝の傷にしばらく気づけないでいた。
「なんでやの?なんでやの!!」
心の半分を無くしてしまったような感覚を覚えなから幸子は闇にむかって激しく泣いた。
それは暑い夏の夜だった。
今にも崩れそうな幸子をまあるい月がその先の道を静かに照らし続けていた。
「おとうさーん!!」
泣きながら幸子は父を呼んだ。
父の愛を求め父の背中を追う幸子を、父は夜の歩道に残して走り去った。
父は父親という服を破り捨てて、ただの男にかえって自分一人だけの未来へと、置いていくものをふりかえりもせず、それらを足で振り払って前だけを見て一心不乱に走って消えていった。
さっきころんだ時、膝を擦りむいたらしい。幸子の膝には血がにじんでいた。
しかし心の痛みが強すぎて幸子は膝の傷にしばらく気づけないでいた。
「なんでやの?なんでやの!!」
心の半分を無くしてしまったような感覚を覚えなから幸子は闇にむかって激しく泣いた。
それは暑い夏の夜だった。
今にも崩れそうな幸子をまあるい月がその先の道を静かに照らし続けていた。
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