《最後の鍵の使い手》どんな宝箱でも開けれるので『アイテム回収役』としてパーティにいたけど、追放されました。~えーっと、僕が抜けて大丈夫?~

MYU

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006 蒼白い龍

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僕らはガランさんたちと共に依頼を受けた場所に向かい山の中を歩いていた。

「そういえば今回の依頼ってどんな内容なんですか?」

隣を歩くガランさんに聞く。

「ああ、そうだったな、まだお前には伝えてなかったな。今目指しているのは熊のモンスターが出て迷惑している山奥の村だ。村人を襲ったり農作物を食い散らかすモンスターを討伐するのが今回の依頼だ」

「なるほど、害獣討伐系の依頼ですね」

人里に現れるモンスターを討伐する依頼はどのランクでも多い。
生活を脅かす存在は依頼の金額も多いと聞く。それだけ早く解決して欲しい問題なのだろう。

「まぁ今回はウィルはサポート役に徹してくれればいい。危ないことは俺たちが引き受ける。なぁ!お前ら!」

ガランさんが後ろを歩く他のパーティーメンバーに語り掛ける。

「はいっす!もちろんです!!」

元気のいい返事に3人共ガランさんを信頼して今までついてきているんだろうなと伝わってくる。

「僕も、戦えそうなら参加しますよ」

「おう!もしもの時があればお願いするぞ!だが、そんな暇はなく俺たちのコンビネーションで仕留めてやるがな!!」

この人は元気な人だな。
いつもこんな調子なのかな。でも、この元気さが彼らを引っ張る秘訣なのかもしれない。

―――

しばらく山の中を歩いていくと、狼煙が何個か上がっているのを見つけた。

「ガランさん…あれ」

僕が指さすとガランさんもその方向を見る。

「あ、あれは…村の方角だ…!!何かあったのかもしれない、急ぐぞ!お前たち!!」

急いでその場所に向かって走っていく。

狼煙の上がっている場所につくと、そこにはボロボロに崩壊した家々があった。
地面がえぐれて燃えている家や木もある。そして、倒れている人も多くいた。

「な、なんてことだ……!!」

ガランさんは倒れている人の元に向かっていき抱きかかえる。

「大丈夫ですか!!しっかり!!」

「う、ううう……に、にげろ……」

倒れている男性は意識がもうろうとしている。

「なにがあった…!こんなひどい有様…例の熊のモンスターが現れたのか?」

「……う、…うう…ち、ちがう……」

男性はかすかに動く腕を上げてとある方向を指さした。
その方向には、倒れて首がもげている熊のモンスターの死体があった。

「な!!なんだと!!!」

「…あ、あんた、たちも…にげ、ろ……」

「……そ、そんな…」

ガランさんもさすがに動揺している。
たしかにここまでの被害。ただの熊のモンスターだけの仕業では無理があるとは思っていたが。
もう死んでいたとは…。

「ガランさん…今は他の人たちを救出しましょう」

僕がガランに近づいて言う。

「あ、ああ。そうだな…お前ら!!怪我した住民たちを探して一か所に集めるぞ!!近くに洞窟があった。そこに運ぶ!」

「わ、分かりました!」

パーティーメンバーの3人は住民を探して村を駆け回り始めた。

「……にしても、この雰囲気はなんだ…。まだべったり肌に付くような嫌な感じ…」

僕は辺りを確認する。空、森、破壊された村。全てを見ても、まだ緊張感が解けていない様な。
まだ、脅威は去っていない様なそんな気が…。

「ガランさん、ここは早くおいとました方がいいかもですね」

「な、何かわかるのか?ウィル…?」

「いや、ただ、まだ何か近くにいるようなそんな気配があるんです」

「なに!?そ、それは本当か!!クソ!一体だれがこんなことを…!!」

ガランさんは武器であるかぎ爪を装備する。

「今は怪我人を一刻も早く非難させてください!」

「お、おう!わ、わかった!」

ガランさんが倒れている男性を抱えたその時ーーーー。




「グォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!!!!!」



突風と地面が揺れる程の凄まじい音。
一瞬何が起こったのか頭で処理できないほどの衝撃。

気が付くと村の中心に蒼白く輝く巨大な龍がいた。

「あ、あああ…ド、ドラゴン……」

ガランさんが腰を抜かして地面に座り込んでしまう。
全くどこにいるのか感じ取れなかったのに一瞬で目の前に現れたこの龍は、熊のモンスターとは比較にならないほど強いということが誰でも感じ取ることが出来た。

「グォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!!!!!」

もう一度雄たけびを上げて地面と空気を揺らす。鼓膜がちぎれそうになるほどの音圧。
音だけで身体全体が吹き飛ばされそうな。

こんなドラゴンは今まで一度も見たことが無い。『黄金の冒険者エルドラゴ』にいた時でさえ出会わなかった。

「グルルルルル……」

蒼白く輝く鱗は水晶の様に透き通り、太陽の光を反射して神々しく存在している。

「……へぇ~、面白いじゃん」

僕は『異次元の道具箱』に手を伸ばした。
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