「サクラへ――あなたが生まれる前の物語」

なら

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第2話:嵐の夜――両親への報告

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「産むの?そんなの絶対に許さない!」

その言葉が、今でも耳に残っています。
あの日、私の世界は一度、粉々に砕けました。

あなたがいることに気づいてから、私はずっと震えていました。
でも、「大丈夫。パパがいる」と自分に言い聞かせながら、少しずつ心を落ち着けていたんです。

パパは何度も私の手を握って、こう言いました。
「俺たちで一緒に乗り越えよう」
その言葉に、どれだけ救われたか、言葉にできないほどです。

でも、私たちの覚悟なんて、大人たちには何の意味も持たなかった。

あなたのおじいちゃん・おばあちゃんに報告した日の夜――
私たちはリビングに座り、私は震えながらおじいちゃんたちにこう言いました。

「……赤ちゃんが、います」

その瞬間、時が止まったようでした。
おばあちゃんの目が大きく見開かれて、おじいちゃんの顔はみるみる怒りに染まっていきました。

「何を言ってるんだ?」
おじいちゃんの低い声が響いて、私はその場で固まってしまいました。

「……本当なの?」
おばあちゃんの声は震えていました。
私はただ、頷くことしかできませんでした。

その瞬間、おじいちゃんがテーブルを叩き、怒鳴りました。

「お前はまだ15歳だぞ!
子どもが子どもを育てられるわけがない!」

その言葉が、心にグサリと突き刺さりました。
頭では分かっていたんです。
私たちは未熟で、無力で、大人から見れば「子ども」だってことくらい。

でも――
それでも、あなたを守りたかった。

おじいちゃんの怒りは止まりませんでした。
「学校はどうするんだ?
進学は?
人生を棒に振る気か?」

一つ一つの言葉が、私の中の不安を増幅させていきました。
「本当に私に、ママなんてできるのかな?」
「周りからどう見られるんだろう?」
「私の未来は、もうなくなってしまうの?」

不安が押し寄せて、涙が止まらなくなりました。

「……すみません」
パパが、私の隣で頭を下げました。
「俺が、ハナを守ります。
俺が一緒に責任を取ります」

でも、おじいちゃんはその言葉を一蹴しました。

「お前に何ができる?」
「責任なんて簡単に口にするな!」

パパの顔も、少しずつ青ざめていきました。
でも、パパは立ち上がって、もう一度言いました。

「それでも、俺は一緒にいます。
ハナと、赤ちゃんを守ります」

その言葉に、私は泣きながらパパの袖を掴みました。

おじいちゃんはそれ以上、何も言わず部屋に戻ってしまいました。
おばあちゃんも泣きながら、その場を離れていきました。

――家族に、拒絶されたんだ。

その夜、私は部屋にこもって、一晩中泣き続けました。
パパが何度も電話をかけてくれたけど、私は出る気になれませんでした。

「もう無理かもしれない」
「産むなんて、無理だったんだ」

心が折れそうになりました。
でも――その時、窓の外から声が聞こえました。

「ハナ!」

パパの声でした。
ベランダから、パパが窓をノックしていました。

「開けて。話したい」

私は震える手で窓を開けました。
部屋に入ってきたパパは、真っ直ぐ私の目を見て言いました。

「諦めるの?」

私は声が震えて、こう答えました。
「……だって、無理だよ。誰も、私たちを認めてくれない」

その瞬間、パパは私の肩を強く抱きしめました。

「俺たちで、守ればいいんだ。
大人が何を言っても、俺たちが諦めなければ、この子は守れる」

その言葉に、私はもう一度涙を流しました。

「……守れるかな?」
「守れる。絶対に」

あの夜、私たちは一度心が折れたけど、また立ち上がる決意をしました。
誰が何と言おうと、あなたを産む。
あなたを守る。

そう決めたんです。
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