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最終章(2)紫夕side
24-2-1
しおりを挟む「えっ?デート?!」
いつも通り、休暇の前夜に我が家に帰って来た俺は、雪の言葉に驚きを隠せなかった。
「嫌?」
「い、嫌じゃねぇけど……。い、いいのか?」
見上げられて、首を傾げながら尋ねてくる雪の可愛い仕草に胸キュンしながらも、俺は何とか抑えて聞き返した。
何故なら雪はここに住み始めて以来、遠出をしたい、なんて一切言ってこなかった。
帝王切開で行った出産後、なかなか体調が回復しなかった事もあるし。おそらく、いつまた魔物化の症状が出てしまうか分からない、と言う不安もあったからだろう。
近くの町で開業した朝日が、定期的に検診に来てくれているから大丈夫だとは思うが……。それでも、家の外の森の中に出るくらいだったし、最近は弥夜や紫愛を交えて、あくまで家族として過ごす事がほとんどだった。
それなのにいきなり、デ、デート……って。
な、なんか……久々に、照れんな…………っ。
家族としての「いってらっしゃい」のキスや、子供達を交えて手を繋いだりしかここ最近していなかった俺にとって、"雪と二人きりでデート"と言う状況は想像しただけでドキドキする。
それなのに、雪は分かっているのかいないのか……。俺の言葉に身体を揺らしながら、可愛い笑顔で見上げて言った。
「あははっ、変なの。オレが誘ってるんだから、いいに決まってるじゃない!
行こ?ねっ?たまには二人で……。いいでしょ?」
「か、可愛い……」
ああ、もちろんだーー。
雪のあまりの可愛さに壊れた俺は、もはや口から出た言葉と心の中の言葉が逆になっている事にも気付かなかった。
……
…………そう、気付かなかったんだ。
紫愛が産まれてから、本当に幸せで幸せで仕方なかったから……。
このまま明るい未来が来る事を、信じて、疑わなかった。
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