【R18】夢の言葉と虹の架け橋【続編①】

第５章 （２）ヴァロンside

２-１

シーン、となって。アカリの荒い呼吸音だけが……耳に届く。


ーー何が、起こってるんだ？
俺は、何を……してるんだ？


床に仰向けに寝ているアカリに、覆い被さるようにしている……。自分が分からない。

ゆっくり離れるように少し身体を起こして……。アカリを、見降ろした。

彼女は意識が朦朧とした潤んだ瞳で、俺を見上げる。


アカリと瞳が重なって。夢から醒めたように……頭が真っ白になった。


「……。……え……？」

思わず引き攣る苦笑い。
ドクンッドクンッと心臓が嫌な音を立てて、俺は片手で頭を押さえながら状況を確認するように辺りを見渡す。


そして、もう一度。自分の下で床に組み敷かれているアカリを……見た。

乱れた着衣。
前開きの寝巻きを肩から剥ぎ取られて、上半身はほぼ下着のみ。首筋や胸元、白い素肌には……幾つもの紅い痕。


っ……俺が、やった？
……俺、が。っ……俺がッ……？


「！？っ……ぁ……」

混乱したまま、俺は慌ててアカリから離れて立ち上がった。
心臓の音が自分でも分かる位身体に響く。


取り返しの付かない事を……俺はしてしまった。

自分の侵してしまった現実に震えながら、後退りして後ろに下がると……。背後の壁にドンッとぶつかるまで彼女から遠ざかった。


「っ……ヴァ、ヴァロン？」

乱れた前開きの着衣を片手で合わせながら、アカリがゆっくり上半身を起こして俺を見つめてくる。


っ……見るな。
俺を、見ないでくれッ……！！


アカリの目が、姿が……”あの日”と、重なる。
リディアに下剋上を仕掛けた……。

ーーあの日の、光景。


「っ……来んなッ！！」

近付いて来ようとするアカリを威嚇するように、俺は叫んだ。