上 下
11 / 16
新しい何か

第十一話

しおりを挟む
皆でザーブル村を出発してバスラムに向かい歩いて行く。
途中グリアム樹海という森のような木が生い茂っている場所には、人喰い花やゴブリンといったモンスターがいて、私達は聖水を使ったりしてなんとか見つからないように歩いて行く。モンスターはある一定の距離があればどうやら気が付かれないようで、見つかる事なくグリアム樹海を抜ける事ができた。

そして、樹海を抜けた先には私達が一番初めに降り立った場所・・・ブランサス草原にたどり着いた。ここから始まったのだ、つい数日前に。
私的にはもうだいぶ前の事のように思う。
それでもまだ三日しかたっていないのだ。
意外と私適応能力高いなとしみじみ思う。
それから暖かい草原を歩いて抜けて行くとバスラムマナに到着する。
門をくぐると兵士がいて私達を迎える。
「ようこそ、バスラムの街へ。」
そう言われ挨拶をすると私達は中へと入っていった。

街の中を進んでいくと大きなゴージャスな建物があり、どうやらあれが神殿かとパッとみただけでわかる佇まいだった。

中に入ると、神官長ガリサスがいて私達に話しかける。

「こんにちは、旅の人。
本日は当神殿にどういったご用事でしょうか?」

「こんにちは、神官長様。
実は本日ちょっと普通ではないお話しを含めてお願いがあります。
お聞き願えますでしょうか?」

「内容によるかもですが、極力お聞きしたいと思います。
大丈夫です。ここでお聞きした事を別の誰かにお話しする事はありません。安心してお話し下さい。部屋を変えましょうか。ミリ、お部屋の用意をして頂けますか。」

「はい、承知致しました。」

しばらくすると神官長様が「参りましょう」とお部屋に案内して下さいました。
あかねとひよりはなれない綺麗な建物に大興奮!!
「しゅごーい、ママここきれーねー」
「マーマーパチパチねー」と大喜び。

リーサも滅多に来ることはないらしく感動していた。

「さぁ、どうぞ、お座り下さい。」と神官長様が手を差し出して下さる。
それをみて私達はソファーに腰掛ける。

「まずは貴方のお話し聞かせて頂けたらと思います。お願いしても宜しいですか?」

「はい、わかりました。」

「少し長くなりますがお聞き頂けたらと思います。
私の名前はマキと申します。
上の娘あかね、下の娘ひよりと申します。
私達三人、三日前に樹海近くのブランサス草原に降り立ちました。
ここではない、全く違う世界からです。
私達三人は地球という星の日本という小さな島国に暮らしていました。
雪の降る日、階段から二人を抱えたまま落ち、気がつくとブランサス草原に居ました。全く見た事のないこの世界に恐怖感と緊張感がありどうしようか困り歩いて行くと樹海の中に入り、また気がついたらザーブル村の入口にいました。そこで、リーサに出会い私達はリーサの自宅に住まわせて頂いております。私にはこの世界の何かがわかるわけではありませんが、娘達とリーサと共に生きていく為に何か出来る事がないかと考え、魔法の事を聞き、私にも使えないだろうか?と思いこちらに参った次第です。私の魔力、系統を調べて教えて頂きたいのです。お願い出来ませんか?」

私が話し終わると神官長様は「お話はわかりました。調べてみましょう。貴方達の力になれるよう考えたいと思います。

「ミリ、水晶をここに」
「はい、承知致しました」

「さぁ、調べてみますよ。
まず魔力量ですが結構ありますね。
次に系統は、いいですね、回復の使える魔法タイプです。どちらにも特化しているわけではありませんが、回復魔法、攻撃魔法、補助魔法と全て使えます。ただ、どれかに特化しているタイプよりは全体的に劣ります。そこは気をつけてくださいね。それでは今日魔法を使えるように契約していきましょうね。」

神官長様は私が欲しかった言葉をくれた。

私は嬉しかった。やっと自分でも役に立てる。そう思うと本当に嬉しかったのだ。

契約の儀式に臨む為私達はまた部屋を移動して、神殿に向かうのだった。















しおりを挟む

処理中です...