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(5)リディアside
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しおりを挟む私がそっと目を閉じた瞬間。
ヴァロンはグッと力を込めて後ろに跳ぶと、背後の壁に私の身体をバンッ!!とぶつけた。
その衝撃で一瞬怯む私の力。
ヴァロンは自分の腕を背後にいる私の後頭部に回して前のめりになると……。
そのまま背負い投げするように私を床にバァンッ……!!と、叩き付けた。
見事に彼は、技を返してきた。
あの窮地で私を振り解いた。
……。
けど、やっぱりヴァロンは優しかった。
彼が私を倒したのは、柔らかいカーペットの上。
お陰で衝撃が少なくて……。
私は意識を失う事もなく、天井を見上げていた。
私にトドメを刺す事もしない。
私から手を放して、ゆっくり離れて様子を伺っているだけのヴァロン。
……本当に、甘い。
でも、他人を傷付けない優しい心。
とてもとても、大好きだった。
私はゆっくりと、グッと身体に力を込めて……。
身を起こそうとした。
優しさを武器に変える事が出来るのなら、それは長所になる。
ヴァロンの良いところを、捨てる事はない。
絶対にヴァロンは、誰よりも白金バッジに相応しい夢の配達人になる。
私はそれを傍ではもう見られないけど、この白金バッジをヴァロンに持っていてほしい。
私の代わりに、持っていて?
心の中でそう呟いて……。
私はヴァロンに自分の白金バッジを渡そうと、した。
……っ?
でも、突然視野がボヤけて……。
頭がぐらっと、揺れた。
上手く立ち上がれず、足元がフラつく……。
「!っ…リディアッ!!」
ヴァロンの声が、聞こえた気がした。
フワッと身体が優しい温もりに包まれて……。
一瞬、意識を失った。
……。
ガッシャーンッ……!!!!
!?……え、……?
ガラスが割れたような、大きな音。
私がハッとすると……。
私は、力強い彼の腕の中にいた。
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