片翼を君にあげる①

☆リサーナ☆

文字の大きさ
122 / 172
第6章(5)アカリside

5-2

しおりを挟む

でも、それとは別に、私はヴァロンを知りたかった。
彼が抱えている傷や苦しみを、代わってあげられる事は出来ないけど、せめて寄り添いたいと思った。

ヴァロンは話してくれた、私と離れている間に知った自分の出生の事や、家の事。
彼の一族に纏わる、"天使の血"と呼ばれるものの事。

彼の一族には、希血まれちと呼ばれる特殊な血液型で産まれてくる者が稀に居て、その者には未知数で不思議な能力ちからが宿っているとか。
それがいわゆる、天使の血を持つ者。
そしてヴァロンも、天使の血を受け継いでいた。

彼は触れ合うと、その相手がその時に思っている事を感じ取る事が出来たり、また植物や動物に触れると気持ちを通わせる事が出来る、と言っていた。
でも、その能力ちからは本当に一部で、一族で他に天使の血を持つある人物は強制的に人を操ったり、また命を奪う能力ちからがないとは否定出来ないとも……。

きっと私は、ヴァロン以外の人がそんな御伽話おとぎばなしのような事を言ったら、信じなかったと思う。でも、彼が嘘を吐く人ではないと知っている。
それに……。

『俺、怖いんだ。自分が、怖い……。
だから、子供を作る事も……怖い』

最初はその言葉が、自分から化け物のような子供が産まれてくる事を恐れているのかと思った。
けど、違った。

『だって、可哀想じゃん……。
その子はいつか"自分は何で普通じゃないんだろう?"って悩む日が、必ず来る。
俺は自分の子供に、そんな想い……させたくねぇ』

そう言って、ヴァロンは泣いていた。
やっぱり彼は私が大好きな、誰よりも美しい心を持っていた。

そうだ。
この人は例え自分の子供が悪魔のようでも、絶対に見捨てたりしない。
子供を責めて嫌うのではなく、自分を責めて、その気持ちを分かってやろうとする人なのだ。

だから、私は言ったの。

『大丈夫だよ、絶対。
だって、私達の子供なんだよ?
ヴァロン言ったでしょ?次の子供の名前は
「自分で自由に羽ばたけるように、ツバサ」
きっとその由来の通り、ツバサは自由に羽ばたける。
それに、もしも上手く羽ばたけない時は、私達が家族の力で、精一杯背中を押してあげようよ』

能天気。そう思われただけかも知れないけど、私のその言葉に、ヴァロンは驚いた表情をした後に吹っ切れたように微笑って、『そっか。やっぱり、アカリはすごいな』って。『そうだな。俺達なら、大丈夫だ』って、抱き締めてくれた。

……
…………その後。
ゆっくり月日をかけて、少しずつヴァロンの心の傷に寄り添いながら過ごして……そして、ツバサが産まれた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります> 政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・? ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

つまらない妃と呼ばれた日

柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。 舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。 さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。 リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。 ――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。

君への気持ちが冷めたと夫から言われたので家出をしたら、知らぬ間に懸賞金が掛けられていました

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【え? これってまさか私のこと?】 ソフィア・ヴァイロンは貧しい子爵家の令嬢だった。町の小さな雑貨店で働き、常連の男性客に密かに恋心を抱いていたある日のこと。父親から借金返済の為に結婚話を持ち掛けられる。断ることが出来ず、諦めて見合いをしようとした矢先、別の相手から結婚を申し込まれた。その相手こそ彼女が密かに思いを寄せていた青年だった。そこでソフィアは喜んで受け入れたのだが、望んでいたような結婚生活では無かった。そんなある日、「君への気持ちが冷めたと」と夫から告げられる。ショックを受けたソフィアは家出をして行方をくらませたのだが、夫から懸賞金を掛けられていたことを知る―― ※他サイトでも投稿中

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
【3月中――完結!】 積み上がった伏線の回収目前!! 夫にも子どもにも、私は選ばれなかった。 長年の裏切りを抱え、離縁状を置いて家を出た――。 待っていたのは、凍てつく絶望。 けれど同時に、それは残酷な運命の扉が開く瞬間でもあった。 「夫は愛人と生きればいい。  今さら縋られても、裏切ったあなたを許す力など残っていない」 それでも私は誓う―― 「子どもたちの心だけは、必ず取り戻す」 歪で、完全な幸福――それとも、破滅。 “石”に翻弄された者たちの、狂おしい物語。

🥕おしどり夫婦として12年間の結婚生活を過ごしてきたが一波乱あり、妻は夫を誰かに譲りたくなるのだった。

設楽理沙
ライト文芸
2026.1.4 73話見直した際、瑛士の台詞《本音/懺悔》を加筆しました。😇 ☘ 累計ポイント/ 200万pt 超えました。ありがとうございます。 ―― 備忘録 ――    第8回ライト文芸大賞では大賞2位ではじまり2位で終了。  最高 57,392 pt      〃     24h/pt-1位ではじまり2位で終了。  最高 89,034 pt                    ◇ ◇ ◇ ◇ 紳士的でいつだって私や私の両親にやさしくしてくれる 素敵な旦那さま・・だと思ってきたのに。 隠された夫の一面を知った日から、眞奈の苦悩が 始まる。 苦しくて、悲しくてもののすごく惨めで・・ 消えてしまいたいと思う眞奈は小さな子供のように 大きな声で泣いた。 泣きながらも、よろけながらも、気がつけば 大地をしっかりと踏みしめていた。 そう、立ち止まってなんていられない。 ☆-★-☆-★+☆-★-☆-★+☆-★-☆-★ 2025.4.19☑~

処理中です...