スノウ2

☆リサーナ☆

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第10章(3)雪side

10-3-5

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サッパリ状況が飲み込めなくて、頭の中を?マークでいっぱいにして二人の様子を伺っていると、「そうだなぁ~」と言った響夜きょうやが顔だけこちらに向けて、オレに笑った。
そして、

「でも、普通に返すのはつまんないので……ペナルティは頂きます」

そう言って素早くオレの元に来ると、オレの腕を掴んで引き寄せながらもう片手を後頭部に回して……。唇と唇を近付ける。

ーー……っ、え?

でも、それは"キスしたフリ"。
響夜きょうやの唇は、オレの唇に触れるまさに寸前で止まっていた。
度重なる出来事に頭が真っ白だったオレは驚きを通り越してボー然としてしまっていて……。我に返ったのは、

「っ、てめぇッ!!ゆきに何してやがんだッ……!!!」

その言葉とバキッ!!って音と共に、紫夕しゆう響夜きょうやを殴り付けた直後だった。

っ、……う、嘘。

モロにパンチを喰らった響夜きょうやは少し飛ばされて、地面に尻餅を着く。紫夕しゆうはそんな響夜きょうやの元にズカズカと歩み寄ると胸倉を掴んで、もう一度殴りかかりそうな勢いだった。
今まで見た事ない位に、紫夕しゆうのその瞳には怒りが表れていて……。

いや、違う。以前にも見た事があった。
そう、あれは、昔オレが医療施設の医師達に襲われかけていた時。
あの時はマリィが止めてくれたけど、もし、あのままだったら紫夕しゆうは……。

「っ、だ、駄目……!
やめてっ、紫夕しゆうッ……!!」

紫夕しゆう響夜きょうやの事を殴り殺しちゃうーー!!

そう思ったオレは、必死に紫夕しゆうを止めようとした。
けど、そんな心配は無用だった。
そう、何故なら相手は"あの"響夜きょうやなのだ。普通の人間とは訳が違う。
響夜きょうやは胸倉を掴まれた直後に地面を蹴って身を翻すと、そのままの勢いで紫夕しゆうの横顔を蹴り飛ばして反撃した。
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