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第7章 (3)ヴァロンside
3-3
しおりを挟む俺の得意な戦法。
……とはいえ。俺にその体術の手解きをしたのは、リディア。一筋縄にはいかない。
俺よりも身軽なリディアの動きを避ける為に選んだ、逃げ場の少ない家の中。
互いに攻撃を仕掛け、交わし。部屋中を引っ掻き回して全力でぶつかり合う。
けど、勝負を始めて少しすると……。リディアの様子が何処かおかしかった。
連日任務の疲れ?
酒を飲んで酔いが回った?
確かにそれも計算に含めていたが……。そんなに簡単に、リディア相手に思い通りにいくなんて思ってない。
もしかして……。
体調が、良くないのか?
そう思ったら、俺に一瞬の迷いが生まれた。
あんなに辛くて痛かったのに……。リディアを傷付ける事を、俺は躊躇した。
「……甘いわね、ヴァロン」
リディアは俺の一瞬の隙をついて、背後に回るとガッと腕で首を絞め付けて力を込める。
「っ……ッ!!」
反応が遅れた俺の首に、リディアの腕がまともに食い込んでガッチリ離れない。振り解く事も無理。ググッと締まって、呼吸が出来ない。
っ……マズい……ッ。
このまま、じゃ……ッ……!
リディアは本気だ。このまま絞められ続けたら先に気絶する。
それは、俺の負けという事。
『誰よりも、良い男になりなさい。
アンタなら絶対になれる』
『5億よりも、価値のある男になる。
安すぎたって、後悔させてやる』
……あの日、リディアと交わした約束。
あの時頷いてくれた、あんたの笑顔。
ずっと俺の、宝物だった。
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