《最後の鍵の使い手》どんな宝箱でも開けれるので『アイテム回収役』としてパーティにいたけど、追放されました。~えーっと、僕が抜けて大丈夫?~

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004 ~シャングたちの黄金の道①~

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俺たち『黄金の冒険者エルドラゴ』はレギネシア王国の城の特別室に来ていた。

「くーー!邪魔者が居なくなって飲む酒は最高だな!」

「うむ!間違いないな!」「ほんとそうよねシャング様~!」

王から直接依頼を受けることを許された俺たちは、豪勢な食事が用意された部屋で王の使いの者が来るまで追放したウィルの話をして談笑していた。

「にしても、あいつ案外あっさりあの時消えたわよね?普通S級から追放されるなんて、絶対に嫌な事なのに、なんでかしら?」

ティメルが俺に聞いてくる。

「さぁな、さしずめ俺らに歯向かったって勝てないと思ったんだろ!ハハハハハ!!」

「やはり、俺たちに恐れをなしたか」

武闘家のアンデスが頷く。

「まぁ、あんな言い方で追い出されたんじゃどうしようも無いわよね~!」

ティメルが俺の首に手を回して抱き着いてくる。
ふん、俺が拾ってやらなきゃあいつは1人だったんだ。今までアイテム回収役として使ってあげただけありがたく思うのが普通なんだよ。

俺は足をテーブルの上に置いてワインを飲む。

すると、ガチャと部屋のドアが開いて王の使いの者が入ってきた。
ローブを羽織った老人の男だ。

「シャング殿、それに『黄金の冒険者エルドラゴ』の皆様、本日は城にお越しいただきありがとうございます」

「ああ、今日も来てやったぜ。で、依頼を聞こうか?」

「はい、その前にご紹介したいお方が居まして…」

王の使者の後ろから一人の美少女が現れた。金髪碧眼の端整な顔立ちをした銀の鎧を着た少女。歳は俺より少ししたくらいの16、7歳くらいだろう。
俺は首に抱き着いているティメルを引きはがして立ち上がる。

眼を、心を奪われた。世の中にはこんなに美しい人物がいるというのか…。

「そ、そちらの美しい人は?」

俺が王の使者に尋ねる。

「はい、こちらはクレイアリエス皇国の姫であります、ソフィ・クレイアリエス様でございます」

「あなたが、レギネシア王国直轄のS級冒険者たちね。初めまして、私はソフィ。あなた方に依頼があってきました」

長い金髪の髪を揺らして俺に近づいてきた。

「は、はい!俺たちがS級冒険者の『黄金の冒険者エルドラゴ』です!!ソフィさんの依頼であれば、何でも引き受けて迅速に解決させていただきます」

俺は腕を自分の胸に置いて、ソフィ姫を見詰めて言った。
完璧に決まった。

俺はこの依頼を完璧にこなして、この姫をもらう!!
ククク!!ついにここまで来たぞ!!俺はクレイアリエス皇国の時期王になって見せる!!!

「それは心強いですわね」

笑顔を俺に向けて微笑む。
この女は俺に気があるに違いない!!

当たり前だ、背も高くてイケメンでS級の俺を見て心奪われない女などいない!

「では、ソフィ様、さっそく彼らに依頼の詳細を…」

王の使者がソフィ姫に言う。

「はい、わかりました。実は私の国、クレイアリエス皇国に数週間前とあるモンスターが現れました。一夜にして甚大な被害を被り、今は復興の途中なのです…」

「なんと!…それは、さぞつらい思いをしたでしょうに……」

「い、いえ、私なんかよりも国民の方々の方が大変な目に合われましたから……今回の依頼はそのモンスターの討伐を行って欲しいのです。報酬は幾らでも払います、私も何だってします!是非お力をいただけませんでしょうか!」

ソフィ姫の涙ぐんだその表情がたまらなくいい。
大金も入るし、この姫。今何だってするって言ったぞ。ククク。

「もちろんです!!!このシャング!!必ずそのモンスターを討伐して見せます!!!」

「本当ですか!ありがとうございます!!では、そのモンスターの情報があった場所の詳細をお伝えしますね」

ソフィ姫は地図をテーブルに広げ始める。

「ソフィ姫、そのモンスターというのはどのような姿形をしているのですか?」

モンスターの詳細が分からなければ対処のしようがない。俺はソフィ姫に聞いた。

「……それが、よく、わからないのです…雷の様な、竜の様な姿をはっきりと見た者はいないと…」

「な、なるほど…」

チッ!ドラゴン系か…。少々手こずりそうだが、まぁ、俺の『龍神族の剣』があれば問題ないだろう。

その後、俺たちはソフィ姫からそのモンスターの情報を聞いて準備を始めることにした。

「では、よろしくお願いします。シャング様。私は私で各地のギルドを回って情報集めてきます」

「この城にいたらどうです?俺たちがすぐに片づけて差し上げますよ?」

アンデスとティメルも俺と同じくうなづく。

「……いえ、私も何か動いていないと、落ち着かなくて……お気遣いいただきありがとうございます」

そういうと、ソフィ姫はそそくさと部屋を出て行ってしまった。

「せっかちなお姫様だな、シャング」

「ああ、……だがこれはチャンスだぞ!!俺たちが世界中に名を轟かせる日は近い!!ふ、ふははははは!!」

「んーもうぅ!シャング様には私がいるんだからね~!」

「そういえば、ロッソはどうした?遅いな。武器防具を取りに行ってどれくらいだった?」

この城に呼ばれたとき、俺たちの武器や防具、アイテム類を部屋に置いてきたのか、いつの間にか無くなっていたので取りに戻らせていたんだがな。
少しばかし時間がかかりすぎている様だ。

「どこかで道草でもくってるんじゃないか?」

アンデスが腕を組みながら答える。

「チッ!あの女。帰ったら腹パンしてやる。今は急いでいるつーのによぉ!」

俺が椅子に座ってテーブルに足を置いて言う。




と――――
そこに、バタン!と激しい音と共に扉が開いた。


「シャ!!!シャング!!!!」

そこには青ざめた顔したロッソが汗を大量に流しながら立っていた。

「おせーーぞ!!!ロッソ!!どこで道草くってやがった!!」

「………ないんだ……」

「…あ?」

ロッソの様子がおかしい。

「一体どうしたって言うんだ?」

俺がロッソに近づいて聞く。

「ないって、何が無いんだよ」

「……わ、わたしたちの武器や装備やアイテムが……!!全部!!!無くなってるんだ!!!!」

「な、なに!!?」

ロッソの後ろを見ても、何も荷物は無い。

「ど、どういう事だ!!ロッソ!!」

「そ、そうよ!!何言ってるの!!武器や防具やアイテム類は私たちしか入れない部屋にしまっておいたじゃない!!」

アンデスとティメルもロッソに詰め寄る。
しかし、ロッソはそのままペタンと床に座り込んでしまった。

「あ、ありえない…!!!そ、そんな!!」

俺はよろけて数歩下がってしまう。

「…ま、まさか、ウィルが持って行ったとか?」

アンデスが言う。

「いや、それはない。あいつが出て行ったあとに俺たちは武器や防具を部屋に入れた。取り出す暇はないはずだ…」

そうだ。奴にそんなことをする時間も隙も無いはずだ。なぜこんなことが…。
やっと手が届きそうなこの時期に!!クソが!!

何がどうなってやがる!!

「ど、どうするの…シャング……あのお姫様の依頼…」

「うるさい!!!黙ってろ!!!!」

「ひぃ!」

ティメルを黙らせる。

俺の額から冷や汗が流れ落ちた。
く、くそおおおおお…!
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