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第4章 (3)ユウside
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しおりを挟む「……」
僕はゆっくりと鞄の内ポケットに手を突っ込んで、指輪を返そうと探った。
捨てようと思った、あの時。
アカリの悲しそうな表情が頭に焼き付いて、離れなかった……。
僕が、泣かせてしまった。
「……アカリを。
ずっと笑顔にしてやって、くれますか?」
「…おう!
当たり前じゃん。約束する」
迷いのない真っ直ぐな瞳のギルさん。
彼に、アカリの笑顔を託す事にした。
指輪を取り出して、ギルさんに差し出そうとした。
その時……!
「ワンワンワンッ!!」
「!?っ……うわッ…!!」
突然、背後から散歩していた犬に吠えられた。
幼い頃に犬に噛まれた僕は犬が大の苦手で……。
すっかり動揺した僕は、手の力が緩んで……指輪を放してしまった。
僕の手から離れた指輪は……。
ポチャーンッ!
……。
…………。
橋の下の水の中に、落ちた。
「……あ」
呆然とする僕。
「……うわ。マジか。
すげ~お約束な展開だな」
苦笑いしながら、ギルさんは指輪が落ちた水面を見降ろす。
「っ……ど、どうしよう!
す、すみませんっ。本当にすみま……」
「わりぃ。
これ、預かっててくれるか?」
慌てて謝る僕にギルさんはそう言うと、上着や鞄を投げる様に渡した。
その荷物の中には……眼鏡と、黒いウィッグ。
……え?
僕がハッとしたと同時に彼は橋の柵を跳び越えて……。
バシャーンッ!!
と、下の水の中に飛び込んでいた。
「……あ、思ったより浅いわ。
冬じゃなくてよかった~」
そう言いながら、橋の上から覗き込む僕を見上げる男。
月のような白金色の髪に、瞳の……男。
……。
僕は、その人物を知っていた。
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