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彼の話によるとソ連兵がこの家で同胞の死体を発見して埋葬した。真岡の在留邦人がその一部始終を見ていたが彼らはその後日本に引き揚げた。だから私は見ていないが彼らの話では、そのロシア人は頭部を撃たれていた。埋葬に立ち会った退役の元ソ連将校は「現場にはドイツのワルサーに似た小型の拳銃が落ちていた」と証言した。すかさず長沼さんはそれはドイツ製でなくアレクセイ氏が以前から持っていた日本の南部式の自動拳銃だと言っていた。
元将校はこの拳銃には弾丸は残っていなかったと証言してます。だが長沼さんはアノ時は常に全弾装備されていたと言ってましたから。これはあくまでも私の想像ですが、戦闘に巻き込まれたのでしょうね、そして弾切れで逃れる途中で撃たれたんじゃないでしょうか。その件では長沼さんは何も言はなかったから、私が補填したのですが、違和感は無いと思うのですが。
違和感は大有りだが、礼子も野々宮も先を急ぐために否定しなかった。
ソ連兵がアレクセイの家へ入る前の状況は誰も知らないが、あの近くで銃撃戦はなかったと全員が証言してます。それは日本軍がいないからだ。じゃあ誰が全弾を撃ち尽くしたのだろうかと長沼さんは言ってました。なぜそれに拘るのか私には解りませんでした。その疑問を振られても二人は答えられなかった。
あの略奪、強姦をやり尽くしたソ連兵にしては信じられないほど丁寧に遺体を扱っていた。同胞と云うだけでこうも違うのかと、在留邦人から羨望の眼差しだった。だが埋葬が終わるとソ連兵の態度が一変した。このロシア人の残した財産を巡って徹底的に追求した。
彼等が追及したのは一番懇意にしていた真岡で漁業を営んでいた網元だったが、彼はアレクセイが亡くなる前後に逃走して安否不明だった。その情報を下にソ連軍は網元の行方を捜し廻り、何人かの網元の下で働いていた漁師を捕らえて尋問したが解明できなかった。無事に内地へ逃れた祖父も関与は一切否定してますからそれ以上は何も聞かされなかった。言いたくないのか兎に角、祖父はこれに関しては明言を避けた。
井津治の言うアレクセイと別れた直後の銃声は何だったんだろう、辻褄を合わせる為の作り話だったのか? 二人は同じ疑問にぶつかりながら電車に乗った。
神戸の帰りに、礼子はどうして会員の加入を勧めなかったのか尋ねた。それは此の前の永倉とのやり取りにあった。永倉は野々宮の仕事を罵った。
「あの人がそんなこと、言ってたなんて知らなかった。祖父の葬儀には顔を出さずお通夜の晩に終わりのほうで短いご焼香を挙げただけであなたの苦労なんて知らないからそんなこと言ったと思うのごめんなさいね」
「別に気にしていませんよ」
「ダメです気にしなさい! あなたのその無気力さを見ているとなんとかしてあげたくなるのよ」
「ハア?」
「まあいいわ。それで何か判った? 佐伯さんと宇土原さんのお話で、あの子の事が」
「永倉さんでなく、先ずは長沼さんのことですよね。ただロシア人の墓の前ではかなり瞑想されて詫び言を云ってた。宇土原さんは余程ご恩を受けた人なんだなあと見ていたけれど、単なる知り合いと云うだけだと戦前だと外人は避けるよね。網元との漁業権者だから他の日本人より接点は多いけれど、長沼さんはその雇われ漁師の片割れだから宇土原さんの指摘はどうなんだろう? やはり現地に入っても景色は変わらなくても人の心は風化してるんだ」
礼子さんは何か別な事を考えているのか、焦点の定まらない瞳だった。
「永倉さんの話だと別れて直ぐに家からは一発の銃声だけしか聞いてない。しかし現場を少し離れればまだ他の銃声が響いているから誰が打ったか見分けがつかない。残りの弾は誰が打ったのだろう、永倉さんはまだ何か隠していると思う?」
「あのコはそんな細工のできる人じゃないでしょう、それに祖父はなぜ弾が全部が入ってたなんて分かるンだろう」
「男のカンですね。危険が迫ると男はまず銃を点検してから一息つく。アレクセイは民間人だから普段は銃は使わない、だから事前に点検して全弾装着された。つまり上陸したソ連軍を前にして弾を抜く訳がない。薬莢(やっきょう)はどうしたんだろう床に落ちてるはずだが」
「西部劇じゃないのよ、戦争中だから細かい出来事が克明に残らないでしょう」
「じゃ長沼さんはどうしてあんなに長く墓に合掌されたのか譲りうけた資産のお礼だろうか? それも変な話だなあ」
「あのコの話しを聴かなけゃあ良かったと思えてきた。樺太の話、だって知らないほうが良かった気がする。おじいちゃんの印象を良くするのも悪くするのもあの子次第なんて・・・」
陰り掛けた礼子の瞳は、永倉はそんな人じゃないと云う眼差しなのか? それとも閉ざされた真実に対する恐怖なのか・・・。とにかく彼女の気持ちを楽にさせてやりたい、それで礼子の瞳に対する答えを探した。
「意味不明なものは受け取れないってこと? ・・・あの場面で銃弾が空ってことはそんなに不思議じゃないよ、戦場で拳銃を拾っても打ち尽くせばみんなほかして行く。アレクセイを埋葬した前後には多くの避難民や兵士が行き交ってるんだから銃声や銃弾なんて構ってられないよ」
「野々宮さん、急にあなたは次から次へと都合のいい解釈をしてゆくのね、それはあたしの為なの、あたしにどうしてほしいの!」
きつい口調に反して彼女の澄んだ瞳は何かを訴え掛けている。この瞳に対する答えは二通り有ったが、間が空ければ彼女の不安を助長させる。一瞬たりとも思案する時間はなかった。彼は刹那に、エエイ、どうにでもなれと日頃から思い詰めて禁句だった言葉が堰を切って飛び出した。
「君を気に入ってる」
フッと彼女は感電したように首が伸びた。野々宮は仕舞ったと一瞬後悔した。が次の言葉で今度は彼の身体に電気が走った。
「はっきり言いなさい!」
彼女の瞳は太陽のように輝いた。思わず声の大きさにシーっと野々宮は人差し指を唇の前に当て周囲に目を配った。昼間の新快速電車はゆったりとして誰も気に留めていない。射止めた彼女の眸は甲高く笑っていた。
「好きだけどぼくではどうにもならないでしょう。君は資産家の娘でぼくは葬儀屋だ。永倉さんならお父さんとは旨くなくても叔父さんとは相性がいいし跡取りもいないし養子に迎えられるでしょう」
「そうかおじいちゃんがあいつを養子にしなかったのはあたしと養子縁組みさすためだったのね、井津冶め! あいつの化けの皮を剥がしてやる」
根っからの怒りではないが、何かがこみ上げて礼子の永倉に対する同情が一変した。
「よしなさい、今更蒸し返すのは波風を立てない方が得策ですよ」
「分かったはあなたのプロポーズ暫く預かっておきます」
「辞表じゃないんだから、それに告白でなくこれはあくまでも感想なんだから」
「ジタバタしないで潔くしなさい」
彼女の前ではまな板の鯉だ。今まで出会ったことのないこの女の姐御肌が野々宮の感性をたまらなく燻(くすぶ)らせてしまった。それを今はどう受け止めたら良いか分からない。でもこれで悔いはない、清々(すがすが)しい気分だけが吹き抜けた。電車は山崎にあるウイスキーの蒸留所を過ぎると深まる秋の陽射しを照らして古都の停車場に入った。
彼の話によるとソ連兵がこの家で同胞の死体を発見して埋葬した。真岡の在留邦人がその一部始終を見ていたが彼らはその後日本に引き揚げた。だから私は見ていないが彼らの話では、そのロシア人は頭部を撃たれていた。埋葬に立ち会った退役の元ソ連将校は「現場にはドイツのワルサーに似た小型の拳銃が落ちていた」と証言した。すかさず長沼さんはそれはドイツ製でなくアレクセイ氏が以前から持っていた日本の南部式の自動拳銃だと言っていた。
元将校はこの拳銃には弾丸は残っていなかったと証言してます。だが長沼さんはアノ時は常に全弾装備されていたと言ってましたから。これはあくまでも私の想像ですが、戦闘に巻き込まれたのでしょうね、そして弾切れで逃れる途中で撃たれたんじゃないでしょうか。その件では長沼さんは何も言はなかったから、私が補填したのですが、違和感は無いと思うのですが。
違和感は大有りだが、礼子も野々宮も先を急ぐために否定しなかった。
ソ連兵がアレクセイの家へ入る前の状況は誰も知らないが、あの近くで銃撃戦はなかったと全員が証言してます。それは日本軍がいないからだ。じゃあ誰が全弾を撃ち尽くしたのだろうかと長沼さんは言ってました。なぜそれに拘るのか私には解りませんでした。その疑問を振られても二人は答えられなかった。
あの略奪、強姦をやり尽くしたソ連兵にしては信じられないほど丁寧に遺体を扱っていた。同胞と云うだけでこうも違うのかと、在留邦人から羨望の眼差しだった。だが埋葬が終わるとソ連兵の態度が一変した。このロシア人の残した財産を巡って徹底的に追求した。
彼等が追及したのは一番懇意にしていた真岡で漁業を営んでいた網元だったが、彼はアレクセイが亡くなる前後に逃走して安否不明だった。その情報を下にソ連軍は網元の行方を捜し廻り、何人かの網元の下で働いていた漁師を捕らえて尋問したが解明できなかった。無事に内地へ逃れた祖父も関与は一切否定してますからそれ以上は何も聞かされなかった。言いたくないのか兎に角、祖父はこれに関しては明言を避けた。
井津治の言うアレクセイと別れた直後の銃声は何だったんだろう、辻褄を合わせる為の作り話だったのか? 二人は同じ疑問にぶつかりながら電車に乗った。
神戸の帰りに、礼子はどうして会員の加入を勧めなかったのか尋ねた。それは此の前の永倉とのやり取りにあった。永倉は野々宮の仕事を罵った。
「あの人がそんなこと、言ってたなんて知らなかった。祖父の葬儀には顔を出さずお通夜の晩に終わりのほうで短いご焼香を挙げただけであなたの苦労なんて知らないからそんなこと言ったと思うのごめんなさいね」
「別に気にしていませんよ」
「ダメです気にしなさい! あなたのその無気力さを見ているとなんとかしてあげたくなるのよ」
「ハア?」
「まあいいわ。それで何か判った? 佐伯さんと宇土原さんのお話で、あの子の事が」
「永倉さんでなく、先ずは長沼さんのことですよね。ただロシア人の墓の前ではかなり瞑想されて詫び言を云ってた。宇土原さんは余程ご恩を受けた人なんだなあと見ていたけれど、単なる知り合いと云うだけだと戦前だと外人は避けるよね。網元との漁業権者だから他の日本人より接点は多いけれど、長沼さんはその雇われ漁師の片割れだから宇土原さんの指摘はどうなんだろう? やはり現地に入っても景色は変わらなくても人の心は風化してるんだ」
礼子さんは何か別な事を考えているのか、焦点の定まらない瞳だった。
「永倉さんの話だと別れて直ぐに家からは一発の銃声だけしか聞いてない。しかし現場を少し離れればまだ他の銃声が響いているから誰が打ったか見分けがつかない。残りの弾は誰が打ったのだろう、永倉さんはまだ何か隠していると思う?」
「あのコはそんな細工のできる人じゃないでしょう、それに祖父はなぜ弾が全部が入ってたなんて分かるンだろう」
「男のカンですね。危険が迫ると男はまず銃を点検してから一息つく。アレクセイは民間人だから普段は銃は使わない、だから事前に点検して全弾装着された。つまり上陸したソ連軍を前にして弾を抜く訳がない。薬莢(やっきょう)はどうしたんだろう床に落ちてるはずだが」
「西部劇じゃないのよ、戦争中だから細かい出来事が克明に残らないでしょう」
「じゃ長沼さんはどうしてあんなに長く墓に合掌されたのか譲りうけた資産のお礼だろうか? それも変な話だなあ」
「あのコの話しを聴かなけゃあ良かったと思えてきた。樺太の話、だって知らないほうが良かった気がする。おじいちゃんの印象を良くするのも悪くするのもあの子次第なんて・・・」
陰り掛けた礼子の瞳は、永倉はそんな人じゃないと云う眼差しなのか? それとも閉ざされた真実に対する恐怖なのか・・・。とにかく彼女の気持ちを楽にさせてやりたい、それで礼子の瞳に対する答えを探した。
「意味不明なものは受け取れないってこと? ・・・あの場面で銃弾が空ってことはそんなに不思議じゃないよ、戦場で拳銃を拾っても打ち尽くせばみんなほかして行く。アレクセイを埋葬した前後には多くの避難民や兵士が行き交ってるんだから銃声や銃弾なんて構ってられないよ」
「野々宮さん、急にあなたは次から次へと都合のいい解釈をしてゆくのね、それはあたしの為なの、あたしにどうしてほしいの!」
きつい口調に反して彼女の澄んだ瞳は何かを訴え掛けている。この瞳に対する答えは二通り有ったが、間が空ければ彼女の不安を助長させる。一瞬たりとも思案する時間はなかった。彼は刹那に、エエイ、どうにでもなれと日頃から思い詰めて禁句だった言葉が堰を切って飛び出した。
「君を気に入ってる」
フッと彼女は感電したように首が伸びた。野々宮は仕舞ったと一瞬後悔した。が次の言葉で今度は彼の身体に電気が走った。
「はっきり言いなさい!」
彼女の瞳は太陽のように輝いた。思わず声の大きさにシーっと野々宮は人差し指を唇の前に当て周囲に目を配った。昼間の新快速電車はゆったりとして誰も気に留めていない。射止めた彼女の眸は甲高く笑っていた。
「好きだけどぼくではどうにもならないでしょう。君は資産家の娘でぼくは葬儀屋だ。永倉さんならお父さんとは旨くなくても叔父さんとは相性がいいし跡取りもいないし養子に迎えられるでしょう」
「そうかおじいちゃんがあいつを養子にしなかったのはあたしと養子縁組みさすためだったのね、井津冶め! あいつの化けの皮を剥がしてやる」
根っからの怒りではないが、何かがこみ上げて礼子の永倉に対する同情が一変した。
「よしなさい、今更蒸し返すのは波風を立てない方が得策ですよ」
「分かったはあなたのプロポーズ暫く預かっておきます」
「辞表じゃないんだから、それに告白でなくこれはあくまでも感想なんだから」
「ジタバタしないで潔くしなさい」
彼女の前ではまな板の鯉だ。今まで出会ったことのないこの女の姐御肌が野々宮の感性をたまらなく燻(くすぶ)らせてしまった。それを今はどう受け止めたら良いか分からない。でもこれで悔いはない、清々(すがすが)しい気分だけが吹き抜けた。電車は山崎にあるウイスキーの蒸留所を過ぎると深まる秋の陽射しを照らして古都の停車場に入った。
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