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第21章(5)雪side
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しおりを挟むーー……でも。
「サクヤはサクラじゃない」
そんな現実を悲しむオレの心に、その言葉が響いた。
その声に目を向けると、響夜が風磨さんを見つめながら言っていた。
「実験動物でしか見られない奴に、サクヤは渡さない」
っ、響夜……。
胸をきゅっと、掴まれた気がした。
その言葉を素直に嬉しいと感じて、心から身体が徐々に暖まっていく。
少し悔しい気もしたが、今は響夜の事をカッコ良いと思わざるを得なくて……。オレは、目が逸らせなかった。
「アンタ相手に、魔器なんて必要ない」
そして、勝負は決まったーー。
「……もう二度と、サクヤに近付くなッ」
響夜のその言葉の後に、風磨さんが「ッがはっ!!」と声を上げて仰け反るように後ろに倒れるのはあっと言う間だった。
そんな風磨さんのすぐ前方に居たのは、片足を高く上げた響夜で……。速すぎて見えなかったけど、おそらく響夜の下から上に蹴り上げられた足蹴りが、風磨さんの下顎に当たったのだろう。
強力な一撃を喰らって顎の骨を砕かれた風磨さんは、そのまま仰向けに床に倒れて……。白目を向いて、口からは泡を吹いていた。
「……おい!誰かいるか!
風乱を回収して、今すぐ風磨をここからつまみ出せッ!!」
響夜の言葉に、廊下で待機していた警備員らしき人達がバタバタと集まってくるのはすぐだった。
その人達は気絶したままの風磨さんの身体や手足を担当して持ち上げると、そのままオレ達の居る部屋から運び出して行った。
可哀想だとも、不憫にも、思う。
でも、今のこの状況にホッと安堵している自分もいて……。オレの心境は複雑だった。
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