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(2)ギルバートside
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しおりを挟むリディアさんは一番後ろで観ていたらしく、観客の間をズカズカと歩いて行くと……。前に立ち少年の額を人差し指でグッと押した。
リディアさんに会いたくなかった僕はその場を立ち去ろうとしたが、彼女の言葉に思わず足を止める事になる。
「まだまだね、ヴァロン。
今日は、おまけで70点ってところかしら」
……えッ?!
リディアさんとのまさかの再会。
そしてさっきの少年と知り合いな事にも驚いていたが……。
僕が一番驚いたのは、あんな素敵な演技を見せた少年への辛口評価。
70点……!?
相手もいない一人演技で、台詞を一字一句間違えずにあそこまで演じきったのに……?
信じられない。
そう思っていた僕に、更なる衝撃の言葉が聞こえる。
「うっせぇなぁ。
一度見せられた台本だけで出来る訳ねぇだろッ!」
少年は演技から一気に素に戻って、リディアさんにそう言い放つとプイッとそっぽを向いた。
!……なん、だって?
一度見せられただけの、台本?っ……。
僕はあの舞台を何十回も観た。
元になった話も知っているから、台詞もほとんど覚えている。
それでも、完璧じゃない。
なのに、あのヴァロンと呼ばれた少年は……。
台詞を覚えて、状況を自分なりに想像して解釈して……演じていた?
あんなに難しい恋話を。
年齢も自分とは全く違う、大人の男性役を?
今思い出してもゾクゾクする。
演技をしている少年、ヴァロン君の姿に……。
気付いたら、僕はヴァロン君の元に足を進めていた。
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