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型破りな初心者
爆弾ゲーム
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「なあキョウスケ。」
「なに?」
「金ってギルドホーム以外は何に使うん?」
「本来はレベル毎に適正装備があって…
買い替えるためにかなり金がかかるんだよ。」
「でも俺らって素手やん。」
「俺は適正レベルの杖を持てば最大MPにブーストがかかったりするけど…
まだ一回も魔法とか使った事無いし、まだ装備無しでも良いかなって。」
「ちなみにボンバーマンって専用装備とかってあるの?」
「いや、そもそもボンバーマンが超レアジョブで情報とか出回って無いんだよ。」
「そうなんや。」
「だってこのゲームって本来は剣と魔法のRPGだぜ?
戦士、魔法使い、僧侶、ボンバーマン…
な?ひとつだけどう考えても仲間外れだろ?
ファイアーボールとかウインドカッターとか唱えてる横で指向性地雷とかグレネード投擲とかって明らかに場違いじゃん。」
「そうか…
冷静になって考えると超ウケるな。」
「お前のその性格、便利だな…」
今日は[おつかいクエスト]を受ける2人。
指定箇所に移動してNPCと喋るだけの簡単なクエストだが、そのぶん報酬も安い。
今回は隣町へ荷物を届けるという内容だ。
「この山を越えれば目的地だな。」
「ウエスト・ナポリタンやんな?
地名にパスタソース縛りでもしてんのかな。」
「でもビシソワーズ・ビレッジとかあるから単に横文字つければカッコいい的な発想じゃね?」
「あ、料理縛りか~
冷やし担々うどん山とかもあるんかな。」
「いやいや、お前のチョイス…」
「ちなみに俺らが今から登る山の名前ってなに?」
「えーっと…
確か名前とか無かったはず…」
「カルボナーラとナポリタンの間やから…
ミートソース粉チーズ増しってとこか。」
「粉チーズ増しはあんまわからんけど、とりあえず行こうぜ。」
2人は登山を始める。
勾配が緩やかな小さな山で、出現する魔物は蜘蛛や蜥蜴等だ。
罠なども無く、扱いもダンジョンでなくフィールド扱いだから難易度は極めて低い。
そんな山だから何事も無く無事に…
「暇やな。」
「なんか平和だな、この山。」
「じゃあナポリタンに着くまで爆弾ゲームやろうぜ。」
「数秒持って隣の人に渡すやつ?」
「そう、それ。」
「それって2人でやって面白い要素ある?
リアルファイト不可避じゃね?」
「じゃあ逆に爆発したら勝ちにしようぜ。
ナポリタン着いたらログアウトして飯奢りな。」
「いいけど、起爆秒数どうすんの?」
「時限式の最大は5分やからそれでいいやん。
一回辺りの持ち時間は最大5秒な。
爆弾渡す時はしりとりしながらでやろうぜ。」
「わかった。
メニュー開いたら時間わかるし、開いた時点で負けな。」
「りょ!
じゃあ作るで~」
(どうせなら最大火力で…)
約4分30秒後…
「ね…ね…ネビル・ロングボトム。」
「む、室伏広治。」
「ジェイソン・ステイサム。」
「む…室伏広一郎。」
「誰だよそれ。
お前さっきから室伏連打し過ぎだろ~
無し、ノーカンな。」
「おま、あの室伏広一郎知らんの?」
「知り合いにはいないぞ。」
「うん、俺も知らん。」
「お前ふざけんな…」
爽やかな風が吹く木漏れ日溢れる山道。
風に揺られて木々は踊り、小鳥達は歌を歌う。
そんな優しい雰囲気を凪払う爆発音。
その轟音と同時に3人のキャラが死亡し、スポーン地点へ転送された。
「ちょ、あんたたち気でも狂ってんの!?
いきなり大爆発とかワケわかんないし!!」
「えっ?」
「待って、誰?
てかなに?俺ら死んだ?」
「あんたらの爆発に巻き込まれて私まで死んだじゃない!!
せっかくお金貯めたのに…」
「えっ?うそやん。
死んだら金無くなるん?」
「おいマサト!所持金半分になってんぞ!!」
「デスペナルティよ。
そんなことも知らずにこのゲームやってたの?」
「全然知らんかった。
てかネエチャン誰?」
「アリサよ。
あんた達は?」
「男前の俺がマサトで、こっちのボンクラがキョウスケ。」
「真面目で誠実な俺がキョウスケで、こっちのスケベ面がマサト。」
「あ、あんた達が仲良いのは伝わったわ…」
「で、アリサはなんで巻き込まれてんの?」
「ぐ、偶然よ。偶然。」
「もしかして…
移動中に敵が出てきたら面倒だから俺らを弾除け代わりにしてた?」
「失礼ね!
面倒だからじゃなくて、戦う術が無いからよ!」
「えっ、なんで?」
「だって僧侶だもん…」
「なるほど…
で、なぜ戦う術が無いのにナポリタンに行こうとしてたの?」
「友達と同時にこのゲーム始めたんだけど…
間違って初期スポーン地点を別々の町に設定しちゃったの。」
「そういうことか~
それなら普通に連れてってとか言えば良かったのに~」
「爆弾でキャッチボールしてるクレイジーな人達に声なんてかけれないよ、普通は。」
「言われてみれば確かに…」
「じゃあ巻き込んだお詫びにナポリタンまで一緒に行く?
どうせ俺らも行くし。」
「爆弾キャッチボールしないなら…」
「やらんやらん。
あれはちょっと悪ふざけが過ぎたからな~」
「そういえばさっきの爆弾ゲームはマサトの負けだったよな?」
「いやいや、ギリギリでキョウスケに渡したやん。」
「いや、渡される前に爆発しただろ。」
「あんた達、あれってゲームだったの?
やっぱりクレイジーだね…」
この日、再び攻略掲示板が荒れていた。
そのスレッドのタイトルはこうだ…
[期待の新星(笑)に新メンバー加入ww]
どうやら新メンバーとはアリサの事らしく、さまざまな推測やデマが書かれていたようだ。
「僧侶・僧侶・テロリストのパーティーとかウケるww」
「なぜかフィールドで自爆したらしいぞ!!」
「ついに自爆テロか…」
「新星がPvPエリアに来ない事を祈ろう。」
「なに?」
「金ってギルドホーム以外は何に使うん?」
「本来はレベル毎に適正装備があって…
買い替えるためにかなり金がかかるんだよ。」
「でも俺らって素手やん。」
「俺は適正レベルの杖を持てば最大MPにブーストがかかったりするけど…
まだ一回も魔法とか使った事無いし、まだ装備無しでも良いかなって。」
「ちなみにボンバーマンって専用装備とかってあるの?」
「いや、そもそもボンバーマンが超レアジョブで情報とか出回って無いんだよ。」
「そうなんや。」
「だってこのゲームって本来は剣と魔法のRPGだぜ?
戦士、魔法使い、僧侶、ボンバーマン…
な?ひとつだけどう考えても仲間外れだろ?
ファイアーボールとかウインドカッターとか唱えてる横で指向性地雷とかグレネード投擲とかって明らかに場違いじゃん。」
「そうか…
冷静になって考えると超ウケるな。」
「お前のその性格、便利だな…」
今日は[おつかいクエスト]を受ける2人。
指定箇所に移動してNPCと喋るだけの簡単なクエストだが、そのぶん報酬も安い。
今回は隣町へ荷物を届けるという内容だ。
「この山を越えれば目的地だな。」
「ウエスト・ナポリタンやんな?
地名にパスタソース縛りでもしてんのかな。」
「でもビシソワーズ・ビレッジとかあるから単に横文字つければカッコいい的な発想じゃね?」
「あ、料理縛りか~
冷やし担々うどん山とかもあるんかな。」
「いやいや、お前のチョイス…」
「ちなみに俺らが今から登る山の名前ってなに?」
「えーっと…
確か名前とか無かったはず…」
「カルボナーラとナポリタンの間やから…
ミートソース粉チーズ増しってとこか。」
「粉チーズ増しはあんまわからんけど、とりあえず行こうぜ。」
2人は登山を始める。
勾配が緩やかな小さな山で、出現する魔物は蜘蛛や蜥蜴等だ。
罠なども無く、扱いもダンジョンでなくフィールド扱いだから難易度は極めて低い。
そんな山だから何事も無く無事に…
「暇やな。」
「なんか平和だな、この山。」
「じゃあナポリタンに着くまで爆弾ゲームやろうぜ。」
「数秒持って隣の人に渡すやつ?」
「そう、それ。」
「それって2人でやって面白い要素ある?
リアルファイト不可避じゃね?」
「じゃあ逆に爆発したら勝ちにしようぜ。
ナポリタン着いたらログアウトして飯奢りな。」
「いいけど、起爆秒数どうすんの?」
「時限式の最大は5分やからそれでいいやん。
一回辺りの持ち時間は最大5秒な。
爆弾渡す時はしりとりしながらでやろうぜ。」
「わかった。
メニュー開いたら時間わかるし、開いた時点で負けな。」
「りょ!
じゃあ作るで~」
(どうせなら最大火力で…)
約4分30秒後…
「ね…ね…ネビル・ロングボトム。」
「む、室伏広治。」
「ジェイソン・ステイサム。」
「む…室伏広一郎。」
「誰だよそれ。
お前さっきから室伏連打し過ぎだろ~
無し、ノーカンな。」
「おま、あの室伏広一郎知らんの?」
「知り合いにはいないぞ。」
「うん、俺も知らん。」
「お前ふざけんな…」
爽やかな風が吹く木漏れ日溢れる山道。
風に揺られて木々は踊り、小鳥達は歌を歌う。
そんな優しい雰囲気を凪払う爆発音。
その轟音と同時に3人のキャラが死亡し、スポーン地点へ転送された。
「ちょ、あんたたち気でも狂ってんの!?
いきなり大爆発とかワケわかんないし!!」
「えっ?」
「待って、誰?
てかなに?俺ら死んだ?」
「あんたらの爆発に巻き込まれて私まで死んだじゃない!!
せっかくお金貯めたのに…」
「えっ?うそやん。
死んだら金無くなるん?」
「おいマサト!所持金半分になってんぞ!!」
「デスペナルティよ。
そんなことも知らずにこのゲームやってたの?」
「全然知らんかった。
てかネエチャン誰?」
「アリサよ。
あんた達は?」
「男前の俺がマサトで、こっちのボンクラがキョウスケ。」
「真面目で誠実な俺がキョウスケで、こっちのスケベ面がマサト。」
「あ、あんた達が仲良いのは伝わったわ…」
「で、アリサはなんで巻き込まれてんの?」
「ぐ、偶然よ。偶然。」
「もしかして…
移動中に敵が出てきたら面倒だから俺らを弾除け代わりにしてた?」
「失礼ね!
面倒だからじゃなくて、戦う術が無いからよ!」
「えっ、なんで?」
「だって僧侶だもん…」
「なるほど…
で、なぜ戦う術が無いのにナポリタンに行こうとしてたの?」
「友達と同時にこのゲーム始めたんだけど…
間違って初期スポーン地点を別々の町に設定しちゃったの。」
「そういうことか~
それなら普通に連れてってとか言えば良かったのに~」
「爆弾でキャッチボールしてるクレイジーな人達に声なんてかけれないよ、普通は。」
「言われてみれば確かに…」
「じゃあ巻き込んだお詫びにナポリタンまで一緒に行く?
どうせ俺らも行くし。」
「爆弾キャッチボールしないなら…」
「やらんやらん。
あれはちょっと悪ふざけが過ぎたからな~」
「そういえばさっきの爆弾ゲームはマサトの負けだったよな?」
「いやいや、ギリギリでキョウスケに渡したやん。」
「いや、渡される前に爆発しただろ。」
「あんた達、あれってゲームだったの?
やっぱりクレイジーだね…」
この日、再び攻略掲示板が荒れていた。
そのスレッドのタイトルはこうだ…
[期待の新星(笑)に新メンバー加入ww]
どうやら新メンバーとはアリサの事らしく、さまざまな推測やデマが書かれていたようだ。
「僧侶・僧侶・テロリストのパーティーとかウケるww」
「なぜかフィールドで自爆したらしいぞ!!」
「ついに自爆テロか…」
「新星がPvPエリアに来ない事を祈ろう。」
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