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第21章(4)雪side
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しおりを挟む「……口の端が少し切れてるね。消毒しておこうか」
響夜との騒ぎを聞いて駆け付けた朝日先生が、ベッドに座ったオレにそう声を掛けて傷の手当てをしてくれる。
響夜に引っ叩かれて、切れた口端の傷。消毒液のついた綿をピンセットで当てられると、その動作は優しい筈なのにズキッと傷んでオレは思わず顔を顰めた。
「ごめんね、少し沁みるよね?」
「……いえ、大丈夫です」
そう答えたオレの頭の中には、ついさっき部屋を出て行った響夜の表情が浮かんでいた。
殴られたのはオレなのに……。殴ったのは響夜なのに、オレよりも苦しくて辛そうな表情をしていたんだ。
……なんで、だよ。
オレには響夜が分からない。
優しい奴だと思ったら、揶揄ったり、馬鹿にするような言い方したり……。弥夜君の事だって……。
「弥夜君、大丈夫かな……」
「え?」
「あ、いえ……。何でも……」
「サクヤ君、弥夜君に会ったのかい?」
つい弥夜君の名前を口に出してしまうと、それに反応した朝日先生にそう尋ねられた。
オレが頷くと、朝日先生はにっこり微笑んで話し出す。
「そうかい、そうかい。
可愛い子だろう?礼儀正しくて、素直で、良い子なんだよ」
その言葉にオレは「うんうん」と心の中で頷き、同時に、よく響夜からあんな可愛い子が生まれたな、って思った。
響夜は「育ててやってる」って言ってたけど、きっと大して何もしてなくて、朝日先生や他の人達が弥夜君の世話をしてるんだろう、って……。
だから、オレは驚いた。
「産まれてすぐにお母さんは亡くなってね。その後は、響夜君がミルクをあげたり、おむつを替えたり。言葉や勉強や、最近は体術なんかも教え始めたんだよ?」
ーー……え?
朝日先生の言葉が、オレにはすぐに信じられなかった。
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