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第3章(2)ツバサside
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しおりを挟むそれから、前夜祭は無事に再開した。
レノアがレノアーノ様に戻って、今日自分の為に集まってくれた人達への挨拶。そして招待客からのお祝いの言葉やプレゼントや催しと続くと……。会場はまるでさっきの事なんてなかったみたいに、賑わっていた。
だが俺は、先程の現象のせいでその事ばかり考えてしまっていた。
今までこんな事なかった。
眼帯を着けてからは、塞いでいる間に人の心の中が分かるなんて事は一度もなかった。
しかもレノアとあの時瞳が合ったのは、顔だけ振り向いたあの一瞬。そして俺に心の声が聞こえた直後には、彼女はすでに前を向いて歩き始めていた。
まさか、塞いでいない右目にもその能力が表れた?
……いや、違う。
それならば、今だって他の人達の心の声が聞こえてくる筈だった。
「ツバサ様、大丈夫ですか?何かお飲み物でも……」
「あ、いや。大丈夫」
壁際で俯いている俺を、シオンが心配そうに見つめている。さっきの事態を上手くフォロー出来なかった事も、彼はきっとすごく気にしているんだ。
あれは、仕方ない。普通の一般客が絡んできたのならいくらでも対処は出来たが、相手は今日の主役でありたくさんの人に"女神"と讃えられているレノアーノ様。
俺自身も彼女があんな行動をしてくるとは思ってなかったし、邪険に扱う事も出来なければ、あれだけの人に囲まれてしまっていては下手な誤魔化しも効かない。
あの時、ミネア様が止めてくれなかったら騒ぎは上手く収拾しなかっただろう。例え一瞬でも、あの場の空気を悪くしてでも……。あの時、あの場を鎮められたのはミネア様しかいなかった。
そんな事を考えていると、1人の執事が笑顔で俺に声を掛けてくる。
「ツバサ様でいらっしゃいますね?」
「!……。はい」
来た、と思った。
心なんて読まなくても、この執事が何故俺に声を掛けてきたのかもう分かってる。
さっきミネア様の隣に居たこの執事が、俺に声を掛けてくる理由なんて一つしかない。
「ミネア様がお呼びでございます。どうぞ、こちらへ来ていただけませんか?」
「……分かりました」
一緒に付いて来ようとするシオンに"大丈夫"と目配せをすると、俺は執事に付いてミネア様の元に向かった。
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