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第4章(3)紫夕side
4-3-1
しおりを挟むそれから時間が経って……。
泣き疲れたサクヤは寝ちまった。
抱き締めていたら次第に泣き声が小さくなっていって、鼻をすする音がしなくなって……。静かになったと思ったら、サクヤは俺に抱きついたまま眠っていた。
そのままの体勢じゃ辛いだろう、と思い、俺は桜の木にもたれ掛かるようにして地面に腰を下ろすと、サクヤに膝枕して上着を掛けてやって今に至る。
よく寝てんなーー……。
この体勢にしてやってから、おそらく一時間以上は経過していた。
もしかしたら、俺が引き取ってやる前の雪の時のように眠れない状態が続いていたのかも知れない。研究員や医師達に色々言われたり検査やらされてるみたいだし、きっと今の生活は落ち着かないのであろう。
とは言え。昼前の検査から連れ去って、もうすぐ二時間程。
そろそろ橘の関係者の誰かが捜しに来そうだし、本当は昼飯を食わせてからここに連れて来ようと思ってたが、検査から逃げるように出て来てしまった為サクヤは飯抜き状態。
腹減ってるよな、絶対。
そう思った俺は一旦サクヤを帰そうと、抱き締めてそっと立ち上がった。
けれど、その動作の途中で「ん~っ」とサクヤは反応すると、目を擦ってしょぼしょぼさせながらも俺を見る。
「……しゆー?」
「あ、起きたか?」
「……。どこいくの?」
「ん?一回帰ろうぜ、腹減ってるだろ?」
「っーー……。……う、ん」
一回帰ろうーー。
俺がそう言うとサクヤは一瞬で目が覚めたようにハッとして、あからさまに元気なく俯いた。言葉にはしないが俺の服をぎゅっと握り締める態度が、ハッキリと「帰りたくない」と言っている。
サクヤのその反応に胸がトクンッと鳴った。
ーー……少しだけ、自惚れてもいいか?
少なくとも研究員や医師達よりも……。目覚めてから出会ったどの人間よりも自分は好意を持ってもらえているのだと、感じた。
だから、俺はサクヤに言った。
「サクヤ、俺ん家に来るか?」
「!っ、……え?」
「俺の家で、俺と紫雪と一緒に暮らそうぜ!」
俺の言葉に、サクヤは最初喜びよりも驚いた、って感じの表情で見つめてきた。
そして、ゆっくりと、確認の言葉を口にする。
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