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第10章(3)雪side
10-3-3
しおりを挟むっ~~~!
や、やっぱり優しくないっ……!
前言撤回。優しい奴かと思ったが、それはおそらくオレの反応を見て、自分が楽しみたいからだけだと判断した。
けど、機嫌を損ねたオレがプイッと背を向けた瞬間。響夜が言ったんだ。
「お前は見失うな」
ーー……え?
そしてその言葉と同時に、オレの両耳から抜かれる耳栓。
響夜の方を振り向こうとしたが、遮る物が無くなったオレの耳には"ある音"が届いて……。オレは響夜ではなく、その音の方に視線を向けた。
聞こえたのは、足音。
オレの、大好きな人の……。
紫夕の、足音だーー。
「……っ、……紫夕?」
でも、視線の先は行手を阻む人混みで、愛おしい人の姿は見えない。
けど、オレには聞こえる。
絶対に、間違える筈がなかった。
遠くで響く音。それは紛れもなく、オレを捜して走り回ってくれている足音だ。
紫夕っ……!!
オレはその場を駆け出すと、紫夕の方へ真っ直ぐに向かった。
もう人混みなんて怖くない。大きな音だって、気にならない。
この先に紫夕が居るなら、オレは進める。紫夕の音にだけ集中すれば、全てが心地良い音に変わる。
会いたい。
会いたい……っ。
会いたいっ……!!
心の中がその想いで溢れて、夢中だった。
どんな表情して会えばいいのか分からないけど。
どんな言葉を言ったらいいのか分からないけど。
ただ会いたくて、傍に、行きたいんだーー。
そして、
「ーー……紫夕?」
人混みを抜けた先に見付けた後ろ姿。
その姿を瞳に映して、ようやく名前を呼ぶ事が出来た。
でも、紫夕が今どんな気持ちで居るのか分からない不安が表れるかのように、オレの口から出た声は、弱々しくて、問い掛けるような、声。
心臓、止まりそうっ……。
ちゃんと聞こえたか?
振り向いてくれるか……?
走ったからとは明らかに違うドキドキで、胸が痛む。
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