258 / 297
(3)リディアside
3-5
しおりを挟む
【港街】
一人で港街に戻った私は家に帰る気にもならず、街中にある橋の上で佇んでいた。
下を見ると、水面に映る自分の顔。
私の、醜い表情。
自分が怖い。
サヤの幸せそうな表情を見る度に、いつも心の何処かで妬んでいた。
好きな人がいて、その人に愛されて。
ギルバートに大切にされているサヤが羨ましかった。
私だって、産みたかった……。
恋をして、両想いになって、大切にされて。
愛されて、愛する人の赤ちゃんを産んで……。
ずっと、家族が欲しかった……!!
震え上がる身体と感情。
溢れた涙がポタポタと水面に落ちた。
そして、それと同時に……雨が降ってきた。
雨が涙を隠してくれて、ちょうど良い。
そう思って俯いた。
その直後、私の頭にバサッと布が掛けられる。
!っ……なに?
驚いて掛けられた布を見ると……。
それは……見慣れた、上着。
ゆっくり顔だけ横を向けと……。
息を切らしたヴァロンが、いた。
その姿を見たら……。
騒いでいた胸が、心が、静かになっていく。
「相変わらず、足速いな。
届け物してやったのに置いて帰るとか酷くね?」
そう言って、ヴァロンはじとっとした表情で私を見る。
目が合って、私は涙を隠すように顔を背けた。
「っ……う、うるさいわね!
ほっといてちょうだいッ……!!」
本当は、嬉しかった。
息を切らしてヴァロンが来てくれた事。
私を独りにしないでいてくれた事。
……でも。
素直になれない捻くれ者の私。
一人で港街に戻った私は家に帰る気にもならず、街中にある橋の上で佇んでいた。
下を見ると、水面に映る自分の顔。
私の、醜い表情。
自分が怖い。
サヤの幸せそうな表情を見る度に、いつも心の何処かで妬んでいた。
好きな人がいて、その人に愛されて。
ギルバートに大切にされているサヤが羨ましかった。
私だって、産みたかった……。
恋をして、両想いになって、大切にされて。
愛されて、愛する人の赤ちゃんを産んで……。
ずっと、家族が欲しかった……!!
震え上がる身体と感情。
溢れた涙がポタポタと水面に落ちた。
そして、それと同時に……雨が降ってきた。
雨が涙を隠してくれて、ちょうど良い。
そう思って俯いた。
その直後、私の頭にバサッと布が掛けられる。
!っ……なに?
驚いて掛けられた布を見ると……。
それは……見慣れた、上着。
ゆっくり顔だけ横を向けと……。
息を切らしたヴァロンが、いた。
その姿を見たら……。
騒いでいた胸が、心が、静かになっていく。
「相変わらず、足速いな。
届け物してやったのに置いて帰るとか酷くね?」
そう言って、ヴァロンはじとっとした表情で私を見る。
目が合って、私は涙を隠すように顔を背けた。
「っ……う、うるさいわね!
ほっといてちょうだいッ……!!」
本当は、嬉しかった。
息を切らしてヴァロンが来てくれた事。
私を独りにしないでいてくれた事。
……でも。
素直になれない捻くれ者の私。
0
あなたにおすすめの小説
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。
「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
【R18】熱い夜の相手は王太子!? ~婚約者だと告げられましたが、記憶がございません~
世界のボボブラ汁(エロル)
恋愛
激しい夜を過ごしたあと、私は気づいてしまった。
──え……この方、誰?
相手は王太子で、しかも私の婚約者だという。
けれど私は、自分の名前すら思い出せない。
訳も分からず散った純潔、家族や自分の姿への違和感──混乱する私に追い打ちをかけるように、親友(?)が告げた。
「あなた、わたくしのお兄様と恋人同士だったのよ」
……え、私、恋人がいたのに王太子とベッドを共に!?
しかも王太子も恋人も、社交界を騒がすモテ男子。
もしかして、そのせいで私は命を狙われている?
公爵令嬢ベアトリス(?)が記憶を取り戻した先に待つのは── 愛か、陰謀か、それとも破滅か。
全米がハラハラする宮廷恋愛ストーリー……になっていてほしいですね!
※本作品はR18表現があります、ご注意ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる