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第10章(3)雪side
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しおりを挟むサッパリ状況が飲み込めなくて、頭の中を?マークでいっぱいにして二人の様子を伺っていると、「そうだなぁ~」と言った響夜が顔だけこちらに向けて、オレに笑った。
そして、
「でも、普通に返すのはつまんないので……ペナルティは頂きます」
そう言って素早くオレの元に来ると、オレの腕を掴んで引き寄せながらもう片手を後頭部に回して……。唇と唇を近付ける。
ーー……っ、え?
でも、それは"キスしたフリ"。
響夜の唇は、オレの唇に触れるまさに寸前で止まっていた。
度重なる出来事に頭が真っ白だったオレは驚きを通り越してボー然としてしまっていて……。我に返ったのは、
「っ、てめぇッ!!雪に何してやがんだッ……!!!」
その言葉とバキッ!!って音と共に、紫夕が響夜を殴り付けた直後だった。
っ、……う、嘘。
モロにパンチを喰らった響夜は少し飛ばされて、地面に尻餅を着く。紫夕はそんな響夜の元にズカズカと歩み寄ると胸倉を掴んで、もう一度殴りかかりそうな勢いだった。
今まで見た事ない位に、紫夕のその瞳には怒りが表れていて……。
いや、違う。以前にも見た事があった。
そう、あれは、昔オレが医療施設の医師達に襲われかけていた時。
あの時はマリィが止めてくれたけど、もし、あのままだったら紫夕は……。
「っ、だ、駄目……!
やめてっ、紫夕ッ……!!」
紫夕が響夜の事を殴り殺しちゃうーー!!
そう思ったオレは、必死に紫夕を止めようとした。
けど、そんな心配は無用だった。
そう、何故なら相手は"あの"響夜なのだ。普通の人間とは訳が違う。
響夜は胸倉を掴まれた直後に地面を蹴って身を翻すと、そのままの勢いで紫夕の横顔を蹴り飛ばして反撃した。
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