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第五十一話 新たな影
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俺は今ーーーとてつもなく疑問に思っている。
葵は眠たい目を擦りつつパジャマ姿でリビングに顔を出すと、その光景を改めてマジマジと見つめた。
やはりーーーいる。
薄い瞼からぼやけた視界に映った光景に葵は更に疑問を浮かべた。
それは優一も同じだったのか、同じくその光景を眠たそうな目で睨みつけながら、もう一度目を擦っていた。
「ねぇ、優一さん。なんであの方がここにおられるんでしょうか。ひょっとして…呼びました?」
「不法侵入。」
(ふ、不法侵入…)
「ーーー訴えますね。」
「ってこらこらぁ!もうそんな怖いこと言わないでくれよ!俺たち初めましての仲じゃないんだからさぁ!それにロック解除して鍵も閉め忘れたのは優一だろ?」
そう言って得意げな顔で話すのは、この前夜遅くに突然家にやってきて、ぶっ飛んだキャラを繰り広げたあの元俳優(?)ーーー高本敬浩だった。
「え、優一さん、まじですか?」
葵がその言葉にチラリと優一を見ると、優一は真顔のまま少し顔を背けた。
「……知らない。」
「ちょっ、優一さん!危ないんですから戸締りはしっかりって前も言ったじゃないですか…!」
「記憶にない。」
「優一さん!!」
「まあまあそれに関しては疲れて寝ぼけてたんだろうし仕方ないけどさ!まあそんなことは置いといて、このチョコ、食べてくれよ!沢山持ってきたからよ!」
「チョコ?」
「そう!優一大好きだろー?」
敬浩はそう言うと、綺麗に整ったリビングのテーブルに尋常じゃないほどの量の海外から取り寄せたであろうチョコレートの袋をばら撒いたのだったーーー
ーーー
今日は11月中旬の週末で、テストも天体観測も無事に終わって12月最後の次のテストまでは落ち着くことの出来る葵にとっては最高の休みだったのだがーーー一体何故そんな休日にこうなってしまったのかーーー考えてもわからない。
ただ昨日の記憶としては、優一もまたいつも通り夜遅くに仕事が終わるということでご飯だけ作って自分は早めに寝て明日は優一も自分も休みだからとアラームは8時くらいに設定しておいたのだ。
だから今頃はまだ夢の中のはずなのだがーーー
それは今日の深夜のこと、突然物音がしたかと思うと誰かの知らない声が聞こえ、怖くなった葵は毛布に潜り込んだまま急いで優一に電話をかけたのだった。
そして2人でリビングに向かって恐る恐るその何者かの姿を覗いたところーーーあの男、高本敬浩が何故かニコニコした笑顔でリビングにいたーーーというのが今に辿り着くまでの話である。
(あんなの軽くホラーだぞ…)
「敬浩さん。来るのは勝手かもしれませんが、なぜいつもこういう変な時間に来るんですか。」
「あーそれについては本当にごめんって。実はこんな時間に来たのにも辛い辛い訳があるのよ。」
「どんな理由を述べようと認めるつもりは無いですが。」
「いやまずは聞けよ!?でーーーその理由ってのがこの前会った時日本に帰ってきたばかりって言っただろ?けど、それでももう俺はその次の日からバリバリ仕事しようとしてたわけよ。でもマネージャーに聞いたら11月の後半から仕事開始だって言われちゃってねぇ。だからどこか旅行しようかなぁって思ったわけ!で、この前フラーっとフランス行ってたんだよね。フランスだけに。あ、ここ別に笑わなくていいよ?で、そこまではいいんだけどその時差のせいで体内時計が狂っちゃったみたいなんだよ。分かる?この辛さ。」
(やべぇ…話が全然頭に入らねぇ…)
葵は寝ぼけた頭を軽く額を持って支えながら自分の目をもう一度擦ると、リビングの壁に掛けてある時計に目をやった。
すると今の時刻は丁度午前五時半を回ったところだった。
(午前五時半…)
どう考えても体内時計のせいには出来ない時間帯だ。
けれど敬浩はそれでも堂々と喋り続けた。
「まっ!今日の昼までには帰るから安心してくれよ!それまでは沢山話そうじゃないか!」
「いいえ、鍵閉めなくて結構なんでとっとと帰ってください。僕は寝ます。」
「お、おい!優一ー!!」
「あ!ゆ、優一さん…!」
優一はそう言ったあとで葵の方に目を向けると、「勝手に帰らせておけばいいから。」と耳打ちしてから自分の部屋に戻っていってしまった。
けれど葵は戻ることも出来ず、リビングにひょこっと顔を出したまま敬浩の様子を暫く伺っていた。
(いやまあ眠いことは眠いんだけど…敬浩さん置いとくこんな状況で寝れるわけがないし…。)
「あ、もしかして葵ちゃんは俺とお話してくれる感じ?」
「あっ…え、えっーと…とりあえず着替えてくるので待ってて貰えますか?」
「勿論!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
葵は急いで着替えるとキッチンに向かい、敬浩にハーブティーを淹れた。
このハーブティーは優一がこの前上着を貸してくれたお礼にとマネージャーから貰ったもので、葵も気に入る口溶けの優しい味だった。
敬浩は葵からハーブティーを貰うと軽く香りを楽しんだ後で1口啜った。
「おー、これ美味しいね!買ってきたフランスの生チョコレートと合うよ。」
「あ、これ生チョコなんですか?」
「そうだぞー!」
葵は銀紙に包まれたチョコレートを1口ぱくりと放り込む。
するとジュワッと中からチョコレートが舌に満遍なく絡まりついて、口の中全体が甘ったるくなった。
「はぁ……ところで優一は本当に全然俺に構ってくれないよなぁ。栄人は今週まで仕事がかなり忙しいみたいだから構ってくれなくても仕方ないけど、俺優一ちゃんに嫌われるのだけはめっちゃ悲しいんだよぉ。ねぇ葵ちゃん、どう思う?」
「あー…えっと、多分、それは夜遅くまで仕事だったし疲れてるからかと…」
(本当に相変わらずこの人キャラ濃いな…。ていうか、栄人さん来ないと思ったら最近忙しかったんだ。)
「そうかー。でも、あの様子だと仕事はちゃんとやれてるみたいだよな。良かった良かった!葵ちゃんのおかげで生活習慣良くなってるんだろうし!」
「そうだといいんですけどね…ははは。」
「え、まさかまだあいつ寝坊とかドタキャンしてんの!?」
「寝坊は相変わらず…」
「はぁー、全く参っちゃうよなぁ。それなのに人気も仕事も切れないなんてずるい男だぜ。」
葵もそれに頷くと生チョコレートをまた1口ぱくりと口に入れた。
朝から生チョコレートなんて太ること間違いなしだが、この大量にばらまかれた生チョコレートの紙袋を見てしまえば食べずにはいられないのだ。早く片付けてしまわなければ、という気持ちで。
「あ、そうだ!葵ちゃんは来週公開の映画、見に行くんだろ?」
「あ…一応見たいとは思っているんですけど、俺上京する前めっちゃ田舎に住んでたので映画とかもいったこともなくて…… 」
(つーかあんなゴリゴリの恋愛映画なんて男一人で見に行くような内容じゃないし…)
「まじで!?映画見に行ったことないの!?損だよ!損損!」
「で、ですよね…」
「まぁそんなことは置いといて。本題はここから!実はその映画の先売り券、今手元に2枚あるんだよねぇ。」
敬浩はズボンの内ポケットから2枚のチケットを取り出すと、目の前でヒラヒラと揺らした。
「ーーーで、これ曜日と座席指定されてて来週の土曜日なんだけどさぁ、その日俺予定が入ってて行けないんだよぉ……だから葵ちゃん、もし良かったら誰かと見に行ったらどうかなーって?」
敬浩はそう言うと葵にチケットを二枚渡した。
(来週の土曜日って確か11月30日か。んー、学校も休みだしへいきだけど、なーんか、何かあったような……でも思い出せないしいっか。)
「ん?予定あった?」
「あ、いや、ないです!ありがとうございます!えっと、おいくらですか?」
「いやいやいや!俺が頼んでる側なんだし葵ちゃんからお金とったりしないぜ?」
「あっ…ありがとうございます!」
「どういたしまして。ま、今回みたいなドロドロの恋愛系は優一も初めて出るらしいからそういう細かい演技もよーく目を凝らして見てやってくれよな?」
「え、これ原作読んだことないんですけどドロドロの恋愛なんですか?」
(広告や特集で見たところによると青春の過ちみたいな感じで書いてあったけど、あまり詳しく見てないんだよな…)
「そうだよ。優一と若い女優さんが主演ってこともあってか若い年齢層の人達からの注目は集まってるらしいけど、だいぶ内容は大人っぽいっつーか、ドロドロだなー。」
「ぬ、濡場とかあるんですか!?」
葵が思わず聞くと敬浩は豪快に笑い声を上げた。
「あー葵ちゃん面白いなぁ!それは流石にないけどキスとかハグ位はあるだろうよ。」
(あ…まあその程度なら…)
「ま、その他の内容はパンフレットで見た方がわかりやすいと思うけど!とりあえず俺はあの優一が初めて俺様系ドSキャラを演じるって言うからほんとワクワクしちゃってさ。かなりレアだろ?」
「え!」
(ゆ、優一さんが俺様系ドSキャラ!?いつもみたいに王子様系役じゃないのって、それは確かにレアかも…。)
葵はチケットを眺めながらゴクンッと唾を飲み込んだ。
「それだけで見所満載だろ?」
敬浩はまるで自分のことのように自慢げに腕を組んでニタァっと笑う。
「ちなみにもし行く相手がいなかったら優一誘うのもありだぞ?」
「そっ…それは流石に!!」
「なーんて冗談だよ!優一はその日仕事ってマネージャーから聞いてるからな。…あ、待てよ。栄人ならその日行けるかもな。」
「え、栄人さんですか!?」
「そうそう!試しに連絡してみっかー。」
敬浩はそう言うと早速スマホを取り出して栄人に電話をかけた。
「あ、もっしもーし。俺だけど。あのさぁ、葵ちゃんが30日お前と映画を見に行きたいらしくてさー」
(ちょちょ、ちょまて!?俺、栄人さんと映画見に行きたいなんてーーー…い、いやまあ栄人さんと出かけるのが嫌なわけじゃないからいいけど…なんとなく誤解が…)
「ーーーあ、OK?チケットは葵ちゃん持ってるから!じゃなー!」
敬浩はピッと通話を切るとこちらに向き直って「OKだってよ。」とにこやかに笑った。
「は、はぁ…ありがとうございます。」
(行動はや…)
「てことだから、たまには優一抜きにして楽しんでこいよー!2人で、な?」
「あ、ありがとうございます。」
(うっ、嬉しいことは嬉しいんだけど、さっきから、なんだろう。謎の圧が…)
葵は違和感を抱きつつもズボンのポケットにそのチケットをしまうと、敬浩が飲み終わったティーカップをキッチンへと片付けた。
「ーーーさぁーてと!用事は済んだからそろそろおじさんは帰るとするかぁ。」
敬浩はそう言いながらソファにかけたコートを広げ、羽織ると荷物を持ってそそくさと玄関の方に向かった。
葵はとりあえずティーカップをキッチンペーパーの上に乗せると、急いでその敬浩の後を追う。
「あ、あの用事って…もしかしてこのチケットの事だったんですか?」
ふと葵が訊ねると、敬浩は「そうそう。」と振り返りながら応える。
「勿論それもあるしあとは買いすぎたチョコレートを貰って欲しくてね。あ、あとテーブルにあるやつ以外にもまだ宅配でここに届くから。よろしくな?」
「ええっ…!」
(おいおい!今ここにある分だけでも余裕で半年分超えてるしそんなきても俺食えないんですけど…)
「つーことで!またね。葵ちゃん」
「は、はぁ…お、お気をつけて…」
(まあそんなこと言っても聞く耳持ってくれないか…)
葵はそんな思いも虚しく、玄関の手前まで敬浩を見送り改めてリビングに戻るとテーブルに散乱したチョコレートの袋の山を眺めた。
(ああ、本来ならまだ夢の中なのに一体どうしてこうなるんだ…)
ーーーー
ーーーーーーーーーーーー
葵は優一の部屋の前まで行くと、ノックしてから部屋の中に入った。
「優一さん、失礼します。」
ガチャっと扉を開けると、相変わらず優一は抱き枕を抱きしめて熟睡していた。
本当に寝るのが好きな人だ、と葵は思う。
なにか仕事がある度に、「眠い」「寝たい」と言いつつ、支度をしていて、葵がやっとの事で送り出すのだから、いなかった時は本当に今まで以上に凄かったのだなーーーーといつも思うのだった。
それに、この前なんて起こされたくないからと仕事に間に合わない時間に起こすよう指示もしてきたし、敬浩が呆れるのも分かるほど相変わらずサボり癖があるようだった。
(あとこの部屋な…。今はもうノーリアクション貫いてるけど内心まだこのオタク部屋も受け入れられてねぇんだよ…)
でもーーーー葵は優一の寝顔を見ると、なんだか不思議と胸が締め付けられるような気持ちになってしまうのだった。
そういえば前ーーーー一晩だけ一緒に寝たことがあった。
あの時はドキドキしっぱなしで寝るどころじゃなかったけど、それでも暖かいあの温もりはなんだか思い出す度に安心してしまうものだった。
「ゆ、優一さん。」
「ん…」
「あ、あの…寝てるとこ申し訳ないんですけど、敬浩さんのチョコレート量が多くてキッチンの棚に入らなそうなので隣の空き部屋に入れてもいいですか?」
「んー……」
優一は暫く悩んだ上で、目を瞑ったまま小さく頷いた。
「はい、いいんですね。では、お邪魔しましたーーーー」
葵がそそくさと引き返そうとすると、その時、突然優一に手を掴まれ葵はベッドの中に思いきり後ろからドスッと体を落とした。
「なっ…なんですか?!」
その瞬間、葵の心拍数は一気に上がり顔が赤くなる。
「中、入って?」
優一は少し眠そうな目で微かに微笑むと、葵の髪の毛を撫でる。
「なっ何言ってるんですか!お、お、俺は寝ませんよ!?それにもう11時半!寝ぼけてる暇あったらチョコレートを一緒に片付けてください!」
葵はそう言って布団を優一から引き剥がそうとしたが、今度は優一に両手で体を掴まれてしまい、後ろからぎゅっと抱きしめられてしまった。
(なっ…!)
「ゆ、優一さん…ちょっ…」
優一の手が葵の腰あたりから服の下で這わせるように上に移動し、思わず葵の体はビクッと動く。
「ちょっとな、何してるんですかっ…!だ、ダメだって。優一さっ…」
(や、ヤバいってこのままじゃ…!)
「優一さんっ…!お、おいっ…!」
しかし葵がもがいていると、優一の動きがピタリと止まったのだった。
「ゆ、優一さん…?」
葵が反応のない優一を不思議に思い、慌てて優一の方に振り向いてみると、優一はなんとそのまま寝息を立ててスヤスヤと眠っていたのだった。
「…………は。」
人にこんな思いをさせておいて寝ているのにも苛立つが、その寝顔さえも責める気持ちをなくすほど綺麗なのはもっとムカつくものだと葵は思った。
仕方なく葵はぐっと口を噤むと、そっとベッドから抜け出した。
(ほんと、この人は人の気も知らないで…さっきのは一体なんだったんだよ!)
ーーーーその時だった。
突然、カタンっと優一の机の方から何か物が落ちるような音がした。
(ん…?)
葵がそちらに目を向けると、優一の机の上に置かれたうさぎのぬいぐるみの重みで本が落ちてしまっていたのだ。
そういえば優一の部屋に入る機会は今までも何度かあったし、オタクみたいな部屋だなーと思って来たけれど、私物に触ったりマジマジと見たことは1度もなかった。
(この機会だし、ちょっと直すついでに見てみようかな。)
葵はそんな考えを浮かべながらそちらに向かうと、まずはぬいぐるみを壁に座らせようと動かした。
すると、ぬいぐるみの手から小さな紙がヒラリと手の上に落ちたのだった。
(ん、なにこれ…?)
葵は見ても良いのかと一瞬躊躇ったが、寝ている優一を横目にしていると、結局好奇心に負けてその紙を広げた。
するとそこには海を眺める白いティシャツを着たショートカットの人物の後ろ姿の絵が書かれていて、その下になにか文字が書かれていた。
葵は目を凝らしてそれを見てみる。するとそこにはーーーー
(……え?)
「あき…?」
そこには小さな文字で゛あき゛と書かれていた。
でも絵の季節はどう見ても秋ではないし、それなら名前?
にしても一体誰なのか。
友達は栄人だけだと言っていたし、家族とはあんな感じなのだから他に思い当たる人なんていない。
いや、イギリスやフランスにいた時の関係は流石に分からないけど、でもこれは日本人の名前だ。
(いやまあでもーーーー優一さんが言ってないだけで他に沢山友達とかいるかもしれないし……。)
でもこんな大切そうにこの紙をずっと今まで取っておいたとしたら、なんだか直感的に普通の友達って感じでもなさそうな気がした。
(なんだ、この感じーーーーなんなんだ?)
胸がザワザワする。葵は胸を静かに押えた。
(あっ……)
そう言えばーーーーふと葵は、優一はよく寝言で「あきちゃん」という名前を言っていたことを思い出した。
1番初めにここへ来て優一を起こしに行こうとした時、たしかその名前を言っていたのだ。
あの時は、ただの寝言かと思って「あきちゃんってだれだよ!」みたいなことを思ってたけどーーーー
(もしかしてこの絵の人物のことなのか?だとしたら一体ーーーー)
ーーーーって。
(おいおい!別にそれがどうしたって言うんだよ俺!こんなのファンから貰ったぬいぐるみで名前書いてあるだけかもしれないし小さい頃の友達のことかもしれないだろ。第一してこの紙からそんな所までこんなこと深く気にするのがおかしいんだからな!?ーーーーでも…)
葵はそっとその紙をぬいぐるみの手の中に戻すと、本を立て直して静かに部屋を抜け扉の前に寄りかかった。
(でもどうしよう。なんか急に、胸騒ぎがするーーーー。栄人さんが恋愛が出来ない奴だって言ってたのとこれは何か、関係があるのかな…)
もしかしたらーーーー?
今までは聞き逃してきたし、深くまで聞けなかった。
麗奈のこともあったし、深く傷つけてしまいそうで聞けないことも多かった。
なんとなく怖かったのだ。
でもーーーーそれじゃずっとこのまんまだ。
気持ちは大きくなるばかりなのに、知らないことだけがずっと頭でグルグルしてる。
そんなのじゃ、嫌だ。ーーーーもっと知りたい。
ーーーー今回、敬浩のおかげで栄人と久々に二人きりで出掛ける時間が出来た。
ならその時にーーーー
葵は決意を固めると、急いで自室に戻ったのだった。
葵は眠たい目を擦りつつパジャマ姿でリビングに顔を出すと、その光景を改めてマジマジと見つめた。
やはりーーーいる。
薄い瞼からぼやけた視界に映った光景に葵は更に疑問を浮かべた。
それは優一も同じだったのか、同じくその光景を眠たそうな目で睨みつけながら、もう一度目を擦っていた。
「ねぇ、優一さん。なんであの方がここにおられるんでしょうか。ひょっとして…呼びました?」
「不法侵入。」
(ふ、不法侵入…)
「ーーー訴えますね。」
「ってこらこらぁ!もうそんな怖いこと言わないでくれよ!俺たち初めましての仲じゃないんだからさぁ!それにロック解除して鍵も閉め忘れたのは優一だろ?」
そう言って得意げな顔で話すのは、この前夜遅くに突然家にやってきて、ぶっ飛んだキャラを繰り広げたあの元俳優(?)ーーー高本敬浩だった。
「え、優一さん、まじですか?」
葵がその言葉にチラリと優一を見ると、優一は真顔のまま少し顔を背けた。
「……知らない。」
「ちょっ、優一さん!危ないんですから戸締りはしっかりって前も言ったじゃないですか…!」
「記憶にない。」
「優一さん!!」
「まあまあそれに関しては疲れて寝ぼけてたんだろうし仕方ないけどさ!まあそんなことは置いといて、このチョコ、食べてくれよ!沢山持ってきたからよ!」
「チョコ?」
「そう!優一大好きだろー?」
敬浩はそう言うと、綺麗に整ったリビングのテーブルに尋常じゃないほどの量の海外から取り寄せたであろうチョコレートの袋をばら撒いたのだったーーー
ーーー
今日は11月中旬の週末で、テストも天体観測も無事に終わって12月最後の次のテストまでは落ち着くことの出来る葵にとっては最高の休みだったのだがーーー一体何故そんな休日にこうなってしまったのかーーー考えてもわからない。
ただ昨日の記憶としては、優一もまたいつも通り夜遅くに仕事が終わるということでご飯だけ作って自分は早めに寝て明日は優一も自分も休みだからとアラームは8時くらいに設定しておいたのだ。
だから今頃はまだ夢の中のはずなのだがーーー
それは今日の深夜のこと、突然物音がしたかと思うと誰かの知らない声が聞こえ、怖くなった葵は毛布に潜り込んだまま急いで優一に電話をかけたのだった。
そして2人でリビングに向かって恐る恐るその何者かの姿を覗いたところーーーあの男、高本敬浩が何故かニコニコした笑顔でリビングにいたーーーというのが今に辿り着くまでの話である。
(あんなの軽くホラーだぞ…)
「敬浩さん。来るのは勝手かもしれませんが、なぜいつもこういう変な時間に来るんですか。」
「あーそれについては本当にごめんって。実はこんな時間に来たのにも辛い辛い訳があるのよ。」
「どんな理由を述べようと認めるつもりは無いですが。」
「いやまずは聞けよ!?でーーーその理由ってのがこの前会った時日本に帰ってきたばかりって言っただろ?けど、それでももう俺はその次の日からバリバリ仕事しようとしてたわけよ。でもマネージャーに聞いたら11月の後半から仕事開始だって言われちゃってねぇ。だからどこか旅行しようかなぁって思ったわけ!で、この前フラーっとフランス行ってたんだよね。フランスだけに。あ、ここ別に笑わなくていいよ?で、そこまではいいんだけどその時差のせいで体内時計が狂っちゃったみたいなんだよ。分かる?この辛さ。」
(やべぇ…話が全然頭に入らねぇ…)
葵は寝ぼけた頭を軽く額を持って支えながら自分の目をもう一度擦ると、リビングの壁に掛けてある時計に目をやった。
すると今の時刻は丁度午前五時半を回ったところだった。
(午前五時半…)
どう考えても体内時計のせいには出来ない時間帯だ。
けれど敬浩はそれでも堂々と喋り続けた。
「まっ!今日の昼までには帰るから安心してくれよ!それまでは沢山話そうじゃないか!」
「いいえ、鍵閉めなくて結構なんでとっとと帰ってください。僕は寝ます。」
「お、おい!優一ー!!」
「あ!ゆ、優一さん…!」
優一はそう言ったあとで葵の方に目を向けると、「勝手に帰らせておけばいいから。」と耳打ちしてから自分の部屋に戻っていってしまった。
けれど葵は戻ることも出来ず、リビングにひょこっと顔を出したまま敬浩の様子を暫く伺っていた。
(いやまあ眠いことは眠いんだけど…敬浩さん置いとくこんな状況で寝れるわけがないし…。)
「あ、もしかして葵ちゃんは俺とお話してくれる感じ?」
「あっ…え、えっーと…とりあえず着替えてくるので待ってて貰えますか?」
「勿論!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
葵は急いで着替えるとキッチンに向かい、敬浩にハーブティーを淹れた。
このハーブティーは優一がこの前上着を貸してくれたお礼にとマネージャーから貰ったもので、葵も気に入る口溶けの優しい味だった。
敬浩は葵からハーブティーを貰うと軽く香りを楽しんだ後で1口啜った。
「おー、これ美味しいね!買ってきたフランスの生チョコレートと合うよ。」
「あ、これ生チョコなんですか?」
「そうだぞー!」
葵は銀紙に包まれたチョコレートを1口ぱくりと放り込む。
するとジュワッと中からチョコレートが舌に満遍なく絡まりついて、口の中全体が甘ったるくなった。
「はぁ……ところで優一は本当に全然俺に構ってくれないよなぁ。栄人は今週まで仕事がかなり忙しいみたいだから構ってくれなくても仕方ないけど、俺優一ちゃんに嫌われるのだけはめっちゃ悲しいんだよぉ。ねぇ葵ちゃん、どう思う?」
「あー…えっと、多分、それは夜遅くまで仕事だったし疲れてるからかと…」
(本当に相変わらずこの人キャラ濃いな…。ていうか、栄人さん来ないと思ったら最近忙しかったんだ。)
「そうかー。でも、あの様子だと仕事はちゃんとやれてるみたいだよな。良かった良かった!葵ちゃんのおかげで生活習慣良くなってるんだろうし!」
「そうだといいんですけどね…ははは。」
「え、まさかまだあいつ寝坊とかドタキャンしてんの!?」
「寝坊は相変わらず…」
「はぁー、全く参っちゃうよなぁ。それなのに人気も仕事も切れないなんてずるい男だぜ。」
葵もそれに頷くと生チョコレートをまた1口ぱくりと口に入れた。
朝から生チョコレートなんて太ること間違いなしだが、この大量にばらまかれた生チョコレートの紙袋を見てしまえば食べずにはいられないのだ。早く片付けてしまわなければ、という気持ちで。
「あ、そうだ!葵ちゃんは来週公開の映画、見に行くんだろ?」
「あ…一応見たいとは思っているんですけど、俺上京する前めっちゃ田舎に住んでたので映画とかもいったこともなくて…… 」
(つーかあんなゴリゴリの恋愛映画なんて男一人で見に行くような内容じゃないし…)
「まじで!?映画見に行ったことないの!?損だよ!損損!」
「で、ですよね…」
「まぁそんなことは置いといて。本題はここから!実はその映画の先売り券、今手元に2枚あるんだよねぇ。」
敬浩はズボンの内ポケットから2枚のチケットを取り出すと、目の前でヒラヒラと揺らした。
「ーーーで、これ曜日と座席指定されてて来週の土曜日なんだけどさぁ、その日俺予定が入ってて行けないんだよぉ……だから葵ちゃん、もし良かったら誰かと見に行ったらどうかなーって?」
敬浩はそう言うと葵にチケットを二枚渡した。
(来週の土曜日って確か11月30日か。んー、学校も休みだしへいきだけど、なーんか、何かあったような……でも思い出せないしいっか。)
「ん?予定あった?」
「あ、いや、ないです!ありがとうございます!えっと、おいくらですか?」
「いやいやいや!俺が頼んでる側なんだし葵ちゃんからお金とったりしないぜ?」
「あっ…ありがとうございます!」
「どういたしまして。ま、今回みたいなドロドロの恋愛系は優一も初めて出るらしいからそういう細かい演技もよーく目を凝らして見てやってくれよな?」
「え、これ原作読んだことないんですけどドロドロの恋愛なんですか?」
(広告や特集で見たところによると青春の過ちみたいな感じで書いてあったけど、あまり詳しく見てないんだよな…)
「そうだよ。優一と若い女優さんが主演ってこともあってか若い年齢層の人達からの注目は集まってるらしいけど、だいぶ内容は大人っぽいっつーか、ドロドロだなー。」
「ぬ、濡場とかあるんですか!?」
葵が思わず聞くと敬浩は豪快に笑い声を上げた。
「あー葵ちゃん面白いなぁ!それは流石にないけどキスとかハグ位はあるだろうよ。」
(あ…まあその程度なら…)
「ま、その他の内容はパンフレットで見た方がわかりやすいと思うけど!とりあえず俺はあの優一が初めて俺様系ドSキャラを演じるって言うからほんとワクワクしちゃってさ。かなりレアだろ?」
「え!」
(ゆ、優一さんが俺様系ドSキャラ!?いつもみたいに王子様系役じゃないのって、それは確かにレアかも…。)
葵はチケットを眺めながらゴクンッと唾を飲み込んだ。
「それだけで見所満載だろ?」
敬浩はまるで自分のことのように自慢げに腕を組んでニタァっと笑う。
「ちなみにもし行く相手がいなかったら優一誘うのもありだぞ?」
「そっ…それは流石に!!」
「なーんて冗談だよ!優一はその日仕事ってマネージャーから聞いてるからな。…あ、待てよ。栄人ならその日行けるかもな。」
「え、栄人さんですか!?」
「そうそう!試しに連絡してみっかー。」
敬浩はそう言うと早速スマホを取り出して栄人に電話をかけた。
「あ、もっしもーし。俺だけど。あのさぁ、葵ちゃんが30日お前と映画を見に行きたいらしくてさー」
(ちょちょ、ちょまて!?俺、栄人さんと映画見に行きたいなんてーーー…い、いやまあ栄人さんと出かけるのが嫌なわけじゃないからいいけど…なんとなく誤解が…)
「ーーーあ、OK?チケットは葵ちゃん持ってるから!じゃなー!」
敬浩はピッと通話を切るとこちらに向き直って「OKだってよ。」とにこやかに笑った。
「は、はぁ…ありがとうございます。」
(行動はや…)
「てことだから、たまには優一抜きにして楽しんでこいよー!2人で、な?」
「あ、ありがとうございます。」
(うっ、嬉しいことは嬉しいんだけど、さっきから、なんだろう。謎の圧が…)
葵は違和感を抱きつつもズボンのポケットにそのチケットをしまうと、敬浩が飲み終わったティーカップをキッチンへと片付けた。
「ーーーさぁーてと!用事は済んだからそろそろおじさんは帰るとするかぁ。」
敬浩はそう言いながらソファにかけたコートを広げ、羽織ると荷物を持ってそそくさと玄関の方に向かった。
葵はとりあえずティーカップをキッチンペーパーの上に乗せると、急いでその敬浩の後を追う。
「あ、あの用事って…もしかしてこのチケットの事だったんですか?」
ふと葵が訊ねると、敬浩は「そうそう。」と振り返りながら応える。
「勿論それもあるしあとは買いすぎたチョコレートを貰って欲しくてね。あ、あとテーブルにあるやつ以外にもまだ宅配でここに届くから。よろしくな?」
「ええっ…!」
(おいおい!今ここにある分だけでも余裕で半年分超えてるしそんなきても俺食えないんですけど…)
「つーことで!またね。葵ちゃん」
「は、はぁ…お、お気をつけて…」
(まあそんなこと言っても聞く耳持ってくれないか…)
葵はそんな思いも虚しく、玄関の手前まで敬浩を見送り改めてリビングに戻るとテーブルに散乱したチョコレートの袋の山を眺めた。
(ああ、本来ならまだ夢の中なのに一体どうしてこうなるんだ…)
ーーーー
ーーーーーーーーーーーー
葵は優一の部屋の前まで行くと、ノックしてから部屋の中に入った。
「優一さん、失礼します。」
ガチャっと扉を開けると、相変わらず優一は抱き枕を抱きしめて熟睡していた。
本当に寝るのが好きな人だ、と葵は思う。
なにか仕事がある度に、「眠い」「寝たい」と言いつつ、支度をしていて、葵がやっとの事で送り出すのだから、いなかった時は本当に今まで以上に凄かったのだなーーーーといつも思うのだった。
それに、この前なんて起こされたくないからと仕事に間に合わない時間に起こすよう指示もしてきたし、敬浩が呆れるのも分かるほど相変わらずサボり癖があるようだった。
(あとこの部屋な…。今はもうノーリアクション貫いてるけど内心まだこのオタク部屋も受け入れられてねぇんだよ…)
でもーーーー葵は優一の寝顔を見ると、なんだか不思議と胸が締め付けられるような気持ちになってしまうのだった。
そういえば前ーーーー一晩だけ一緒に寝たことがあった。
あの時はドキドキしっぱなしで寝るどころじゃなかったけど、それでも暖かいあの温もりはなんだか思い出す度に安心してしまうものだった。
「ゆ、優一さん。」
「ん…」
「あ、あの…寝てるとこ申し訳ないんですけど、敬浩さんのチョコレート量が多くてキッチンの棚に入らなそうなので隣の空き部屋に入れてもいいですか?」
「んー……」
優一は暫く悩んだ上で、目を瞑ったまま小さく頷いた。
「はい、いいんですね。では、お邪魔しましたーーーー」
葵がそそくさと引き返そうとすると、その時、突然優一に手を掴まれ葵はベッドの中に思いきり後ろからドスッと体を落とした。
「なっ…なんですか?!」
その瞬間、葵の心拍数は一気に上がり顔が赤くなる。
「中、入って?」
優一は少し眠そうな目で微かに微笑むと、葵の髪の毛を撫でる。
「なっ何言ってるんですか!お、お、俺は寝ませんよ!?それにもう11時半!寝ぼけてる暇あったらチョコレートを一緒に片付けてください!」
葵はそう言って布団を優一から引き剥がそうとしたが、今度は優一に両手で体を掴まれてしまい、後ろからぎゅっと抱きしめられてしまった。
(なっ…!)
「ゆ、優一さん…ちょっ…」
優一の手が葵の腰あたりから服の下で這わせるように上に移動し、思わず葵の体はビクッと動く。
「ちょっとな、何してるんですかっ…!だ、ダメだって。優一さっ…」
(や、ヤバいってこのままじゃ…!)
「優一さんっ…!お、おいっ…!」
しかし葵がもがいていると、優一の動きがピタリと止まったのだった。
「ゆ、優一さん…?」
葵が反応のない優一を不思議に思い、慌てて優一の方に振り向いてみると、優一はなんとそのまま寝息を立ててスヤスヤと眠っていたのだった。
「…………は。」
人にこんな思いをさせておいて寝ているのにも苛立つが、その寝顔さえも責める気持ちをなくすほど綺麗なのはもっとムカつくものだと葵は思った。
仕方なく葵はぐっと口を噤むと、そっとベッドから抜け出した。
(ほんと、この人は人の気も知らないで…さっきのは一体なんだったんだよ!)
ーーーーその時だった。
突然、カタンっと優一の机の方から何か物が落ちるような音がした。
(ん…?)
葵がそちらに目を向けると、優一の机の上に置かれたうさぎのぬいぐるみの重みで本が落ちてしまっていたのだ。
そういえば優一の部屋に入る機会は今までも何度かあったし、オタクみたいな部屋だなーと思って来たけれど、私物に触ったりマジマジと見たことは1度もなかった。
(この機会だし、ちょっと直すついでに見てみようかな。)
葵はそんな考えを浮かべながらそちらに向かうと、まずはぬいぐるみを壁に座らせようと動かした。
すると、ぬいぐるみの手から小さな紙がヒラリと手の上に落ちたのだった。
(ん、なにこれ…?)
葵は見ても良いのかと一瞬躊躇ったが、寝ている優一を横目にしていると、結局好奇心に負けてその紙を広げた。
するとそこには海を眺める白いティシャツを着たショートカットの人物の後ろ姿の絵が書かれていて、その下になにか文字が書かれていた。
葵は目を凝らしてそれを見てみる。するとそこにはーーーー
(……え?)
「あき…?」
そこには小さな文字で゛あき゛と書かれていた。
でも絵の季節はどう見ても秋ではないし、それなら名前?
にしても一体誰なのか。
友達は栄人だけだと言っていたし、家族とはあんな感じなのだから他に思い当たる人なんていない。
いや、イギリスやフランスにいた時の関係は流石に分からないけど、でもこれは日本人の名前だ。
(いやまあでもーーーー優一さんが言ってないだけで他に沢山友達とかいるかもしれないし……。)
でもこんな大切そうにこの紙をずっと今まで取っておいたとしたら、なんだか直感的に普通の友達って感じでもなさそうな気がした。
(なんだ、この感じーーーーなんなんだ?)
胸がザワザワする。葵は胸を静かに押えた。
(あっ……)
そう言えばーーーーふと葵は、優一はよく寝言で「あきちゃん」という名前を言っていたことを思い出した。
1番初めにここへ来て優一を起こしに行こうとした時、たしかその名前を言っていたのだ。
あの時は、ただの寝言かと思って「あきちゃんってだれだよ!」みたいなことを思ってたけどーーーー
(もしかしてこの絵の人物のことなのか?だとしたら一体ーーーー)
ーーーーって。
(おいおい!別にそれがどうしたって言うんだよ俺!こんなのファンから貰ったぬいぐるみで名前書いてあるだけかもしれないし小さい頃の友達のことかもしれないだろ。第一してこの紙からそんな所までこんなこと深く気にするのがおかしいんだからな!?ーーーーでも…)
葵はそっとその紙をぬいぐるみの手の中に戻すと、本を立て直して静かに部屋を抜け扉の前に寄りかかった。
(でもどうしよう。なんか急に、胸騒ぎがするーーーー。栄人さんが恋愛が出来ない奴だって言ってたのとこれは何か、関係があるのかな…)
もしかしたらーーーー?
今までは聞き逃してきたし、深くまで聞けなかった。
麗奈のこともあったし、深く傷つけてしまいそうで聞けないことも多かった。
なんとなく怖かったのだ。
でもーーーーそれじゃずっとこのまんまだ。
気持ちは大きくなるばかりなのに、知らないことだけがずっと頭でグルグルしてる。
そんなのじゃ、嫌だ。ーーーーもっと知りたい。
ーーーー今回、敬浩のおかげで栄人と久々に二人きりで出掛ける時間が出来た。
ならその時にーーーー
葵は決意を固めると、急いで自室に戻ったのだった。
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