片翼を君にあげる①

☆リサーナ☆

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第7章(4)ヴィンセントside

4-6

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初めはてっきり二人が夫婦だと思っていた私は、ヴァロン殿の話からミネアが妻でない事を聞いた際、驚きと同時に何処かホッとしていた。きっと、私はその時から彼女の事が好きだったのだと思う。
私より4歳年上という事。そして、未婚の母である事を気にしてなかなか良い返事をミネアがくれなかったが、その時もヴァロン殿が背中を押してくれた。

「ミネアもレノアも親子揃って意地っ張りなところがあるけど、本当は寂しがり屋だからよろしくな。
これからはお前がしっかり支えてやってくれよ!」

最後に会ったのは、私達の結婚式の時。
その後。父が亡くなり本格的にアッシュトゥーナ家を引っ張って行く事になってから私は、なかなかあのBARに行けなくなりヴァロン殿と会う機会もなくなっていた。
それでも、またいつか、必ず会えると信じていた。
それなのに、……。

地震による土砂崩れによって起きた列車事故ーー。

……嘘だと。
間違いであってほしいと、どれ程思った事だろう。

ヴァロンあの男が簡単にいなくなる訳ありませんわ。絶対に、絶対に帰ってきます。
私は、そう信じていますから……!」

そう言って、ミネアは葬儀に行く事も、花を送る事さえも拒んだ。


……
…………そして、月日が過ぎて。

「初めまして。
ヴィンセント・アッシュトゥーナ様ですね」

想い出のあのBARで、あのカウンター席で、ツバサ君が私に声を掛けて来た。一目見て、ヴァロン殿が会う度に見せてくれたポケ電の写真に映っていた息子さんの一人だと分かったよ。
その生き写しの容姿に嬉しさが込み上げると同時に、ツバサ君はヴァロン殿と似ていない部分もたくさんあった。歳の離れた私相手では当然かも知れないが、終始真面目な対応でユーモア溢れる態度や表情は一切ない。食事を進めたが少食で……。でも、私に付き合って酒を飲んでくれた。

彼がやはりヴァロン殿ではないのだと痛感したのと、過ぎ去ってしまった日々にはもう戻れないのだと寂しさを感じた。
けれどきっと、それが良かったのだ。

父親に似せようとせず、飾らない、素直な彼ーー。

そんなツバサ君が迷っていた私に新しい扉を示して、私一人では切り拓けなかった人生に導いてくれた。
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