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第11章(4)マオside
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しおりを挟む「っ……や、やっぱり!夕飯は外で食べましょう?マオ様!」
「!……え?」
じっと見つめていた僕からパッと目を逸らすと、ミネアさんは卵を片付けながらそう言った。顔を真っ赤にして、瞳を潤ませて、小刻みに震えてる。
「だ、駄目ですわね~やっぱり!慣れない事なんて、するもんじゃない。っ……お待たせした上に、外食しよう、なんて……ごめんなさいッ」
声も震えてた。
僕と、顔を合わせようとしない。
今にも泣き出しそうな、ミネアさんの姿。
僕は、自分を殴りつけてやりたくなったーー。
「……いえ。
僕は、これが食べたいです」
その言葉に「え?」とミネアさんが顔を向ける。
テーブルの上に置いてあったオムライスを見付けた僕は、一緒においてあったスプーンを手に取って、一口すくってそれを食べた。
具材は形がバラバラで、時々固い部分があった。上に乗っていた玉子焼きはふわとろとは程遠く、固くて、少し焦げた味が口に広がる。
……けど。
この中には間違いなく、僕に向けられた一心の想いが込められていて……。胸が、いっぱいになった。
「……美味しいですよ、すごく。ミネアさん、ありがとうございます」
「っ……、もう、マオ様ってばッ……嘘、ばっかりっ……。っーーー……」
僕が微笑んだら、ミネアさんの瞳から涙がポタポタと流れ出した。
「や、やだ……っ。ご、ごめんなさいっ」
涙を拭いながら彼女は微笑もうとするが、止まらない涙にくるっと僕に背を向けてしまう。
いつもは凛としている背中が、小さな少女のようだった。
僕の為に、こんな綺麗な涙を流してくれる人がいるーー。
スプーンを置いて、僕は震える小さな身体を背中から包むように抱き締めた。
「っ……マ、マオ様?」
ビクッと揺れる身体に、早くなる鼓動。
みんな知らない。ミネアさんは、本当は”お姉さんキャラ”なんかじゃないんだ。
いつも背伸びをして、頑張ってるんだ。
僕はミネアさんの身体をゆっくり自分の正面に向かせると、頬に手を添え、親指で涙を拭いながらそっと彼女に口付けた。
夢は、夢。
月姫様は、全部僕の創り出した世界に違いないんだーー。
……
…………。
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