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第21章(1)雪side
21-1-6
しおりを挟む「ねっ、ゆきさん!つぎは、おえかきしたい!」
「うん、いいよ」
え~、っと。
確か紙と鉛筆、あったよね。
やよい君と過ごして楽しくなっていたオレは、すっかり肝心な事を忘れていた。
橘さんと話に行った響夜が、どんな報告をしてくれるのか。
それから、やよい君の父親が、誰なのかーー……。
「ーー……オイ。なに、やってんだ?」
それは、やよい君と楽しくお絵描きを始めた直後だった。扉の方から聞こえた、驚いたような声。
「!……あ、響夜」
扉の所に立っていたのは、響夜。こっちを見て、何だか幻を見るかのような表情をしている。
?……響夜?
何故、響夜がそんな表情をしているのか、オレには分からなかった。
そんな、疑問に思うオレの横で、やよい君がなんと衝撃の一言を発する。
「おとうさん」
「っ、……え?」
「おとうさん!おかえりなさい!!」
お父、さんーー……。
そう言ったやよい君は勢い良くベッドから降りると、真っ直ぐに響夜の元へ行って飛び付いた。
やよい君の言葉と目の前の光景に、今度はオレが幻を見ているかのように呆然としてしまった。
……
…………。
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