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第23章(2)雪side
23-2-2
しおりを挟むその感情は、抱かれたい訳じゃない。でも、この温もりを手放す事も出来ない、複雑なものだった。
けど、ベッドに降ろされて、横になった響夜に、
「落っこちるから、もう少しこっち来い」
……そう言われて。オレは自ら、広げられた響夜の腕の中に身体を寄せていた。
「身体、辛くないか?」
オレの身体を労わるように、そっと包み込んでくれる腕の中。頷いたら、また笑みがこぼれてた。
響夜に優しくされて。甘やかしてもらえて、オレは嬉しかったんだ。
おかしいな。
もっとドキドキして眠れないかも、って思ってたのにーー……。
響夜の温もりと匂いが心地良過ぎて、目を瞑ればすぐに眠気が襲ってくる。
「……。……オレも、悪い奴だね」
あまりの心地良さに癒されて、素直な心がさらけ出されるかのように思わずそう呟いていた。
その言葉に、「あ?」って響夜の声が聞こえる。
オレは、これまでずっと心の奥底にあった感情をゆっくりと口にした。
「オレね、本当は少しだけ……母さんが信じられなかったんだ」
「……」
「だって、母さんは三月さんが好きだったのに、何で橘さんと?、って……」
「……」
「でも、……オレも同じだ。
ううん、オレの方が……ズルくて、酷いや」
母さんは三月さんが亡くなっちゃって、オレよりももっともっと辛かった筈だ。それ故に、自分に優しくしてくれた橘さんに甘えた。
それに引き換えオレは、自ら紫夕と離れる人生を選んだクセに……。フラフラして、響夜に甘えてる。
苦笑いが溢れて、「ごめんね」って言おうと思った。
けど、その時。響夜がぎゅっとオレを抱き締めて、背中をポンポンッとしながら言ってくれた。
「……お前は、悪くねぇよ」
その手と声が、また、優しい。
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