スノウ2

☆リサーナ☆

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エピローグ(2)紫愛side

エピローグ2-1

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月日が流れーー……。

ここは守護神ガーディアン本部の敷地内にある、総指揮官ー望月もちづき 紫夕しゆうーの住居である一軒家。

「あんっのお転婆娘!!やりやがったなぁ~~~ッ!!!!!」

お~うるさい。
その二階にあるもぬけの殻状態となった部屋を見て、ふるふると怒りで身体を震わせながら怒鳴っている人物こそ、この家の主人。望月もちづき 紫夕しゆうだ。
普段は守護神ガーディアンの本部、特殊部隊の全てをまとめる総指揮官として立派らしいが、我が家ではいつも動きやすいスウェット姿のただの五十歳過ぎのおっさん。

私はその様子を隣の建物の屋根上から暫く見ていたが、満足気に笑って駆け出す。

脱出は見事に成功!
てか、魔物の血を受け継いでる私をあの程度で閉じ込めたつもりでいるなんて、ホント甘いわね~パパは!

ルンルン気分で屋根を跳ぶように駆け、隣の建物にピョンッとひとっ飛びで移動。

気持ち良いーー。

風になびく背中まで伸びた黒髪を、左手首に着けていたサクラの飾りが着いたヘアアクセサリーでポニーテールに纏める。
すると、そんな私の身体に腕を回し、ガッと引き止める人物がーー……。

「!……およっ?」

カクンッと傾く身体を、しっかりと力強い片腕が完全にホールド。
今私が居るのは屋根の上。しかも、私は普通の人間ではあり得ない素早さと身のこなしで移動中。
そんな私を捕まえられる人間なんて、おそらく早々いない。

でも、たった一人だけいるんだ。
私と同じ血を持つ人。

「「およっ?」じゃねぇよ。いくら本部内だからって、無闇に人離れした事すんな、って言われてるだろ?紫愛シア

そう溜め息混じりの声で注意するのは、私の五歳年上の兄の弥夜やよい。私以外に魔物の血を受け継ぐ、唯一の存在だ。

「何よ、兄貴にーに
パパに命令されたのっ?放して……!」

「命令、って……。親が子供を心配すんのは当たり前だろ?」

切れ長の目を細めながらそう言って、私の身体はひょいっといとも簡単に持ち上げられてしまう。
悔しいが、捕まってしまっては兄貴にーにの方が力は圧倒的に上。
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