振り向けば君がいた

和之

文字の大きさ
43 / 83

第二十六話-2

しおりを挟む
「希美ちゃんはええ人やけど喜怒哀楽が激しいから振り回されるかも知れないって云うの」
「告白されるまではそやったけど今はすこぶる安定してるって」
「希美ちゃんはそこんところが曲者よ」
「今日はいやに絡んで来るな、ハハーン焼きもち焼いてるんだ」
 そんなん違うと陽子は烈火の如く否定して一寸落ち着くと。
 「馬鹿、そんなんじゃないこれは餞《はなむけ》の言葉なのよ」
 そう言って急に陽子は前の三人に駆け寄って行った。
 すかさず野村くんうちの子いじめんとって、と雅美が振り向いて言われた。
 今はほどほどの恋がええんちゃうか、とのりっぺと話して結論が出たとこや、と追いついた野村に睦夫が言った。
 何の事と不安そうに野村は見回した。
「野村くんは心配せんでええよ」
 雅美ちゃんが意味ありげな視線を寄こしたが睦夫さんが、のりちゃんと雅美ちゃんの関係を突っ込んだら、トヨちゃんはどうなんや、と俺の方へ話を振られてそう云う結論になってしまった。
 その睦夫さんが深山さんとの打ち合わせの時間は大丈夫かと聞いてくれた。
「何の打ち合わせ ? 」
 白井が惚けたように聞いてくる
「荷物を運んでくれる打ち合わせや」
 睦夫さんはまじめに答えていた。
「それにしても先生が残念がってたなあ」
 睦夫さんにそれを言われると心が痛むが、希美子はそれに関しては何も言わなかった。気にならないはずはない、その辺はどうなんだろうと野村は思った。
「ぼくよりも希美ちゃんの方がベテランだから先生、なんかぼやいてたんちゃうやろうか ? 睦夫さんなんか聞いてませんか ? 」
「それはわしより深山さんの方が詳しいんちゃうか、それよりも何でまたとうに辞めた希美ちゃんの事が気になるんや」
 これはまずいと野村は焦った。 
「野村くんはいつも、希美ちゃんの前でいつも仕事してたからやっぱり気になるんやろう」
 野村をホローした雅美を見て、隣の陽子もニタッと笑って、だから苦労するわねぇと言った。それを白井は鋭い目で観察していた。
「あの人のまあ前だけに刺激がきつかったんちゃうか」
 と彼女に毒づかれたと白井に云われる。
「希美ちゃんなら毒にも薬にもなるわよ、深山さんはお気の毒やねえ」
 陽子がチクリと野村の胸に刺さるように言った。
「それなら陽子、これで深山さんは気が楽になったんちゃうか」
 どっちが真面な事を云ってるのか野村には見当が付かなかった。
「まあ無理もないわなあ、希美ちゃんはみんなの憧れの的やからなあ、そして一番最後に来た野村くんが希美ちゃんとは一番短い付き合いちゅうこっちゃなあー」
 だからもっと知りたかった事は分かるわなあー、と睦夫さんは話を締めくくった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

靴屋の娘と三人のお兄様

こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!? ※小説家になろうにも投稿しています。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

処理中です...