スノウ2

☆リサーナ☆

文字の大きさ
上 下
450 / 589
第21章(5)雪side

21-5-2

しおりを挟む

でも。風磨ふうまさんがオレとの距離をどんどん詰めた、その時ーー……。

「ーーくるなぁッ!!」

部屋に響く、大きな声。
その声と同時に、オレの目には小さな背中が映った。

「ゆきさんにちかづかないでくださいッ!!ゆきさんをこわがらせるヤツは、ボクがゆるさないですッ……!!!」

そう叫びながら、オレと風磨ふうまさんの間に立ったのは弥夜やよい君。ベッドから駆け降りた弥夜やよい君が、手をいっぱいに広げて、一生懸命にオレを護ろうとしてくれていた。

っ、……弥夜やよい君。

その姿に胸をジンッと打たれる。
けど、そんな弥夜やよい君を前にして、風磨ふうまさんはおかしそうに笑った。

「ハハハハハッ……!!
これはこれは、何処から潜り込んだのかな?坊や。
そこを退きなさい。さもないと、痛い目に遭う事になるよ」

嘲笑い、やらしい口調で風磨ふうまさんがそう告げる。
でも弥夜やよい君は全く怯む様子もなく、言い返した。

「うるさいッ!!
それはあなたのほうです!!いますぐここをでていってくださいッ……!!!!」

するとその直後に、風磨ふうまさんが片足を軽く上げ、身を回転させる。
その光景を見て、オレがハッとした時には遅かった。風磨ふうまさんの足が勢い良く振り回され、それに蹴られた弥夜やよい君の小さな身体は一瞬で吹っ飛んだ。

「!!っ……弥夜やよい君ッ!!!!」

咄嗟に名前を呼んで駆け寄ろうとするが、壁に叩きつけられ床にうつ伏せで倒れ込んだ弥夜やよい君の首元に、風磨ふうまさんが風乱ふうらんを突き立てて……オレの動きを制する。

少しでも動いたら殺すーー。

言葉にはされないが、風磨ふうまさんの全身からそんな雰囲気が滲み出ているようで、動く事が出来ない。
そんな、何も出来ず拳を握り締める事しか出来ないオレの耳に届く、痛みを堪えるような声。
しおりを挟む

処理中です...