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第21章(5)雪side
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しおりを挟むでも。風磨さんがオレとの距離をどんどん詰めた、その時ーー……。
「ーーくるなぁッ!!」
部屋に響く、大きな声。
その声と同時に、オレの目には小さな背中が映った。
「ゆきさんにちかづかないでくださいッ!!ゆきさんをこわがらせるヤツは、ボクがゆるさないですッ……!!!」
そう叫びながら、オレと風磨さんの間に立ったのは弥夜君。ベッドから駆け降りた弥夜君が、手をいっぱいに広げて、一生懸命にオレを護ろうとしてくれていた。
っ、……弥夜君。
その姿に胸をジンッと打たれる。
けど、そんな弥夜君を前にして、風磨さんはおかしそうに笑った。
「ハハハハハッ……!!
これはこれは、何処から潜り込んだのかな?坊や。
そこを退きなさい。さもないと、痛い目に遭う事になるよ」
嘲笑い、やらしい口調で風磨さんがそう告げる。
でも弥夜君は全く怯む様子もなく、言い返した。
「うるさいッ!!
それはあなたのほうです!!いますぐここをでていってくださいッ……!!!!」
するとその直後に、風磨さんが片足を軽く上げ、身を回転させる。
その光景を見て、オレがハッとした時には遅かった。風磨さんの足が勢い良く振り回され、それに蹴られた弥夜君の小さな身体は一瞬で吹っ飛んだ。
「!!っ……弥夜君ッ!!!!」
咄嗟に名前を呼んで駆け寄ろうとするが、壁に叩きつけられ床にうつ伏せで倒れ込んだ弥夜君の首元に、風磨さんが風乱を突き立てて……オレの動きを制する。
少しでも動いたら殺すーー。
言葉にはされないが、風磨さんの全身からそんな雰囲気が滲み出ているようで、動く事が出来ない。
そんな、何も出来ず拳を握り締める事しか出来ないオレの耳に届く、痛みを堪えるような声。
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