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第2章(2)紫夕side
2-2-1
しおりを挟む「!……来たね、紫夕君」
同じ建物の地下にある研究室。
扉を開けて中に足を踏み入れると、白髪混じりの髪をオールバックにして、スーツの上に白衣を羽織った男。雪と響夜の父であり、ここの責任者である橘 涼夜が俺に気付いて言った。
口元をニヤリと吊り上げ、丸メガネの奥からあやしい光を放つ笑みは何度見てもいけ好かない。……が、今は我慢だ。
「サクヤは連れて来たかな?」
「……ああ。響夜に教えてもらった部屋に居る」
「そうか。私も後で寄るとしよう。
その前にまず、スノーフォールの討伐の件について話そうか」
橘はそう言うと独自で新たに開発した罠など、対スノーフォールの討伐に役立つ道具の説明を始めた。
そして、一通りの説明を終わらせた後、新たな作戦を告げる。
「今回の討伐には、同行者を付けよう」
「!……なに?」
「今の説明を聞いていて、何となく察していたんじゃないか?スノーフォールを相手に、罠やら道具やらを一人で使っている暇などないだろう?それに、そうでなくても一人で挑む事に限界を感じている。
だから、君に協力者を付けてやる、と言ってるんだ」
協力者。
確かに、スノーフォールを相手にする度に思ってた。以前特殊部隊に居た時のように、一緒に戦ってくれる仲間が居たら、って……。杏華や海斗の顔が、何度も頭に浮かんだ。……でも。
守護神を辞めた今の俺に、手を貸してくれる人なんていないーー。
人間よりも遥かに丈夫な肉体と強大な力を持つ魔物を相手に、唯一対抗出来る武器ー魔器ー。それを扱える人間は守護神の本部、数ヶ所にある支部を合わせても100人居るかどうかだ。
橘も関わっていたとは言え、魔器は守護神が開発した……言わば守護神の私物。辞めた後も、その守護神の物である斬月を返却せず、持ち逃げしたように手にしている俺は罪人同然なんだ。
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