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第5章 (1)ヴァロンside
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しおりを挟む「……どした?」
堪えろ、堪えろと心の中で囁いて……。俺は自分を抑えてアカリを見つめた。
「っ~~……あの、ね!わ、私はヴァロンと……。……あれ?」
でも。何故か恥ずかしがっているアカリが伏せるように目を逸らして……。俺の手首の痣を見付けてしまった。
「っ……ヴァロン?
その手首っ……どうしたの?怪我ッ?」
その言葉にハッとした時には遅くて、慌てて駆け寄ってきたアカリは俺の左手にそっと触れると、少し持ち上げて状態を確認する。
彼女が、間近にいる。
それだけでドクッと鼓動が高鳴った。
触れられた手が、熱くなる。
フワッと香る、アカリの匂い。
彼女を見降ろすと……。ボタンの外れた隙間から、白くて細い首筋と、鎖骨と……。
想像していたよりも大きな胸が、薄いラベンダー色の下着に包まれて美しい谷間を……作っていた。
理性が、崩壊する。
「少し腫れてるよ?痛くないッ?」
アカリが何か言ってるけど……。
もう聞こえない。
アカリが俺を見上げているけど……。
もう見えない。
ーーもう。
余計な事は何も考えられない。
「ま、待ってて!確か湿布が………」
縛っていた鎖が壊れて……。俺はまるで獣から逃げようとする小動物を捕まえる様に、その場を離れようとするアカリの腕を掴んだ。
「!……。
ヴァロン?……きゃッ!」
もう、逃がさない。
絶対に、離さない。
アカリの小さい身体を強引に引き寄せられると、そのまま唇を重ねた。
久々に触れる、柔らかい唇。
「っ……。ヴァ、ヴァロン?」
ペロッと舌で唇を舐めて一度顔を離すと、真っ赤な表情で俺を見上げるアカリ。
いい表情だ。
もっと、見せろ。
もっと、俺に溺れろ。
俺は容赦なく……。両手でアカリの顔をグッと掴むと、再び唇を重ね合わせた。
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