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(8)リディアside
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しおりを挟む最後に一緒に過ごしたヴァロンの15歳の誕生日は、彼が仕事で……。
もう一緒に過ごせないのかと思って一人でケーキ焼いてたら、誕生日が終わる5分前にギリギリで息を切らして帰ってきた。
懐かしい気持ちが溢れる。
「……今年は誰と、過ごしてるのかな?
仕事かな?……彼女、かな。
……。幸せに過ごしてると、いいな」
奥さんに頼んで買って来てもらった苺を、私はパクッと口に入れた。
甘酸っぱい、想い出の味が口に広がる。
「……ヴァロン。
17歳のお誕生日、おめでとう!」
そう口にして窓の方を見ると、いつの間にか雪が降り始めていた。
……。
寒い。
身体を冷やしてはいけないと、掛け布団をお腹に掛けようと引き寄せた。
その瞬間!
「っ……いッ……!」
ズキッと痛む肩の関節。
ズキズキ、ズキズキ痛んで……。
肩を片手で押さえながら、思わず少し俯くように前屈みになった。
「っ……。
ごめんね、ユイ。ビックリ……したよね?」
こういう時、痛みに耐える私を気遣うようにユイはいつも大人しくなる。
なかなか治らない痛み。
骨を直接握り潰されてるみたい。
「っ……ヴァロンッ……」
首のネックレスに掛けている鍵をぎゅうっと握り締めて、私はヴァロンの事を想い浮かべながら耐え続けた。
……
…………。
けど、痛みや苦しみは良くなる事はない。
年が明けるとますます激痛に苦しむ毎日。
夜も眠れない程、酷くなっていった。
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