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第18章(3)雪side
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しおりを挟む紫夕の時のように自分を求めてくれて、嬉しい、なんて微塵も感じない。
ただただ、嫌悪感しか感じなかった。
嫌だ……っ。嫌だ……!
こんなの、欲しくないッ……!!
紫夕以外、欲しくないーー……!!
力一杯跳ね除けようとした。
が、風磨さんの手がオレのズボンのベルトに掛かって、解かれて……。
ーー……オレ、このまま犯されちゃうんだ。
こんな風になるなら、昨夜、紫夕に抱かれたかったーー……。
心の中で後悔と、「ごめんね」って言葉が呟かれた時だった。
「ーーふざけんなよッ、てめぇッ!!!!!」
空気がビリッと震えるような声と同時に、オレを押さえ付けていた重みが消えた。
そして、その直後に聞こえるバンッ!!!って、何かが壁に叩き付けられたような激しい音。
まるで魔物が興奮しているかのような、「フーッ!フーッ!」と言う荒い息遣いが耳に届く。
……っ、……な……に?
ゆっくり、オレはいつの間にか流していた涙でボヤける瞳に、その姿を映した。
ベッドの傍。
オレを護るようにして、立って居てくれたのはーー……。
「……っ。
……きょ……響、夜?」
黒髪に、細身を黒いロングコートに包む後ろ姿。
一瞬信じられなかったけど、それは紛れもなく響夜だった。
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