スノウ2

☆リサーナ☆

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第16章(4)紫夕side

16-4-4

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それは、幼い頃に一度封じていた記憶。
忘れなくては、と。きっと本能的に俺が封じた記憶だった。

「私がいなくなっても、あの子を……。紫夕しゆうをよろしくね。"兄さん"」

兄さんーー……?

夜中に目を覚ました俺は、扉の向こうで話す親父とお袋の会話を聞いてしまった。
聞き間違いだと思って……。でも、扉の隙間から覗いたその先に居たのは間違いなく親父とお袋の二人だけで……。「兄さん」と呼んだお袋の視線の先に居たのは、紛れもなく親父だった。

ーー……寝ぼけてた訳じゃ……。
夢じゃ、なかったんだな……、……。

もちろん、親父とお袋が亡くなっている今、その真実を問える相手はいない。
俺が「そんな訳ない」「町長が話した人物とは人違いだ」って思い込めば、それで済む問題だったんだ。

……
…………でも。
ゆきを見た瞬間に。目にする度に、堪らなく、ジワジワと湧き上がってくるんだ。

ゆきが俺の出生の秘密を知ったら、どう思うのかーー……って。

幼い頃、引き取られた先で性的な虐待を受けたゆき
俺にも、そんな風にゆきを酷い目に遭わせた奴らと似たような血が流れてるんだ。
その真実を知ったら……。ゆきは優しいから、酷い拒絶はしないだろう。きっと微笑って、「紫夕しゆう紫夕しゆうだ!」って言ってくれる。

けど、心の中ではーー……?

ほんの少しでも、怖い、とか。
ほんの少しでも、嫌だ、って思われてたら、俺はーー……。

……
…………。

日雇いの仕事から帰って来て、久々に一緒に風呂に入って、同じベッドに横になった。
腕の中で俺の事など何も知らないゆきは、無防備に身体を預けて眠ってる。
まだ体調が本調子じゃないからか、最近のゆきはすぐ眠りに落ちるし、一度眠ると多少の事では目を覚さない。

それが、せめてもの救いだったーー……。

俺は、ゆっくり腕を身体の下から抜いてゆきを丁寧に寝かせると、ベッドから離れた。
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