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綾子は朔郎と一緒に彼のアパートへ行った。六畳と四畳半のダイニングと別に風呂とトイレの付いた部屋だった。それは一七年前に佐恵子が見つけたアパートだった。
朔郎が離婚したのは会社の多くが知っていて住所も変えてい無い事も知っていた。
最初に彼の部屋を見た綾子は、本当に面倒くさいのかそれとも未練がましいのか見当ががつかなかった。納得するより呆れていた 。その当時の物をそのまま使っていたからだ。一人暮らしには目障りな物まであった。
「邪魔な物が多いわね」
朔郎は別れた妻がほとんどの物をそのまま置いて行ったから仕方がないと言った。
「だったらサッサと処分すれば良いのにこれじゃあ部屋が狭すぎるわ」
綾子は朔郎の会社に二年前に入って来た。それが二ヶ月前の送別会で酒に溺れた朔郎を見てから母性本能がどっと吹き出して無視できなくなっていた。
「何か一緒に暮らしてくれそうな口ぶりだなあ」
綾子は入社以来、朔郎には愛嬌を振りまいていた。彼はその延長で軽いノリで言わせた。
「職もなくぶらぶらしている人とやっていけると思ってんの」
綾子は本気で言っていないのは眼を見れば分かった。しかし半分は嘘でもないことも伝わって来た。やはり生活を考えると不安なのだ。
「それに付き合ったのはまだ二ヶ月よ。そんな言葉はよしてよ」
彼女まだ新鮮な気持ちを持続したかった。
「会社では二年も一緒じゃないか」
「同じ職場に居るからそう云う事になるわね。・・・それより仕事の事を考えてんの」
綾子が軽い気持ちで言って居るのは分かったが今の朔郎には最大の不安であった。それを指摘されるとやはり気が重くなる。
彼は窓際に座り込んでけだるそうに外を眺めた。いい加減な態度にむかっと来たが、彼女は掛ける言葉を失い出直すことにした。
送別会から綾子は朔郎のアパートを頻繁に訪ねる様になったが今日も泊まることなく帰った。
地下を走っていた電車は膨張して抱え切れないほどの様々な人間を抱え込んで郊外から地上に飛び出した。
それまで電車の揺れに任していた綾子は明るくなった窓の外に目をやった。閉ざされた空間が急に無限の彼方まで延びるとふっと気持ちが落ち着いた。
ーーあの人はどうしてああなのだろう。同期入社で一番親しかった狭山さんからは離婚してから精彩を失ったようだと聴いた。どんな相手だったんだろう。
『そうだなあ活発なお嬢さんって云う感じかなあ。二人は外見は正反対だけど内面は似ていた。性格は違うが性質は同じってところかなあ』
狭山さんは北村さんの奥さんをその様に言っていた。性格は違っていて、性質は同じってどう言う意味なのかしら。
綾子は無限に続くあの人の心の闇に眼を凝らした。
職安がハローワークと云う横文字に代わっているのにもあの人は馴染めない。確かに十七年の重苦しい雰囲気に比べればモダンになっている。
今の会社は妻になった 佐恵子が見つけて来た。住む場所も働く所も彼女が探し出した。それだけ佐恵子は結婚に焦っていたのだろうか? だが言い換えれば俺は佐恵子に振り回された格好になった。挙げ句が俺の前を去った。俺にとって彼女の存在は一体何だったのだろう。
朔郎はハローワークを出てから御堂筋を淀屋橋まで歩いて来てしまった。京阪電車の乗り場が目に入った。
これに乗れば佐恵子の居る京都へ行ける。行ってどうなると云うのか、軽蔑の目で見られるだけだ。いや、知り合ったあの頃の佐恵子なら親身に相談に乗ってくれるかも知れない。
朔郎の足は駅に向かった。料金表を眺めていると突然に北村と云う声に振り向いた。
「どうしてるんだ」
呼び止めたのは狭山だった。狭山はデザインの原稿を届けての帰りだった。会社の近くだから誰かに会うかも知れないと思っていたがそれが狭山で安堵した。
狭山は腕時計に目をやってから喫茶店に誘った。
この歳になれば希望の職種に付けない不満は募るばかりだ。それなら自分で独立してやる手もあったが、得意先との個人的な繋がりを付けて来なかったことが悔やまれた。
「ハローワークの帰りか、やっぱり四十過ぎでは無理だろう。しかし帰る方向が違うじゃないのか、家なら地下鉄に乗るんだろう」
狭山はなぜ京都方面の駅にお前が居るんだと云う顔をした。その何かを匂わす顔が思わず懐かしくなった。
「狭山、お前、新婚時代は俺のアパートにも遊びに来ただろう多恵さんと一緒に」
「何だ、どうした急に昔の話を持ち出して、何を言い出すんだ」
「佐恵子と別れてからは一度も来なかったなあ、気を使ってるのか」
朔郎は離婚してからは佐恵子の事は一度も口にしなかったし狭山も禁句にしていた。それがあの日以来初めて口にして狭山は一瞬驚いた。狭山は朔郎の顔を見てすぐに悟った。
「お前、最近、奥さんと会ったなぁ」
朔郎は頷いた。
「いつ会ったんだ」
「二月ほど前だ」
「ふたつきほど前か・・・。まさかあの送別会の日じゃないだろうな」
朔郎は浮かぬ顔をして黙った。
「図星か。それであの日あんだけ荒れたのか。・・・で彼女の方から訪ねてきたのか?」
「ああ。前日の晩にアパートに電話があった」
朔郎はぶっきらぼうに言った。
そりゃあ携帯が分からなけゃあアパートに電話するわなぁと狭山は笑った。
「しかしなぜ急に彼女が電話したんだ」
「分からん」と更にぶっきらぼうになったが、急に目を曇らせて「女心は」と 付け加えた。
狭山は苦笑した。
「それっきりか。だがお前が淀屋橋に居たってことは京都の彼女の居場所を知ってるンだなあ」
「彼女、名刺を置いて行ったよ」
狭山に名刺を見せた。
「北山通りか、この店はブティックか」
「そこで働いているらしい」
狭山には朔郎が淀屋橋に居た理由を理解した。
働いているらしいか、と云いながら狭山は名刺を朔郎に返した。朔郎は難しい顔で受け取った。
「狭山、実ははっきり言おう。そのあと一週間後に会いに行ってしまった、それから会ってない」
「なぜそれっきりにしたのだ」
「昔の彼女じゃなかった」
「嘘をつけ。あの人が変わる訳がない」
お見通しかと朔郎は薄笑いを浮かべた。
「つまらん男の意地さ」
それで十七年も無駄にしたか、本当につまらん奴だと云って狭山は時計を見た。会社へ戻らないとやばい時間になっていた。
別れた妻の事はお前だけの胸に納めておいてくれと約束させてその日は狭山と別れた。
朔郎が離婚したのは会社の多くが知っていて住所も変えてい無い事も知っていた。
最初に彼の部屋を見た綾子は、本当に面倒くさいのかそれとも未練がましいのか見当ががつかなかった。納得するより呆れていた 。その当時の物をそのまま使っていたからだ。一人暮らしには目障りな物まであった。
「邪魔な物が多いわね」
朔郎は別れた妻がほとんどの物をそのまま置いて行ったから仕方がないと言った。
「だったらサッサと処分すれば良いのにこれじゃあ部屋が狭すぎるわ」
綾子は朔郎の会社に二年前に入って来た。それが二ヶ月前の送別会で酒に溺れた朔郎を見てから母性本能がどっと吹き出して無視できなくなっていた。
「何か一緒に暮らしてくれそうな口ぶりだなあ」
綾子は入社以来、朔郎には愛嬌を振りまいていた。彼はその延長で軽いノリで言わせた。
「職もなくぶらぶらしている人とやっていけると思ってんの」
綾子は本気で言っていないのは眼を見れば分かった。しかし半分は嘘でもないことも伝わって来た。やはり生活を考えると不安なのだ。
「それに付き合ったのはまだ二ヶ月よ。そんな言葉はよしてよ」
彼女まだ新鮮な気持ちを持続したかった。
「会社では二年も一緒じゃないか」
「同じ職場に居るからそう云う事になるわね。・・・それより仕事の事を考えてんの」
綾子が軽い気持ちで言って居るのは分かったが今の朔郎には最大の不安であった。それを指摘されるとやはり気が重くなる。
彼は窓際に座り込んでけだるそうに外を眺めた。いい加減な態度にむかっと来たが、彼女は掛ける言葉を失い出直すことにした。
送別会から綾子は朔郎のアパートを頻繁に訪ねる様になったが今日も泊まることなく帰った。
地下を走っていた電車は膨張して抱え切れないほどの様々な人間を抱え込んで郊外から地上に飛び出した。
それまで電車の揺れに任していた綾子は明るくなった窓の外に目をやった。閉ざされた空間が急に無限の彼方まで延びるとふっと気持ちが落ち着いた。
ーーあの人はどうしてああなのだろう。同期入社で一番親しかった狭山さんからは離婚してから精彩を失ったようだと聴いた。どんな相手だったんだろう。
『そうだなあ活発なお嬢さんって云う感じかなあ。二人は外見は正反対だけど内面は似ていた。性格は違うが性質は同じってところかなあ』
狭山さんは北村さんの奥さんをその様に言っていた。性格は違っていて、性質は同じってどう言う意味なのかしら。
綾子は無限に続くあの人の心の闇に眼を凝らした。
職安がハローワークと云う横文字に代わっているのにもあの人は馴染めない。確かに十七年の重苦しい雰囲気に比べればモダンになっている。
今の会社は妻になった 佐恵子が見つけて来た。住む場所も働く所も彼女が探し出した。それだけ佐恵子は結婚に焦っていたのだろうか? だが言い換えれば俺は佐恵子に振り回された格好になった。挙げ句が俺の前を去った。俺にとって彼女の存在は一体何だったのだろう。
朔郎はハローワークを出てから御堂筋を淀屋橋まで歩いて来てしまった。京阪電車の乗り場が目に入った。
これに乗れば佐恵子の居る京都へ行ける。行ってどうなると云うのか、軽蔑の目で見られるだけだ。いや、知り合ったあの頃の佐恵子なら親身に相談に乗ってくれるかも知れない。
朔郎の足は駅に向かった。料金表を眺めていると突然に北村と云う声に振り向いた。
「どうしてるんだ」
呼び止めたのは狭山だった。狭山はデザインの原稿を届けての帰りだった。会社の近くだから誰かに会うかも知れないと思っていたがそれが狭山で安堵した。
狭山は腕時計に目をやってから喫茶店に誘った。
この歳になれば希望の職種に付けない不満は募るばかりだ。それなら自分で独立してやる手もあったが、得意先との個人的な繋がりを付けて来なかったことが悔やまれた。
「ハローワークの帰りか、やっぱり四十過ぎでは無理だろう。しかし帰る方向が違うじゃないのか、家なら地下鉄に乗るんだろう」
狭山はなぜ京都方面の駅にお前が居るんだと云う顔をした。その何かを匂わす顔が思わず懐かしくなった。
「狭山、お前、新婚時代は俺のアパートにも遊びに来ただろう多恵さんと一緒に」
「何だ、どうした急に昔の話を持ち出して、何を言い出すんだ」
「佐恵子と別れてからは一度も来なかったなあ、気を使ってるのか」
朔郎は離婚してからは佐恵子の事は一度も口にしなかったし狭山も禁句にしていた。それがあの日以来初めて口にして狭山は一瞬驚いた。狭山は朔郎の顔を見てすぐに悟った。
「お前、最近、奥さんと会ったなぁ」
朔郎は頷いた。
「いつ会ったんだ」
「二月ほど前だ」
「ふたつきほど前か・・・。まさかあの送別会の日じゃないだろうな」
朔郎は浮かぬ顔をして黙った。
「図星か。それであの日あんだけ荒れたのか。・・・で彼女の方から訪ねてきたのか?」
「ああ。前日の晩にアパートに電話があった」
朔郎はぶっきらぼうに言った。
そりゃあ携帯が分からなけゃあアパートに電話するわなぁと狭山は笑った。
「しかしなぜ急に彼女が電話したんだ」
「分からん」と更にぶっきらぼうになったが、急に目を曇らせて「女心は」と 付け加えた。
狭山は苦笑した。
「それっきりか。だがお前が淀屋橋に居たってことは京都の彼女の居場所を知ってるンだなあ」
「彼女、名刺を置いて行ったよ」
狭山に名刺を見せた。
「北山通りか、この店はブティックか」
「そこで働いているらしい」
狭山には朔郎が淀屋橋に居た理由を理解した。
働いているらしいか、と云いながら狭山は名刺を朔郎に返した。朔郎は難しい顔で受け取った。
「狭山、実ははっきり言おう。そのあと一週間後に会いに行ってしまった、それから会ってない」
「なぜそれっきりにしたのだ」
「昔の彼女じゃなかった」
「嘘をつけ。あの人が変わる訳がない」
お見通しかと朔郎は薄笑いを浮かべた。
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それで十七年も無駄にしたか、本当につまらん奴だと云って狭山は時計を見た。会社へ戻らないとやばい時間になっていた。
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