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第9章(2)雪side
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しおりを挟む靴を履いて玄関を出ると、家の外に止めてあったのは車。
「ホラ、乗った乗った!シートベルトしっかりしろよ?」
助手席の扉を開けてもらって乗り込むと、紫夕が運転席に座ってオレ達は出発した。
実は、車に乗るのは嫌いじゃない。
風を切りながら早く、遠くに行けて、色んな景色を見られるから。それに……。
紫夕、運転出来たんだ。
守護神に居た頃は、現地までは専用の運転士さんがいたから紫夕が運転している姿を見るのは初めて。
気乗りせず出発したが、大好きな人の新たな発見に少し嬉しくなり表情が緩みかけた。
けど、ふと……。ハンドルを握る紫夕の左手を見て、オレの気持ちはまた沈む。
指輪、してない……。
どうして気付いてしまったんだろう、と思った。
守護神にいた頃、恋人になって初めて一緒に本部に来る市場に行った際に、紫夕が買ってくれた三日月が刻まれたシルバーのペアリング。
でも、目覚めた時には指にはまってなくて、紫夕が渡してくれたオレの私物の中にもなかった。
買って貰った際には、紫夕もその指にはめてくれていたのに……。今は、はまっていない。
捨てちゃったの、かな……。
恋人になってから初めて紫夕がくれたオレの宝物で、初めてのお揃いの物だった。
それなのに、今はもう、どちらの指にもはまっていない。
……仕方ない、よね。
そう思いながらも、胸がズキンッと痛んで重くなってくる。
オレと紫夕は結婚出来ない。
結婚して、夫婦になるから幸せな訳ではない。
一緒に居られたら、それだけでいいと思っていた。
でも。
あの指輪の存在が、いつ変わってしまうか分からない彼の気持ちを確認出来る、唯一の目に見える形だった。
紫夕がオレを選んでくれた、って安心出来る証だったーー……。
その証が消えてしまった事で、オレは完全に不安定になって……。自信がなくなってしまっていた。
……
…………。
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