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第2章(1)ツバサside
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しおりを挟む「その様子じゃ、まだ告白もしてないだろ?
ミライさん人気者だし優しいんだから、早く告らないと誰かにとられちゃうよ?」
ミライさんは白金バッジの夢の配達人、その上優しくて、容姿も長身で綺麗な顔をした爽やかな好青年。今年33歳なのに、まだ独身だという事が信じられないというか奇跡というか。特別に付き合っている女性がいるという噂も全く聞かない、仕事一筋の真面目な人だ。
そんな絵に描いた王子様のような人だけど、俺は自分の姉がその相手に劣っているなんて全く思わない。
むしろ、お似合いだと思ってるし二人が一緒になってくれたら本当に嬉しい。
「大丈夫、姉貴は可愛いよ。
ミライさんだって、きっかけがないだけで姉貴の事絶対いいな~って思ってるって」
お世辞ではなくそう思う。
過去に二人が一緒に居るところを目撃したが、全然悪い雰囲気じゃないっていうか、むしろ楽しそうだったというか……。俺からしたら、付き合っていないのが不思議に感じた時もあったくらいだった。
あとは最後のひと押し、きっかけが足りないだけだと思っていた。
しかし、頭を撫で返した俺に姉貴は「ありがと」って微笑った後。少し俯いて言葉を続けた。
「そうね、嫌われては……いないと思う。
でも、無理よ。ミライさん、好きな人がいるもん」
「えっ?」
「あ、ミライさんが言った訳じゃないよ?
ただ、見てたらなんとなく……分かっちゃったんだよね」
姉の言葉に、俺は驚いた。
ミライさんに想い人がいるって事もそうだが、師匠と弟子として長い期間を共にした俺でさえ気付かなかったのに……。"なんとなく"とは口では言っているが、姉の雰囲気を見ればそれを確証しているのが分かるからだ。
そして、姉がそれだけミライさんの事をよく見ているんだという事が伝わってきた。
「……どんな人?」
「!……え?」
「その人、どんな人?
姉貴よりも良い女性な訳?」
俺は不機嫌な口調で尋ねた。
だって、なんだか気に入らなかった。
俺が腹を立てても仕方ない、好き合う、付き合うというのは互いの気持ちの問題だから、他人が口を挟む事なんて出来ない。
でも、そう分かっていてもモヤモヤした。
そんな俺を見て姉は少し困った表情をしたが、夜空を見上げながら教えてくれた。
「……そうね。私の目から見ても、素敵な人。
いつも自分の事よりも人の事ばっかり考えて、誰かが幸せになれるなら嘘をつき続けるの。優しい嘘つきさん」
「っ……嘘つきは、所詮嘘つきじゃん。そんなの優しさじゃない」
「一途で、一生懸命。本当は泣き虫で色んな事に不安で怯えてるのに、手探りで前に進もうとしてるの。
ミライさんもきっと、そんなところが放っておけないんだと思う」
「姉貴だってずっと、ミライさんに一途じゃん……ッ」
自分で聞いておいて、姉が恋敵を語る度に気に入らない。その相手を否定してやりたくなる。
悔しい気持ちが溢れてきて、俺はいつの間にか拳を強く握り締めていた。
すると、俺を見た姉はくすっと微笑みながら俺の頬に手を触れた。
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