【連載中】僕を見つめる瞳

知らない世界

存在意義2

黒髪はこの家だけ............?


「正しくはディーランス公爵家の血を引き継ぐものだけ、だな。だから君がこの世界で生きていくためにはディーランスを名乗るしかないんだ」


「..........絶対.....ですか.......?（いきなり貴族として生きていくのは無理だと思うんだけど...）」


「ああ、絶対だ。幸い君を見つけたのは私が一人でいる時だったから君の存在を知っているのは私だけだ」


「その....異世界人だと明かしたらだめなんでしょうか....?」


異世界人だと明かしたら僕がどう生きていこうと関係ないはずだ。


「だめ......というより、世界を渡り歩く者というのは噂程度でしか知られていない事なんだ.......伝承みたいなものだな。だから君が大っぴらに存在を明かすのはどんなことが起こるかわからないから危険なんだ」


僕ってツチノコみたいなもんなんだ...それは確かに目立つ、というより悪目立ちしそうだな。ひっそりと生きていきたかったのにな...。


僕はレイシャル様が言ったことに納得して無言で頷く。


「理解が早くて助かるよ」


ニコッと笑いながら言った後、急に真剣な顔付きになり男は言った。


「先程養子として引き取ると言った手前言いづらいんだが............君にしかできない、頼めないことがある」


「...........?（何だ?）」


何かよく分からないが、家から出るなとかだろうか。








「私には一人息子がいるんだが.........................その息子と入れ替わってほしいんだ」








...............ん?


どういうことだ?


「....あの....えっ...と、どういうことですか.......?（うん、...うん?.....どういうことだ...?）」


まったく理解ができず頭の中がハテナで埋め尽くされる。


もっと分かりやすく説明してくれ。


「そうだな........つまり私の一人息子を名乗り、その一人息子として....次期公爵家当主として生きてほしいんだ」


???????????


説明し直してくれたが、内容がまったく分からない。


「....はぁ........?（理解できないのは頭の悪い僕が悪いのか....?）」


「かいと、ベッドから動けるか?」


「あ、はい」


「なら息子に会わせよう。その方が早い......行くぞ」


レイシャル様はそう言い立ち上がった。


困惑しながらもレイシャル様についていくため、僕はベッドから降りた。