腐った伯爵家を捨てて 戦姫の副団長はじめます~溢れる魔力とホムンクルス貸しますか? 高いですよ?~

薄味メロン

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41 活動拠点

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 街の門を抜けて、農作地を抜けた先。

 魔物が出る森と生活圏の境目とでも呼ぶべき場所。

 俺たちはそんな場所に、建築物のパーツを持ち込んでいた。

「ミルトレイナ隊長! この木材はどちらに」

「あっ、えっと。短い柵の部品だから、領都に近い、方で……」

「わかりました! ありがとうございます!!」
「「「キュッ!!」」」

 魔物の迎撃と集積所を兼ねたキャンプ地。

 森での狩りを許された俺たち新設部隊の、活動拠点になる予定の場所だ。

「フェドナルンド副隊長! 指令室の資材を運び終えました!」

「了解。練習と同じように、手早く建てちゃって」

「了解しました!」
「「「きゅあ!!」」」

 訓練場で1度建てたものをバラバラにして、現地に運んで組み立てる。

 工法は、ツーバイフォー系。

 ラノベでよく見るやつをそのまま採用させてもらった。

「とは言っても、めちゃくちゃ簡単にしたけどな」

 建物は、窓のないコンテナのような指令室を1つだけ。

 木組みと板はすでにくっつけてあるから、大きな積み木でサイコロを作るようなものだ。

「報告します。指令室の設営。無事に完了いたしました」

「うん、ありがとう。手摺の確認は?」

「ホムンクスルの皆さんに、くまなく確認していただきました」

「なら大丈夫だね。ありがとう」

 現地に到着してから建設完了まで、1時間もかかっていないと思う。

 簡単な草刈りを済ませただけだった場所に、今は立派な木のコンテナが鎮座している。

「本当にすごいですね。壁や床をそのまま運んで、拠点をすぐに作るなんて」

「まあ、そこはほら。ホムンクルスがいてこその方法かな」

 当たり前だけど、完成した壁や床はとてつもなく重い。

 人力や馬車で運ぶとなると、かなりの労力が必要になる。

 だけど、俺たちには、疲れ知らずで力持ちのホムンクルスが大量にいる。

「建設資材に俺たちも乗せて、一緒に運んでくれるとは思わなかったけどな」

 壁や床、天井に使う6枚のパーツを積み重ねて、その上に俺たち7人の子供を乗せる。

 40体のホムンクルスがその下に潜り込み、神輿を担ぐように、ここまで運んでくれた。

 たくさんの住民のみなさまに、好奇の目を向けられながら……

「街の大通りを進む時とか、マジで恥ずかしかった……」

 畑地帯に入ってからは人が少なくて良かったが、それでもチラチラ見られていた。

 完全に、珍しい見世物だ。

 不思議な生き物に担がれる分厚い板と子供たち、2人の貴族。

 驚くな、注目するな、気にするな、なんて言う方が無理だよな。

「僕は誇らしく感じましたよ? ホムンクルスさんたちはすごいだろ、って思って」

「んー、まあ。新設部隊の宣伝にはよかったのかもしれないがな」

 注目されないよりいいけど、お笑い枠はちょっと。

 俺たちが目指しているのは、領民に頼られる部隊だ。

 お笑い集団でも、祭りの実行委員でもない。

「中央に座って居られた隊長と副隊長も、すっごく勇ましく見えました!」

「……それならいいんだけどさ」

 領民たちにどう思われているのか、正直言って不安でしかたがない。

 まあ、なにはともあれ、仕事を頑張るしかない訳だが、

「ミルト隊長たちは?」

「柵の設置を終え、こちらに向かっている最中です」

「了解」

 一応聞いてはみたが、簡単に見渡せる小さな土地だ。

 周囲を見れば、ミルトがなにをしているのかくらいすぐにわかる。

 たが、軍の部隊らしくするには、この形がいいそうだ。

「俺は先に登っている。ミルト隊長に、そう伝えてほしい」

「了解いたしました」

 どうにも面倒だよな。

 そう思いながら、コンテナに取り付けた階段をのぼる。

 コンテナの屋根に乗り、落下防止の手すりを確かめていると、ミルトが追いついてくれた。

「ごめんね。お姉ちゃんの方が、おそくなっちゃって……」

「いや、大丈夫だよ。柵の設置、お疲れさま」

「うん。これで、いざという時は大丈夫だよ! たぶん……」

 俺たちが乗るコンテナを中心に、ミルトたちが作った柵が、所々に設置されている。

 ミルト曰く、

 “ 矢の邪魔にならなくて、守りやすい防御柵 ”

 その簡易版だそうだ。

「ここに出るような魔物相手なら、これで十分なんだよな?」

「う、うん。お姉ちゃんの知識が本当に有っているなら、だけど……」

「なら、大丈夫だろ」

 改めて周囲を見たが、素人目にはバラバラに柵を並べただけにしか見えない。

 だが、そもそもが狩りの時に使う活動拠点だ。

 万が一、ミルトの知識が間違えていたとしても、街はすくそこにある。

 全員をホムンクルスに担いで貰って、一目散に逃げ帰ればいいだけだ。

「よし! 全員集合!!」

「「「はい!!」」」

 高さ4メートルほどのコンテナの上から、子供たちやホムンクルスを見下ろす。

「これより魔物狩りを始める! 各班に別れよ!」

 子供たちがそれぞれに離れて、その周囲に7体のホムンクルスが集まる。

 子供1人、ホムンクルス7体の班。

 残る5体のホムンクルスは、俺たちとここでお留守番の予定だ。

「目的は、祭りで配るための肉集めだ。互いの班で連携が取れる位置を保ち、倒せそうな魔物を狩ってきてほしい」

 強そうな魔物や巣があったら引き返す。

 1匹だけ浮いているゴブリンなど、簡単に倒せそうな魔物を集団で狩ってもらう。

「ホムンクルスを盾にしてでも、必ず全員が、ここに戻ってこい! いいな!?」

「「「はい!」」」
「「「キュァ!」」」

 これが初陣では?

 そんな気もするが、正式なものではないからオッケー。

 初陣はあくまでも、祭りの日に行う予定だ。

「安全第一に、行ってこい!」

「「「はい!!!!」」」

 各班の代表が、背もたれのある椅子を背負う。

 そこに子供たちが乗り、森の中へと向かってくれた。
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