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第19章(2)朝日side
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しおりを挟むそして。父が病に倒れて困った時も「出世払いで構わない」と、即座に大金を貸してくれて……。その結果、父の手術は成功し、順調に回復に向かっていた。
両親も橘さんにはとても感謝していて、私が立派な医師になり、いつか橘さんを支えられる人物になる日を心から楽しみにしてくれている。
橘さんへの恩。
両親の喜びと期待。
選択肢など、ないに等しい。
私の中の天秤が、どちらに傾くか?なんて、初めから決まっていた。
そしてそこに、更に追い討ちを掛けるかのような言葉。
「君が嫌なら仕方ない、無理にとは言わんよ。
そう、ただ、別の奴に頼むだけだ。
彼女が別の男に抱かれるのを見るか。それとも自分が抱くか……。さぁ、選びなさい」
耳元で囁かれたその言葉に、「分かりました」と答えたのは、もはや無自覚だった。
それしか選択肢のなかった私がこの瞬間に思った事は、
告白して、フラれて、嫌われる方が、きっと何十倍も何百倍も楽だっただろう、とーー……。
そんな、己の無力さと勇気のない自分に湧き上がる、後悔と虚無の感情だった。
けれど。
私は、最低な人間だったーー。
紫季さんの兄である三月さんが任務で遅くなる日を、犯行の日に選んだ。
仕事帰りの彼女に背後から襲いかかって、目隠しをして、人気のない暗い路地裏に連れ込んだ。
体力や力に自信のない自分でも、いとも簡単にそう出来る位に、紫季さんはか弱いただの女性だった。
その姿に、興奮してる自分がいたーー。
組み敷いて、衣服を剥いて、自らの下で暴れもがく姿に欲情する自分。
幼い頃に見た母親のものとは全く比べ物にならない程に美しく目に映る、裸体。初めてまじまじと目にする女性の部分全てに、夢中になっている自分が在った。
こんな事を命じた橘さんよりも、自分は穢れていると思った。
何故なら自分は、この時。
確かに紫季さんと結ばれる行為に、快楽と幸せを感じてしまったのだから……。
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