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第7章(1)紫夕side
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しおりを挟む「っ、く……!!」
これには、さすがに風磨も少なからず動揺しているかのように顔を歪めていた。
そんな風磨に次なる攻撃を仕掛けたのはサクヤ。直接触れていない筈なのに退けるように手をバッと振ると、何故か風乱は弾かれ……。再び風磨が構える前に、サクヤは身を翻して勢いをつけた蹴りを放った。
ドガッ……!!!!!
その一連の動きは雪桜を手にして戦っていた雪の素早さを更に上回るもので、きっとその威力もかなりのものであった筈だろう。
だが。蹴りをまともに喰らったにも関わらず、風磨がその場から吹っ飛ぶ事はなかった。
ズザザッ!!と着いた足が地面を擦る音は凄まじかったが、踏み止まった風磨はすぐに体勢を整えて構える。
それはおそらく、風磨が魔器と魔具、その両方を身に宿しているからだろう。
二つの装備が、風磨の防御力を上げているーー。
このままでは、サクヤがどれだけ攻撃を当てようが風磨が致命的となる傷を負う事はない。そして、それは当然、蹴りを受けた風磨自身が何よりも確信している事だ。
相手がどれだけ素早く動き攻撃を繰り出してこようが、大したダメージにならないのならば問題はないし、逆に相手が疲れるまで攻撃を繰り返してくれるのならば好都合というもの。
暫く自分は防御に徹して、相手が疲労からスピードが鈍ったところを狙えば、自らが大した技を放たなくとも簡単に倒せるのだから……。
風磨は笑っていた。
俺も、このままではサクヤが圧倒的に不利だと思っていた。
しかし、サクヤに迷う様子は全くなかった。再び相手に詰め寄ると、素早い動きで蹴りや手刀を風磨の腹や背中に確実に当てに行く。
ただ闇雲に攻撃しているだけなのかーー?
一見、無駄かと思えたこの攻撃。
その成果が表れるのに、それ程時間は掛からなかった。
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