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第13章(1)紫夕side
13-1-3
しおりを挟む雪が荷台に居ない時は物陰から出て来るし、俺にも擦り寄ってくるのに……。雪が居ると、ずっと隠れて出てこねぇんだ。
「事件が起きた日に、強引に捕まえちゃったからかなぁ?」って雪は言うけど、おそらく違う。
紫雪も、気付いてるんだ。
雪の、魔物の部分が強くなっている事に気付いて、警戒してるんだ。
「紫夕~どうしたの?早く行こうよ~!」
助手席に座って、窓を開けて俺を呼ぶ笑顔の雪。
この笑顔を愛おしく感じて、胸が締め付けられるのも嘘ではない感情だった。
「おう!今行くな!」
俺は、手を振って笑顔と返事を返すと、運転席へと向かった。
……
…………しかし。
出発して、車を走らせる事数分。
「……、……。
……ゆ、雪?なんだ?ど、どうした?」
さっきから……。出発してから、助手席に座る雪がじっと俺を見つめてくる。
その視線に、俺はずっとドキドキしていた。ハンドルを握る手に力が込もって、手汗が滲む。
そんな俺に、雪が微笑って言った。
「何でもないよ。紫夕カッコ良いな~って、見てるだけ!」
「そ、そっか?
でもさ、そんなに見る程じゃねぇだろっ?恥ずかしいから、外の景色でも見てろよ」
胸が、痛い。
呼吸が、上手く出来ねぇーー……。
雪に見つめられると、最近ずっとそうなってしまう。
胸のドキドキはときめきじゃなくて……。見つめられている視線を外してほしいのは、恥ずかしいからじゃなくて……。
それは、蛇に睨まれた蛙かのような、恐怖からだーー。
「はぁ~い!」
俺の言葉に、雪は素直に返事をすると、窓を開けて風を感じながら外の景色を眺め始めた。
そして、ホッとしてしまう俺の横で、ふと、呟くように言った。
「紫夕」
「っ、ん?」
「大好きだよっ」
「ーー……っ、おう!ありがとな」
ーー……俺も、大好きだよ。
雪の言葉に、俺は、そう、言ってやれなくなっていた。
……
…………。
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