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第4章
4-8
しおりを挟むクウォンーー?
さっきまでとは全く違う、これまで私が見る事がなかった、彼の緊張に包まれた表情。
何故?
この部屋を訪れた男性が本当にクウォンのお父様ならば、彼はどうしてこんなにも強張った表情をしているのーー?
本来ならば国王である人物を前にすぐさま跪き、こちらから挨拶を述べるのが礼儀だが、私は一変したクウォンの様子と雰囲気に驚き、ただ呆然としていた。
そんな私の前で交わされる親子の会話。
「何故、離宮に?」
「何故?息子がようやく妻を娶るというのに、父上の私がお祝いに来てはおかしいか?」
「っ……いえ」
クウォンのお父様であるゼアス様。そのお姿を目にするのは今日が初めて……。
それでも、私の中にはなんだか違和感が生まれた。
だって、私が聞いていた話ではゼアス様は優秀な跡取り候補であるクウォンをとても可愛がって大切にしている、って……。
でも、今私のこの目の前に居る親子には、"可愛がっている"とか"大切にしている"って言葉は、何一つ……当てはまらないように感じたから……、……。
「ーーそなたがミラの娘か。よく似ているな」
「!っ……申し訳ございません!ご挨拶が遅れました!ガーネット、と申します」
お声を掛けられて、ハッとする。ようやく我に返った私は"しまった"と思いながらも慌てて跪くと、頭を下げ自己紹介をした。
けれど、これはどう考えても遅い。
ここまで感じたゼアス様の印象からすると、私の無礼な態度に何らかの指摘がある事を覚悟した。
……しかし、…………。
「ハハハッ、良い良い。
そなたはミラの娘であり、今日から私の娘となる存在なのだ。顔を上げなさい、堅苦しい挨拶もなしにしよう」
ゼアス様はそう笑い飛ばすと、私に向かって優しく微笑んでくれた。
その表情は、さすが親子、というべきかクウォンととても良く似ていて……。まるで数十年後の彼を見ているようで、私は不覚にもドキンッとした。
そんな私にゼアス様は祝いの品だと言ってたくさんの贈り物をくれ、「早く孫の顔を見せてほしい」と、去り際に告げると帰って行った。
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