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第8話 まずは魔力量を調べよう ミィ大歓喜
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次の日からさっそく研究がスタートした。
今日の担当は、双子のリリーとトール、そしてミィの三人だとアイラは告げられる。
アルトは次長に叱られて書類仕事のための缶詰め中。ヴィックもその手伝いをしているらしい。
「じゃあ、まずはこれ!」
リリーがアイラの前に差し出したのは、無色透明の丸いガラス玉だった。
「魔力測定器ですか?」
「おっ。知ってた?」
「はい。孤児院にいた頃に測定したことがあるので」
アイラが「聖女」と言われる最初のきっかけは、孤児院のみんなで出かけた遠足で、子どもの一人が少し大きな怪我をして、アイラがその子どもを宥めるために頭を撫でた時、無意識に癒しの術を使ってしまったことだ。
教わってないのに治癒魔法を使えるなど前代未聞で、もちろん大騒ぎになった。本人にその記憶はなかったものの、アイラの両親が二人とも癒し手だったため、両親から教わっていたのだろう、と一旦落ち着いたものの、せっかくなので魔力測定と加護の確認はしておこう、となったのだ。
「その時どんな色だったか覚えてる?」
「たしか、薄紅だったかと」
「うん、記録と同じだね!」
リリーは手元の資料に視線を落としながら頷いた。
色の濃さと魔力の強さは比例する。
また、魔力は使用頻度に応じて、強くなったり弱くなったりもするので、研究所では半年に一度ほど測定するのだそうだ。
「加護は、女神の加護だったよな」
トールの言葉に、アイラは頷く。
「はい。両親も同じでした」
女神の加護は、生活魔法や治癒が得意な人が持ちやすい、割合ポピュラーで人数も多い加護だ。
「じゃあ、とりあえず!確認も含めて、改めて加護と魔力の測定、やっていこうと思いまーす!」
リリーがにっこり笑った。
アイラが台の上に置かれたガラス玉に手を添えようとすると、ピリッと静電気のような痛みが指先に走る。思わず手を引っ込めてしまったアイラに、三人は不思議そうな顔をした。
「大丈夫?アイラちゃん」
ミィの言葉に、少し迷ってから、アイラは首を縦にふる。そして、改めて手を伸ばしてみると、今度は痛みは感じなかった。
代わりに、ガラスがすごい勢いで赤く染まってゆく。
「え?え?」
その変容にアイラが戸惑っていると、真紅と言えるほど染まったところで、トールが「手を離せ!」と怒鳴ってガラス玉に触れていた方のアイラの腕を掴んで引き寄せた。
次の瞬間パキン、と音がして、ガラス玉が真ん中から二つに割れる。
「…え?」
呟いたのが誰の声かはわからなかったが、アイラの顔から血の気が引いていく。
魔力測定器はとても高価な魔道具だと、孤児院の院長が言っていたのを思い出したからだ。
それを、壊してしまった。
また一つ、罪を重ねてしまった。
そんな思考を遮ったのは、ミィの叫び声だった。
「っきゃぁあああああああああああああ!」
ああ、やっぱりとんでもないことをしてしまったのだ、と思ってアイラがミィをみると、ミィの顔は絶望や失望ではなく、目を潤ませて感動しているようで、「ミィ、さん?」と恐る恐るかけた言葉に、紅潮した頬を押さえながら、ミィがまた叫んだ。
「アイラちゃん、貴方、すて、素敵ぃいいいいいいいっっっっ」
「ひっ」
昨日会った時、落ち着いてこちらを気遣ってくれた印象だったこともあり、真っ赤な顔して目を潤ませながら頭をぶんぶんと横に振っているミィから、思わず体を引いてしまう。
体を引いたことで、腕を掴まれたいたことを思い出し、慌ててトールに頭を下げた。
「すみませんっ、大切な魔道具を壊してしまって…」
「いいや、それより大丈夫か?」
「そうだよ!痛いとか気持ち悪いとか、不調はない?」
心配そうな同じ顔(男女の双子なのにそっくりな顔をしている)に覗き込まれて、あわあわと「大丈夫」だと返事をすると、二人はホッと息をついた。
「色的にはアルト様くらいか?」
「色だけならね。ただ、その後割れたからねぇ…。普通に考えたらアルト様より上でしょ」
「上ですよぉ!!」
割って入ってきたのは興奮冷めやらぬミィだ。
「あの魔力測定器は、魔力ばかで測定器割りまくる、対アルト様用に私が調整したものです。アルト様の魔力量でも通常で言えば底なしと言われるに近いもの。
それを軽々と割ってしまえる魔力量!完全底なし天井知らず‼︎ああっ、ああっなんて素晴らしいのでしょう‼︎この魔力量であれば魅了を使った上で治癒魔法を使うという通常ではありえない魔力の使い方でも、可能であるという証明の一助になりますよ!いきなり大進展ですね!アイラちゃん‼︎貴方の魔力、本当に本当にすてk痛い!」
「うるさいよ、ミィ」
止まらなくなったミィの頭を後ろからスパンと叩いたのは、アルトの側にいるはずのディックだった。そしてその後ろにはアルトもいる。
「ミィのこの様子だと、すごい結果がでたみたいだねぇ…。わあ、割れてる?これ、僕用のじゃなかったっけ?」
「そうです。アイラちゃんの魔力量はアルト様をゆうに超えてますよっ!」
ミィがまた何かを喋り出したが、アルトはそれをディックに押し付けて、アイラのほうを向いた。
「怪我とかしていない?」
「は、はい。それより、あの、魔道具の弁償は…一体どうしたらよろしいでしょうか…」
「弁償?」
アイラが下を向いたままそうつぶやくと、アルトは目を少し瞬かせてから、ふふっと笑った。
「いらない、いらない。研究室での備品の破損は全て研究費で落とされるように整備されてるからね。始末書はあるけどこの件で始末書かくのはミィだし、多分喜んで書くよあのこ。僕が何度も壊してた時期も鼻息荒く喜んでたから」
「鼻息荒く…」
「ミィは魔力が少なくてね。魔力多い人見ると嬉しくなっちゃうらしいよ」
笑いながらリリーがそう補足して、その後ちょっと疲れた顔をしたディックが「俺たちそれぞれ興奮するポイント違うから、その、あんまり引かないでね」と困ったように笑って言った。
今日の担当は、双子のリリーとトール、そしてミィの三人だとアイラは告げられる。
アルトは次長に叱られて書類仕事のための缶詰め中。ヴィックもその手伝いをしているらしい。
「じゃあ、まずはこれ!」
リリーがアイラの前に差し出したのは、無色透明の丸いガラス玉だった。
「魔力測定器ですか?」
「おっ。知ってた?」
「はい。孤児院にいた頃に測定したことがあるので」
アイラが「聖女」と言われる最初のきっかけは、孤児院のみんなで出かけた遠足で、子どもの一人が少し大きな怪我をして、アイラがその子どもを宥めるために頭を撫でた時、無意識に癒しの術を使ってしまったことだ。
教わってないのに治癒魔法を使えるなど前代未聞で、もちろん大騒ぎになった。本人にその記憶はなかったものの、アイラの両親が二人とも癒し手だったため、両親から教わっていたのだろう、と一旦落ち着いたものの、せっかくなので魔力測定と加護の確認はしておこう、となったのだ。
「その時どんな色だったか覚えてる?」
「たしか、薄紅だったかと」
「うん、記録と同じだね!」
リリーは手元の資料に視線を落としながら頷いた。
色の濃さと魔力の強さは比例する。
また、魔力は使用頻度に応じて、強くなったり弱くなったりもするので、研究所では半年に一度ほど測定するのだそうだ。
「加護は、女神の加護だったよな」
トールの言葉に、アイラは頷く。
「はい。両親も同じでした」
女神の加護は、生活魔法や治癒が得意な人が持ちやすい、割合ポピュラーで人数も多い加護だ。
「じゃあ、とりあえず!確認も含めて、改めて加護と魔力の測定、やっていこうと思いまーす!」
リリーがにっこり笑った。
アイラが台の上に置かれたガラス玉に手を添えようとすると、ピリッと静電気のような痛みが指先に走る。思わず手を引っ込めてしまったアイラに、三人は不思議そうな顔をした。
「大丈夫?アイラちゃん」
ミィの言葉に、少し迷ってから、アイラは首を縦にふる。そして、改めて手を伸ばしてみると、今度は痛みは感じなかった。
代わりに、ガラスがすごい勢いで赤く染まってゆく。
「え?え?」
その変容にアイラが戸惑っていると、真紅と言えるほど染まったところで、トールが「手を離せ!」と怒鳴ってガラス玉に触れていた方のアイラの腕を掴んで引き寄せた。
次の瞬間パキン、と音がして、ガラス玉が真ん中から二つに割れる。
「…え?」
呟いたのが誰の声かはわからなかったが、アイラの顔から血の気が引いていく。
魔力測定器はとても高価な魔道具だと、孤児院の院長が言っていたのを思い出したからだ。
それを、壊してしまった。
また一つ、罪を重ねてしまった。
そんな思考を遮ったのは、ミィの叫び声だった。
「っきゃぁあああああああああああああ!」
ああ、やっぱりとんでもないことをしてしまったのだ、と思ってアイラがミィをみると、ミィの顔は絶望や失望ではなく、目を潤ませて感動しているようで、「ミィ、さん?」と恐る恐るかけた言葉に、紅潮した頬を押さえながら、ミィがまた叫んだ。
「アイラちゃん、貴方、すて、素敵ぃいいいいいいいっっっっ」
「ひっ」
昨日会った時、落ち着いてこちらを気遣ってくれた印象だったこともあり、真っ赤な顔して目を潤ませながら頭をぶんぶんと横に振っているミィから、思わず体を引いてしまう。
体を引いたことで、腕を掴まれたいたことを思い出し、慌ててトールに頭を下げた。
「すみませんっ、大切な魔道具を壊してしまって…」
「いいや、それより大丈夫か?」
「そうだよ!痛いとか気持ち悪いとか、不調はない?」
心配そうな同じ顔(男女の双子なのにそっくりな顔をしている)に覗き込まれて、あわあわと「大丈夫」だと返事をすると、二人はホッと息をついた。
「色的にはアルト様くらいか?」
「色だけならね。ただ、その後割れたからねぇ…。普通に考えたらアルト様より上でしょ」
「上ですよぉ!!」
割って入ってきたのは興奮冷めやらぬミィだ。
「あの魔力測定器は、魔力ばかで測定器割りまくる、対アルト様用に私が調整したものです。アルト様の魔力量でも通常で言えば底なしと言われるに近いもの。
それを軽々と割ってしまえる魔力量!完全底なし天井知らず‼︎ああっ、ああっなんて素晴らしいのでしょう‼︎この魔力量であれば魅了を使った上で治癒魔法を使うという通常ではありえない魔力の使い方でも、可能であるという証明の一助になりますよ!いきなり大進展ですね!アイラちゃん‼︎貴方の魔力、本当に本当にすてk痛い!」
「うるさいよ、ミィ」
止まらなくなったミィの頭を後ろからスパンと叩いたのは、アルトの側にいるはずのディックだった。そしてその後ろにはアルトもいる。
「ミィのこの様子だと、すごい結果がでたみたいだねぇ…。わあ、割れてる?これ、僕用のじゃなかったっけ?」
「そうです。アイラちゃんの魔力量はアルト様をゆうに超えてますよっ!」
ミィがまた何かを喋り出したが、アルトはそれをディックに押し付けて、アイラのほうを向いた。
「怪我とかしていない?」
「は、はい。それより、あの、魔道具の弁償は…一体どうしたらよろしいでしょうか…」
「弁償?」
アイラが下を向いたままそうつぶやくと、アルトは目を少し瞬かせてから、ふふっと笑った。
「いらない、いらない。研究室での備品の破損は全て研究費で落とされるように整備されてるからね。始末書はあるけどこの件で始末書かくのはミィだし、多分喜んで書くよあのこ。僕が何度も壊してた時期も鼻息荒く喜んでたから」
「鼻息荒く…」
「ミィは魔力が少なくてね。魔力多い人見ると嬉しくなっちゃうらしいよ」
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