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第8章 (2)アカリside
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しおりを挟む「……幸せ、ですか?」
初対面の少女からの不思議な質問。
……けど、何だか一生懸命な少女。私は彼女を、好きだなって、思った。
「……うん。幸せ。
ヴァロンと出逢えて、私は幸せだよ!」
少女の質問に笑顔で答えると、彼女はまた微笑んで……。再びヴァロンを見た。
「……過去に、捉われないで下さい。
……。止まない雨はない。
きっと貴方の真上に、虹は架かっていますよ?」
少女はペコッとヴァロンに頭を深く下げて、少しして顔を上げると……。彼の横を通って、足早に歩き出した。
「……。……待て。
……っ……おい、っ……待て!」
その場を去ろうとした少女の手を、ヴァロンが駆け寄りパシッと掴んで……止めた。
「……っ。名前……」
「……え?」
「……名前、教えて……」
手を掴まれてなのか、名前を聞かれてなのか……。少女は少し躊躇ったような表情を見せた。
……けど。真っ直ぐ自分を見つめるヴァロンに、微笑む。
「……ユイ、です。
”結ぶ”って書いて……ユイ、と言います」
「……。
そっか、良い名前だな」
少し見つめ合っていて……。ヴァロンはユイちゃんの手を放すと、胸ポケットを漁って自分の名刺を取り出した。
「……何か困った事があったら、来い。
これがあれば、優先的に仕事を受けてやれる」
ヴァロンはそう言って、ユイちゃんの手に名刺を握らせる。
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