375 / 589
第19章(2)朝日side
19-2-1
しおりを挟む「サクヤは僕が護る。紫夕さんには渡さないよ」
響夜君のこんなに優しく強い表情と眼差しを、私は今まで見た事がなかったーー。
人型魔物を診る医師として、彼が産まれた瞬間から今日まで、何十年にも渡って見てきたと言うのに……。
驚くと同時に、私は羨ましかった。
橘さんの息子として。そして、人型魔物と言うハンデやリスクを背負って生きているにも関わらず、大切な人を護ろうとする響夜君の事が……。
思わずにはいられない。
自分にも彼のような強さがあったら、何かが変わっていたかも知れないのにーー……。と。
……
…………。
それは、もう今から35年以上前の事。
当時19歳だった私は、己の為に大切に想っていた女性を傷付けた。
と、言っても、完全な片想いだった。
優しく丁寧な受け付けに、的確な指示でオペレーター業を熟す彼女は、守護神で働く者の憧れの存在。特に男性には一目置かれる注目の的だった。
望月 紫季さんーー。
私より5歳年上のしっかり者のお姉さん。
横結びにしている艶やかな長いロングストレートの黒髪に、漆黒のアーモンドアイ。
白と紺が貴重のビシッとした仕事用の制服が、とても良く似合っていた。
「あ、朝日君!おはようございます!」
「!っ、……お、おはよう、ございます」
彼女は天真爛漫で、誰にでも屈託なく接してくれた。
田舎の出身で、勉強以外なんの取り柄もない、地味で目立たない私にも……。名前まで覚えてくれて、気付けば必ず声を掛けてくれた。
「この間お借りした本、とっても面白かったです!」
「!っ、ほ、本当ですか?」
「ええ。続きがあったら、ぜひ貸して頂けますか?」
「も、勿論ですっ!」
社交辞令、だとは分かっていた。
けど、自分を真っ直ぐに見つめて、真剣に話を聞いてくれるのが、とても嬉しくて幸せだった。
0
あなたにおすすめの小説
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
【完】君に届かない声
未希かずは(Miki)
BL
内気で友達の少ない高校生・花森眞琴は、優しくて完璧な幼なじみの長谷川匠海に密かな恋心を抱いていた。
ある日、匠海が誰かを「そばで守りたい」と話すのを耳にした眞琴。匠海の幸せのために身を引こうと、クラスの人気者・和馬に偽の恋人役を頼むが…。
すれ違う高校生二人の不器用な恋のお話です。
執着囲い込み☓健気。ハピエンです。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。
逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦
雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、
隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。
しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです…
オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が
なかたのでした。
本当の花嫁じゃない。
だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、
だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という
お話です。よろしくお願いします<(_ _)>
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる