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第23章(4)紫夕side
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しおりを挟む響夜がこの小屋を出て行ってから暫くして、同じ敷地内にある研究所の方から激しい爆発音が聞こえた。
「……よし、行くぞ!」
その爆発音を合図に、意識のない雪を抱いた俺は、朝日と響夜の息子である弥夜を連れて小屋を出ると、予め教えられていた隠し通路を通ってこの場からの脱出を試みる。
以前、雪を目覚めさせる為に橘の味方についていた際に、この研究所には何度も来た。守護神の任務でも何度か調査してるし、周辺の事は把握済み。邪魔さえ入らなければ、抜ける事は簡単だ。
けど、だからと言って気を抜いてはいけない。今はそんな状況だ。
それでも……。
それでも、背後から激しい爆発音や魔物らしき鳴き声が聞こえてくる度に、立ち止まりたい、振り返りたい気持ちでいっぱいになる。
響夜の事を、思い出して……。
「……頼んだよ。
僕の、大切な……弟なんだ」
嘘つけ、って、言ってやりたかった。
あの声も、表情も、少しも雪の事を"弟"なんて想ってる感じじゃなかった。
ムカつく。
苛つく。
俺が今、どんなに悔しいか……。響夜
には分からないだろうな?
12月の始め、マリィの家で突然に響夜が現れたあの日から、俺はずっとずっと悔しかった。
「……なんてね。
冗談です。僕が……力を貸します」
そう言う響夜が、雪を大切に想っている事は、以前に町で会った時から気付いてた。……それなのに。
「その代わり、僕の頼みを聞いて下さい」
それなのに、いわゆる恋敵と言われる俺に、響夜は頭を下げたんだ。
そればかりか、その頼み、とは全てが全て"自分以外の誰か"の幸せを願う頼みだった。
俺には、出来なかった。
雪が橘の元に居る事を察した時も、確信した時も……。橘の息子であり、雪に想いを寄せている響夜に頼ろう、なんて思えなかった。
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