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一番最初

第一話

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ふと、目を開けて見た。
あたりは日差しが暖かく、嘘みたいな気温。

そう思うのも無理はなく、私がさっきまでいたはずの場所、、、二月の東京は雪がちらつき吐く息も白く、見渡せばみんなコートにマフラー手袋と防寒対策バッチリ!!な環境だった。

それなのに今の自分はどうだろう。

こんっなに厚着をしているのが馬鹿馬鹿しい位暖かい、地球の裏側まで来たのかと思うほど180度変わった気候になっている。

「まさか、夢?それとも、ここは天国?」

いずれにしてもこの格好はこの場所には似つかわしくないので防寒着等脱いでみる。

この草原はいったい、、、ここはどこなの?
私はなんでこんな所にいるの?

私はさっきまで自分達がいたであろう場所を思い返す。

仕事も終わり、雪の中、電車の遅れにハラハラしながら保育園に迎えに行き、二人の娘達、あかねとひよりを連れて帰宅する為駅の改札口を通り階段を降りようとした。
雪の日の駅は人でごった返し階段も靴や傘などから落ちた雪で滑りやすくなっていて、小さなあかねとひよりでは危ないと思い、二人を抱っこして階段を降りることにした。
たまたま遅れていた電車が到着とのアナウンスが流れ、帰宅を急ぐ人達が急ぎ出した。

「うわっ、危ないなぁ」と思いつつも私、マキも小走りに急ぎ階段を降りる。

すると階段にたまっている雪が視界に入らず滑ってしまい、あっと思った時にはもう後の祭り。。。

「あかね、ひより、ごめん!!
小さいのに痛い思いさせて本当ごめんね。
痛そうだなぁ、どうしよう、骨折とかだったら明日からの仕事どうしよう。」

そんなことを考えながら、階段から落ちていく感覚に子供達を両腕にかかえこみ少しでも衝撃を減らそうと努力する。


そう、これがさっきまで本当に私自身の世界での出来事。


そして、最後の記憶・・・
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