スノウ2

☆リサーナ☆

文字の大きさ
377 / 589
第19章(2)朝日side

19-2-3

しおりを挟む

そして。父が病に倒れて困った時も「出世払いで構わない」と、即座に大金を貸してくれて……。その結果、父の手術は成功し、順調に回復に向かっていた。
両親もたちばなさんにはとても感謝していて、私が立派な医師になり、いつかたちばなさんを支えられる人物になる日を心から楽しみにしてくれている。

たちばなさんへの恩。
両親の喜びと期待。

選択肢など、ないに等しい。
私の中の天秤が、どちらに傾くか?なんて、初めから決まっていた。
そしてそこに、更に追い討ちを掛けるかのような言葉。

「君が嫌なら仕方ない、無理にとは言わんよ。
そう、ただ、別の奴に頼むだけだ。
彼女が別の男に抱かれるのを見るか。それとも自分が抱くか……。さぁ、選びなさい」

耳元で囁かれたその言葉に、「分かりました」と答えたのは、もはや無自覚だった。
それしか選択肢のなかった私がこの瞬間に思った事は、

告白して、フラれて、嫌われる方が、きっと何十倍も何百倍も楽だっただろう、とーー……。

そんな、己の無力さと勇気のない自分に湧き上がる、後悔と虚無の感情だった。


けれど。
私は、最低な人間だったーー。

紫季しきさんの兄である三月みづきさんが任務で遅くなる日を、犯行の日に選んだ。

仕事帰りの彼女に背後から襲いかかって、目隠しをして、人気のない暗い路地裏に連れ込んだ。
体力や力に自信のない自分でも、いとも簡単にそう出来る位に、紫季しきさんはか弱いただの女性だった。

その姿に、興奮してる自分がいたーー。

組み敷いて、衣服を剥いて、自らの下で暴れもがく姿に欲情する自分。
幼い頃に見た母親のものとは全く比べ物にならない程に美しく目に映る、裸体。初めてまじまじと目にする女性の部分全てに、夢中になっている自分が在った。

こんな事を命じたたちばなさんよりも、自分は穢れていると思った。

何故なら自分は、この時。
確かに紫季しきさんと結ばれる行為に、快楽と幸せを感じてしまったのだから……。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

【完】君に届かない声

未希かずは(Miki)
BL
 内気で友達の少ない高校生・花森眞琴は、優しくて完璧な幼なじみの長谷川匠海に密かな恋心を抱いていた。  ある日、匠海が誰かを「そばで守りたい」と話すのを耳にした眞琴。匠海の幸せのために身を引こうと、クラスの人気者・和馬に偽の恋人役を頼むが…。 すれ違う高校生二人の不器用な恋のお話です。 執着囲い込み☓健気。ハピエンです。

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。

【完結】恋人になりたかった

ivy
BL
初めてのキスは、 すべてが始まった合図だと思っていた。 優しい大地と過ごす時間は、 律にとって特別で、 手放したくないものになっていく。 けれど……

逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦

雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、 隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。 しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです… オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が なかたのでした。 本当の花嫁じゃない。 だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、 だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という お話です。よろしくお願いします<(_ _)>

暑がりになったのはお前のせいかっ

わさび
BL
ただのβである僕は最近身体の調子が悪い なんでだろう? そんな僕の隣には今日も光り輝くαの幼馴染、空がいた

処理中です...