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第12章(3)ギャランside
3-2
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医師の手から奪うようにして取った封筒の中身ーー。
その中にあったのは、別れの言葉。
『新たな道を歩め』
たった一言、そう綴られた文字。
以前見舞いに訪れた際に、親分は医師からワシの状態を聞き、この手紙を置いて行ったらしい。
その言葉は、きっと親分の最後の優しさだった。
見舞いの際に言ってくれた『待っているから、早く戻って来い』と言う言葉も、ワシの性格を知った上での言葉だったに違いない。
もう戻れないと知れば、ただ歩けるようになる為のリハビリを受けず、死を選ぶかも知れないというワシの性格を見抜いて……。
親分なりの、優しさの形。
リハビリをする日々の中で、別の幸せを見付けてほしいという想い。
けれど、もう一度彼の元へ戻って共に在りたいと願っていたワシにとって、それは絶望の言葉でしかなかった。
心にあった僅かな希望という水がなくなり、音もなく乾いてヒビ割れて行くような感覚。
砂漠状態の心に浮かんだのは……。
ーーああ、捨てられたんだ。
そんな感情でしかなかった。
やっと見付けた自分の居場所。
あっという間に、なくなった。
家族だと思っていたみんな。
ワシを置いて、遠くにいってしまった。
オレハ、マタ、ヒトリボッチダ……。
帰る場所もなく、挨拶を交わす家族も友もいない。
何をしても、褒めてくれる人もいない。
誰よりも速くて自慢だったこの脚も、もう、ない。
……オレニハ、ナニモ、ナイ。
独りぼっちだった事、汚いと言われた事。盗みを働き、殴られ、罵声を浴びせられた事。
ただ自分は生きているだけなのに……。
幼い頃の嫌な思い出や記憶が、暗雲のようにあっという間にワシを覆っていった。
親分の為に生き、仕事以外何もなかったワシ。
親分と仕事。その自分の要である二つを失い、”自分自身の夢”を持っていなかったワシは、完全に光が見えなくなっていた。
……
…………。
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